概要
Unreal Engine にはプロジェクトの開始点として利用できるサンプルの バーチャル カメラ アクタ が含まれています。このアクタは、「バーチャル カメラ コンポーネントのクイック スタート」で紹介されている Virtual Camera コンポーネント を使用して構築されました。
目標
このガイドでは、作成したシーンでバーチャル カメラ アクタを使用する方法について説明します。
目的
- シーンにバーチャル カメラ アクタを配置する
- Live Link 経由で iOS 端末を接続する
- バーチャル カメラ アクタの組み込みインターフェースを使用して、カメラのパラメータを変更する
- (オプション) Gamevice の周辺機器を使用してシーン内のカメラを制御する方法を学ぶ
1 - 必要な設定
エディタのセットアップ
始める前に、プロジェクト内で適切なプラグインを有効にする必要があります。
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[Settings (設定)] > [Plugins (プラグイン)] を選択し、[Plugins (プラグイン)] メニューを開きます。
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VirtualCamera、Live Link、Remote Session プラグインをそれぞれ検索して有効にします。
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[Project Settings (プロジェクト設定)] を開きます。
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[UDP Message (UDP メッセージ)] セクションに移動して、使用するコンピュータの IP アドレスの末尾にポート番号を表す :0 付加して [Unicast Endpoint (ユニキャスト エンドポイント)] に設定します。
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デバイスの接続に問題がある場合は、末尾に :6666 を付加した対象デバイスの IP アドレスを Static Endpoints (スタティック エンドポイン) リストに追加します。
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[Rendering (レンダリング)] セクションに移動して、[Default Settings (デフォルト設定)] の [Frame Buffer Pixel Format (フレーム バッファ ピクセル形式)] を 8bit RGBA に設定します。
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エディタを再起動します。
iOS デバイスのセットアップ
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App Store より Unreal Remote 2 app を ARKit 対応の iOS デバイスにダウンロードし、アプリを起動します。
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コンピュータの IP アドレスを入力し、[Connect (接続)] ボタンをタップすると接続を試行、確立します。
このセクションの結果
バーチャル カメラ アクタを使用する準備が整いました。
2 - バーチャル カメラ アクタを追加する
シーンへカメラを配置する
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[Place Actors (アクタの配置)] パネルで、[Virtual Production (バーチャル プロダクション)] カテゴリを選択して、VirtualCamera2 Actor をクリックしてシーンにドラッグします。
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必要に応じてシーンのアクタを調整します。
カメラ設定の調整の詳細については、「Cine Camera アクタを使用する」を参照してください。
デバイスを接続する
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Unreal Remove 2 App の [Connect (接続)] ボタンをタップします。
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[Window] > [Live Link] をクリックして、[Live Link] ウィンドウを開きます。
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[Source (ソース)] ボタンをクリックし、[Message Bus Source (メッセージ バス ソース)] を選択します。iOS デバイスがリモート セッションとして表示されます。
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バーチャル カメラ アクタの VCam コンポーネントを選択します。
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以下のように [Output Providers (出力プロバイダ)] を展開し、[Is Active (アクティブにする)] にチェックを入れます。
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[Live Link Subject] ドロップダウンをクリックして、CameraTransform を選択します。
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最後に、[Enabled (有効)] チェック ボックスをクリックして、バーチャル カメラをアクティブにします。
このセクションの結果
お使いの iOS デバイスがシーン内でカメラとして動作するようになりました。iOS デバイスを動かすと、エディタ ビューが動きを反映して変化します。
シーン内のカメラを管理するための便利なコントロールを多数収録したプレビルドのインターフェースも確認しました。
Gamevice 周辺機器を接続すれば、バーチャル カメラを操作するための追加のコントローラーにすることができます。
3 - バーチャル カメラの便利な制御を使用する
バーチャル カメラ アクタのインターフェースに多数付属する便利な機能について説明します。
インターフェースの概要
インターフェースには、タッチ スクリーン経由でアクセスできるさまざまなコントロールが付属しています。Gamevice があれば、ボタンとジョイスティックを使用してインターフェース コントロールにアクセスできます。
