ブループリントと子クラスを使用すると、独自のカスタマイズ可能なシーケンサー トラックを作成できます。この機能を使用すると、C++ を使用することなく、シーケンサー トラックの機能を拡張できます。これは、プロジェクトで必要な新しいトラックのプロトタイプを作成したり、実装するうえで役立ちます。
このドキュメントでは、 カスタマイズ可能なシーケンサー トラック機能の概要、新しいトラック タイプの作成方法、および一般的なシーケンサー オブジェクトとのやり取りに使用する各種関数について説明します。
前提条件
-
カスタマイズ可能なシーケンサー トラック機能は、 プラグイン であるため、使用前に有効化する必要がある。Unreal Engine のメインメニューで、[Edit (編集)] > [Plugins (プラグイン)] を選択し、[Runtime (ランタイム)] セクションで [Customizable Sequencer Tracks] を見つけて、クリックしてチェックボックスをオンにします。次に、Unreal Engine を再起動します。
- ブループリント の作成と使用について理解している。
新しいトラックを作成する
新しいカスタム シーケンサー トラックを作成するには、以下を継承する 3 つのブループリント クラスを作成する必要があります。
SequencerSectionBP
SequencerTrackBP
SequencerTrackInstanceBP
このためには、コテンツ ブラウザ で [Add (+) (追加)] > [Blueprint Class (ブループリント クラス)] をクリックし、[All Classes (すべてのクラス)] セクションでこれらの 3 つのクラスまで移動します。それぞれのクラスに新しい子ブループリント クラスを作成します。

次に、これらのクラスがやり取りできるように関連付ける必要があります。このためには、SequencerTrackBP
を継承する新しいブループリントを開き、[Details (詳細)] パネルの [Class Defaults (クラスのデフォルト)] セクションで以下のプロパティを設定します。
- [Default Section Type] を
SequencerSectionBP
を継承する新しいブループリントに設定する。 - [Track Instance Type] を
SequencerTrackInstanceBP
を継承する新しいブループリントに設定する。

ブループリントをコンパイルして保存すると、シーケンサーのメインメニューの [(+) Track (トラック追加)] で、マスター トラックとしてトラックを追加できるようになります。

トラック ロジックを作成する
シーケンサーでトラックを新規に作成できるようになりましたが、そのセクションにはロジックが含まれていないため、トラックを作成しても何も実行されません。トラックのロジックを作成するには、SequencerTrackInstanceBP
を継承した新しいブループリントを開きます。[Functions (関数)] セクションでイベントをオーバーライドすることで、イベント グラフにイベントが追加され、ブループリントのロジックを作成できます。

セクション イベント
SequencerTrackInstanceBP
イベント グラフでは、以下のセクション イベントをオーバーライドすることができます。
名前 | 画像 | 説明 |
---|---|---|
OnBeginUpdateInputs | ![]() |
このイベントは、セクションが開始または終了しようとしているときに実行されます。最初に (ただし OnInitialize の後) 実行されます。 |
OnEndUpdateInputs | ![]() |
このイベントは、セクションの開始または終了が完了したときに実行されます。OnBeginUpdateInputs と OnInputAdded/Removed の後に実行されます。 |
OnDestroyed | ![]() |
このイベントは、特定のセクションが終了し、他に再生するセクションがないときに実行されます。最後に実行されます。 |
OnInitialize | ![]() |
このイベントは、特定のセクションが開始し、他に再生するセクションがないときに実行されます。最初に実行されます。 |
OnInputAdded | ![]() |
このイベントは、セクションが開始するときに実行されます。OnBeginUpdateInputs の後に実行されます。 |
OnInputRemoved | ![]() |
このイベントは、セクションが終了するときに実行されます。OnBeginUpdateInputs の後に実行されます。 |
OnUpdate | ![]() |
このイベントは、セクションがアクティブである限り、継続的にすべてのフレームで実行されます。セクションの初期化時に、OnEndUpdateInputs の後に実行が開始されます。 |
例として、この画像で示しているのは、マルチセクション シナリオのそれぞれのイベントすべての全体の実行順序です