iOS デバイスに連動してオンスクリーン カメラの位置や回転が決まります。ただし Gamevice 使用時は、カメラの位置と回転は、デバイスの動きではなくジョイスティックで直接制御されます。
F 値を調整する
Unreal Engine のバーチャル カメラの設定では、F 値を調整すると、カメラの被写界深度にのみ影響しますが、画像の露出には影響しません。
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インターフェースの [F-Stop (F値)] ボタンをタップして、画面に F-Stop スライダーを表示させます。
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スライダーに沿って指をスライドさせると、リアルタイムで F 値を調整できます。
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スライド式の F 値インジケーターをタップすると、正確な F 値番号を入力するための数字パッドが表示されます。
Gamevice のコントロール
コントロール | 説明 |
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左トリガー (L2) | F 値 スライダーを開きます。 |
左ジョイスティック | 上下に動かして F 値 スライダーを操作します。 |
レンズを調整する
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インターフェースの [レンズ] ボタンをタップして、レンズ スライダー を画面に表示させます。
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スライダーに沿って指をスライドさせると、リアルタイムでレンズを調整できます。
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スライド式のレンズ インジケーターをタップすると、正確なレンズ番号を入力するための数字パッドが表示されます。
Gamevice のコントロール
コントロール | 説明 |
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右トリガー (R2) | レンズ スライダーを開きます。 |
*右ジョイスティック | 上下に動かしてレンズ スライダーを操作します。 |
統計を表示する
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インターフェースの [Stats (統計)] ボタンをタップして、統計情報 を画面に表示させます。
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FPS (1 秒あたりのフレーム数)、Dutch (ダッチ)、Tilt (ティルト)、カメラの Focus Distance (焦点距離) が表示されました。
設定を調整する
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[設定] アイコンをタップして カメラの設定 を表示します。
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以下の設定が調整可能になります。
設定 | 説明 |
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Map Color | マップ レンダリングを白黒またはフル カラーに設定します。 |
Start at Home | シーン内にあるバーチャル カメラ アクタを起動し、マップ上にホーム アイコンを作成します。 |
Rack Focus Speed | プリセット間でカメラが焦点を変更する速度を調整します。 |
Joystick Sensitivity | シーン内を移動するために使用する仮想ジョイスティックの感度を調整します。 |
Filmback | カメラで使用できる各種フィルム バック オプションを順に切り替えます。 |
モーション パラメータを調整する
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[モーション調整] アイコンをタップして、モーション調整設定 を表示します。
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Dolly (ドリー)、Truck (トラック)、および Boom (ブーム) の速度乗数を個別に調整して、カメラの 移動 を調整できます。[ロック] アイコンをクリックすることで移動軸をロックして、さらに制御することもできます。
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回転パラメータに切り替えるには、[Rotation (回転)] をタップします。
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各 [ロック] アイコンをタップして、Tilt (ティルト)、Pan (パン)、Dutch (ダッチ) の回転を個別にロックできます。Dutch 軸をロックすると、0 にリセットするための [Reset Dutch (ダッチをリセット)] オプションが表示されます。
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[Stabilization (スタビライゼーション)] をタップすると、スタビライゼーション パラメータに切り替わります。
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カメラの 移動 と 回転 に追加する スタビライゼーション の量を調整できるようになりました。スライダーを回転させて、必要に応じてスタビライゼーションを加えます。
Gamevice のコントロール
コントロール | 説明 |
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左 (L1) と右 (R1) ショルダーボタン | Translation、Rotation、Stabilization を順に切り替えます。 |
左・右ジョイスティック | ラジアル スライダーを動かします。 |
D パッド | 各カテゴリのオプションを順に切り替えます。 |
上 (Y) ボタン | 各プロパティのロックをオンオフします。 |
焦点を調整する
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[焦点調整] アイコンをタップして、焦点調整設定 を表示します。
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スライダーに沿って指をスライドさせて、マニュアル焦点を調整できます。
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オート フォーカスを有効にするには画面上のオブジェクトをタップします。カメラの位置や回転に関係なく、そのオブジェクトに焦点をロックします。
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レチクルの焦点を有効にするには、メニューの [レチクル] アイコンをタップします。これにより、画面にレチクルが表示され、焦点を移動できます。カメラは、レチクルで指定したオブジェクトに焦点を当て続けます。
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焦点の プリセット を保存するには プラス記号 (+) をタップします。最大 5 つのプリセットを保存でき、プリセット番号をタップすればプリセットが切り替わります。
Gamevice のコントロール
コントロール | 説明 |
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上 (Y) ボタン | マニュアル フォーカスとオート フォーカスの切り替え |
右ジョイスティック | マニュアル フォーカスを調整します。 |
下 (A) ボタン | フォーカス プリセットを追加します。 |
D パッド | 別のフォーカス プリセットを選択します。 |
カメラを再配置する
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[再配置] アイコンをタップすると、カメラの位置と回転を固定できます。これにより、カメラのオペレーターはカメラの現在のトランスフォームを失うことなく、カメラを新しい位置に移動することができます。アイコンをもう一度タップすると、カメラの固定を解除できます。
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再配置が有効になっていれば、[Translation & Offset Tilt (移動とオフセットのティルト)] トグルをタップして、カメラの移動とティルトをオフセットとして適用できます。カメラ オペレーターが物理的に位置決めするのが困難なショットにおいて有効です。
Gamevice のコントロール
コントロール | 説明 |
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向かって左 (X) ボタン | [Translation & Offset Tilt] をオンオフします。 |
スナップショットを撮る
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シーンのスナップショットを撮るには、[スナップショット] アイコンをタップします。スナップショットは、[Game] > [Snapshots] > [UserSnapshots] > [LevelName] ディレクトリのテクスチャとして自動保存されます。
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スナップショットが作成されると、画面下に通知が表示されます。コンテンツ ブラウザに作成された新しいスナップショット ファイルも表示されます。
バーチャル ジョイスティックを使用する
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画面のいずれかの [矢印] アイコンをタップすると、バーチャル ジョイスティックが表示されます。
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左ジョイスティックはカメラを X 軸と Y 軸方向にカメラを移動し、右ジョイスティックは Z 軸 (ブーム) に沿って移動して、指定した位置でカメラを回転させます。
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飛行機 のアイコンをタップすると、飛行モード が有効になります。このモードでは、カメラをシーンの X 軸と Y 軸ではなくレンズの方向に移動することができます。
Gamevice のコントロール
コントロール | 説明 |
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左右のジョイスティック | シーン内でカメラを移動します。 |
上 (Y) ボタン | 飛行モードをオンオフします。 |
録画情報を表示する
バーチャル カメラがアクティブなとき、現在の [Time Code(タイム コード)]、現在の [Scene(シーン)]、および現在の [Take(テイク)] が表示されます。この情報は、Unreal Engineの [Take Recorder (テイク レコーダー)] から自動的に取得されます。
Take Recorder の詳細については、「Take Recorder を使用する」を参照してください。
ビデオ クリップを録画する
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ビデオ クリップを録画するには、[ロック] アイコンをタップして安全ロックを解除します。録音を開始するには [録画] アイコンをタップし、録画を終了するにはもう一度タップします。
録画を開始すると、アクティブなレベル シーケンスでアニメーションの再生を自動で開始します。
Gamevice のコントロール
コントロール | 説明 |
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左ショルダー (L1) ボタン | 安全ロックを解除します。 |
左トリガー (L2) ボタン | 録画を開始および停止します。 |
シーン内のオブジェクトとインタラクトする
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[Interact (インタラクト)] アイコンをタップして インタラクション モード を表示させます。
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シーン内のオブジェクトをタップすると、そのオブジェクトの Translation、Rotation、Scale のプロパティが表示されます。オブジェクトのプロパティを変更して、シーン内で操作することができます。指をスライドさせて値を変更するか、プロパティをタップして数字パッドを表示させます。
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また、適切なアイコンをタップして作業を アンドゥ または リドゥ することができます。[地球] のアイコンをタップして、グローバル空間からローカルワールド空間にプロパティを切り替えることもできます。