Custom Sequencer トラックは、 セクション のみを使用し、キーフレームは使用しません。
セクション機能
SequencerTrackInstanceBP
子ブループリントでロジックを作成する場合、以下の関数を使用してセクションや所有オブジェクトの情報を取得することができます。
名前 | 画像 | 説明 |
---|---|---|
Get Animated Object | ![]() |
トラック タイプ が Object Track に設定されている場合、このトラックが子であるオブジェクトまたはアクタを取得します。この関数は Cast 関数と併用して、返されたオブジェクトの使用可能なブループリント参照を取得する必要があります。 ![]() |
Get Input | ![]() |
インデックスに基づいて現在再生中のセクションを取得します (複数のセクションが再生されている場合)。デフォルトの Return ピンは構造体であるため、実際のセクション オブジェクトにアクセスするには、このピンを分割する必要があります。Break SequencerTrackInstanceInput を使用するか、ピンを右クリックして [Split Struct Pin (構造体ピンを分割)] を選択すると、ピンを分割できます。 ![]() |
Get Inputs | ![]() |
現在再生中の一連のセクションを返します。 |
Get Num Inputs | ![]() |
現在再生中のセクション数を取得します。 |
クラスの概要
このセクションには、カスタム トラックを構成する 3 つの主要なブループリント クラスとそのプロパティに関する情報が格納されています。
SequencerSectionBP
SequencerSectionBP は、ランタイム時に作成される一時的なクラスです。また、このクラスを使用してデフォルトのセクション プロパティを設定し、シーケンサーのセクション プロパティで上書きすることができます。これらのプロパティにアクセスして変更するには、[Details] パネルの[Class Defaults] セクションに移動します。

名称 | 説明 |
---|---|
Timecode Source | タイムコードが使用されている場合のセクションのデフォルトのタイムコード情報。オフセット情報を制御するためにここでデルタ フレームを指定することもできます。 |
Is Active | セクションをデフォルトで アクティブ にするかどうかを設定します。 |
Is Locked | セクションをデフォルトで ロック するかどうかを設定します。 |
Pre / Post Roll Frames | セクションの最初と最後のフレームを指定された期間保持するように、デフォルトでセクションの開始領域と終了領域に適用する追加のパディングを指定します。 |
SequencerTrackBP
このクラスは名前、型、サポートされるセクションなど、トラックの一般的なプロパティやルールを設定するために使用されます。これらのプロパティにアクセスして変更するには、[Details] パネルの [Class Defaults] セクションに移動します。

名称 | 説明 |
---|---|
Supports Multiple Rows | 有効にすると、トラックが複数のサブトラック (行) を含むことができます。これは、このトラックを使用してデータをレイヤー化する場合に役立ちます。 ![]() |
Supports Blending | これを有効にすると、複数のセクションが相互にブレンドされます。 |
Track Type | シーケンサーでこのトラックをどのようなコンテキストで追加し、存在させることができるかを設定します。次のいずれかを選択できます。
|
Supported Object Type | Track Type が Object Track に設定されている場合、このプロパティを使用して、このトラックがどのオブジェクト タイプに追加できるかを指定します。 |
Default Section Type | 必要なトラック設定の一部として作成される継承されたベース クラス SequencerSectionBP を指定します。 |
Supported Sections | トラックの [Add Section (+) (セクション追加)] メニューから追加する ![]() |
Track Instance Type | 必要なトラック設定の一部として作成される継承されたクラス SequencerTrackInstanceBP を指定します。 |
Icon | トラックのアイコンのプレビューを表示します。このプロパティを展開すると、以下のアイコン プロパティが表示されます。
![]() |
Display Name | トラックのデフォルト名。これは通常のトラック名変更操作でシーケンサーで上書きできます。 ![]() |
Track Row Display Names | [Supports Multiple Rows] が有効な場合に、行名を指定できる配列。複数の配列要素が追加されている場合、セクション行を追加すると、すべての指定した行が一度に追加されます。 ![]() |
Color | トラックとそのセクションのデフォルトの色を設定します。色のアルファ値が 0 でないことを確認する必要があります。0 の場合は、透過性がデフォルトのグレーに低下します。 ![]() |
Show Vertical Frames | 有効にすると、セクションの開始と終了の境界線がタイムラインで垂直線で表示されます。 ![]() |
SequencerTrackInstanceBP
このクラスを使用すると、 イベントをオーバーライド して、 関数を作成 することで、イベント グラフ 内のトラックの主要なロジックと動作を作成することができます。