Gamevice のコントロール
コントロール | 説明 |
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D パッド | 別のプロパティに移動します。 |
上 (Y) ボタン | グローバル空間とローカルのワールド空間を切り替えます。 |
下 (A) ボタン | 数字パッドを開きます。 |
左 (L1) と右 (R1) ショルダーボタン | それぞれ操作をアンドゥ、リドゥします。 |
マップ ツールを使用する
バーチャル カメラには、カメラ オペレーターがシーンを移動し、特定の場所に簡単にテレポートするためのフラグ (マーカー) を配置するのに役立つ Map Tool (マップ ツール) が備わっています。
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[マップ] アイコンをタップして、マップツール を開きます。
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画面左側にシーンのトップダウン ビューが表示されます。オーバーレイモードと全画面表示モードを切り替えるには [展開] アイコンをタップします。マップを拡大縮小するには、プラス アイコン、マイナス アイコンを使用するか、タッチスクリーン上でピンチイン、ピンチアウトします
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画面上で [フラグの追加] アイコンをタップすると、マップにフラグを追加できます。カメラの現在位置にフラグが作成されます。画面上の各フラグをタップすると、フラグ間をテレポートできます。
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フラグを削除するには、マップ上でフラグを長押します。
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また、保存したスナップショットは、マップ内の [スナップショット] アイコンをタップして表示できます。選択して [X] をタップするとスナップショットを削除できます。
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以下に示すフィルタ バーをタップして フラグ、スナップショット、または その両方 のフィルタを切り替えて、使いやすくすることができます。
Gamevice のコントロール
コントロール | 説明 |
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上 (Y) ボタン | オーバーレイモードと全画面表示モードを切り替えます。 |
左ジョイスティック | マップをパンします。 |
右ジョイスティック | マップを拡大縮小します。 |
D パッド | フィルタを切り替えます。 |
アニメーションをプレビューする
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[アニメーション プレビュー] アイコンをタップして、[アニメーション タイムライン] コントロールを開きます。
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これらのコントロールを使用すると、ユーザーはエディタの現在のレベル シーケンス中のアニメーションをプレビューすることができます。再生 / 一時停止およびスクラブ コントロールは、シーケンサーと同じ様に動作します。再生中のアニメーションのタイム コードと経過時間も表示されます。
Gamevice のコントロール
コントロール | 説明 |
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右ショルダー (R1) ボタン | アニメーションを再生または一時停止します。 |
右ジョイスティック | タイムラインをスクラブします。 |
左トリガーボタン (L1) と右トリガーボタン (L2) | フレームごとにタイムラインをスクラブします。 |
録画を確認する
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[クリップ] アイコンをタップ して クリップ レビュー モード にします。
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このモードでは、バーチャル カメラで録したすべてのクリップにアクセスできます。指を上下にスライドさせると左のクリップがスクロールします。クリップを選択すると、下部にあるコントロールを使用して、クリップを再生 / 一時停止、スクラブできます。
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チェック ボックスをタップしてクリップを [Selects (選択)] リストの一部をマーク することもできます。[All (すべて)] と [Selects] を切り替えることで、リストの最適なクリップをすばやくフィルタ処理できます。
Gamevice のコントロール
コントロール | 説明 |
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左ジョイスティック | 左側のクリップをスクロールします。 |
下 (A) ボタン | クリップを選択してビューポートにロードします。また、現在再生中のクリップもリセットされます。 |
右ショルダー (R1) ボタン | クリップを再生して一時停止します。 |
右ジョイスティック | タイムラインをスクラブします。 |
左トリガーボタン (L1) と右トリガーボタン (L2) | フレームごとにタイムラインをスクラブします。 |
上 (Y) ボタン | フルスクリーン モードを有効または無効にします。 |
このセクションの結果
このセクションでは、バーチャル カメラ アクタの主要なインターフェース オプションを一通り確認しました。F 値、レンズタイプ、焦点など、さまざまなカメラ設定を操作して最終的な画像を調整する方法を学習しました。
カメラの移動や操作を調整するための設定とモーション パラメータについても学習しました。さらに、カメラでスナップショットやビデオ クリップを撮影する方法や、マップ ツールを使用してシーンをナビゲートする方法について学習しました。
最後に、ビューポート内のクリップとアニメーションを確認して、プロジェクトに最適なテイクをすばやく選択する方法を学習しました。
次のステップ
組み込みのバーチャル カメラ アクタの使用方法が分かったので、今度は、バーチャル カメラ コンポーネントのクイック スタートの手順に従い、バーチャル カメラ アクタを自分で作成する方法について学びましょう。