この Android クイック スタート ガイドでは、Unreal Engine (UE) で Android 開発を行うためのコンピュータ設定について、以下の内容を含めて説明します。
- Android ゲーム開発用にテスト デバイスとコンピュータを設定する
- モバイル開発用に新しいプロジェクトを設定する
- Android ビルドをパッケージ化するために Unreal Editor を設定する
- モバイル レンダリング機能レベルを使ってプレビューするようにエディタを設定する
- エディタからオンデバイスでプロジェクトをテストする
- プロジェクトのスタンドアローン ビルドをパッケージ化する
このガイドを一通り終了すると、Android の初期設定から、テスト、パッケージ化ができるようになります。
1 - Android 開発要件
Android プロジェクトを作成およびデプロイするには、UE に含まれる幾つかの Android 開発要件をインストールし、デバイスで確実にテストが行えるようにする必要があります。
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Android Studio のインストール方法および UE での Android 開発に必要な SDK コンポーネントについては「Unreal Engine に Android SDK および NDK を設定する」のガイドに従ってください。
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テスト用に使用するデバイス上で [Settings (設定)] を開き、[Developer Mode (開発モード)] を有効にします。
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デバイス設定で [Developer Options (デベロッパー オプション)] を開いて [USB Debugging (USB デバッグ)] を有効にします。
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デバイスをコンピュータにつないで、コンピュータからデバイス データへのアクセスを許可します。
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デバイスに必要なすべてのドライバのインストールをコンピュータに許可します。
以上の手順を完了すると、新しい Android プロジェクトを開発する準備ができました。
- デバイスの設定方法については、「Android デバイスを開発用に設定する」を参照してください。
2 - プロジェクトを作成する
以下のセクションでは、[Third Person (サードパーソン)] テンプレートを使用して新しい UE5 プロジェクトを作成するプロセスを説明します。例を使って、Android デバイスで実行する UE5 プロジェクトをいかに早く作成できるかを説明します。
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Unreal Editor を起動します。Unreal Project Browser で以下の設定を使って新しいプロジェクトを作成します。
- Project Category:Games (ゲーム)
- Template:Third Person (サードパーソン)
- Target Hardware:Mobile (モバイル)
- Quality Level:Scalable (スケーラブル)
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プロジェクトに「AndroidQuickStart」と名前をつけ、[Create Project (プロジェクトを作成)] ボタンを押してプロジェクトの作成を終了します。
ターゲット ハードウェアを「Mobile」、ターゲット品質を「Scalable」にすると、プロジェクトをモバイル デバイスのユーザー インターフェースとハードウェア制約で構成することができるようになります。
3 - Android 用に Unreal Editor を設定する
次に、Unreal Editor の [Project Settings (プロジェクト設定)] を Android APK ビルド用に設定する必要があります。
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[Edit (編集)] > [Project Settings (プロジェクト設定)] をクリックして、[Project Settings (プロジェクト設定)] ウィンドウを表示します。
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[Project Settings (プロジェクト設定)] ウィンドウで [Platforms (プラットフォーム)] > [Android] を選択します。
- APK Packaging で [Android Package Name] に適切な会社名およびプロジェクト名を入力します。このインスタンスでは、com.EpicGames.AndroidQuickStart を使用します。
- APK Packaging で Minimum SDK Version と Target SDK Version を見つけて、プロジェクトの作成対象となるデバイスの適切な Android API バージョンを入力します。このインスタンスでは、SDK Version 19 と SDK Version 28 をそれぞれ使用します。
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[APK Packaging] の下の部分に「Project is not configured for the Android platform (プロジェクトが Android プラットフォーム用に設定されていません)」という警告が自動的に表示されます。[Configure Now (いますぐ設定)] ボタンをクリックすると、必要なプラットフォーム ファイルを書くためにプロジェクトを自動的に設定します。
- [Accept SDK License (SDK ライセンスに同意する)] ボタンが有効の場合は、クリックして Android の SDK ライセンス契約に同意します。すでにこの契約に同意している場合は、この手順を行う必要はありません。
- [Google Play Services] の下の部分に「Project is not configured for the Google Play services (プロジェクトが Google Play サービス用に設定されていません)」という警告が自動的に表示されます。[Configure Now (いますぐ設定)] ボタンをクリックすると、必要なファイルを書くためにプロジェクトを自動的に設定します。
これでデバイスは Android ビルドを作成し Android デバイス上で起動できるようになりました。
4 - エディタと PIE をモバイル プレビューア用に設定する
モバイル レンダラでゲームがどのように見えるのかプレビューできるように、Unreal Editor の Play-In-Editor (PIE) モードを設定することができます。
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ツールバー で [Settings (設定)] > [Preview Rendering Level (レンダリング レベルをプレビュー)] をクリックして、Android で使用できるレンダリング レベルを 1 つ選択します。
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ツールバー の [Play (プレイ)] ボタンの ドロップダウン をクリックします。選択したレンダリング レベルに合わせて、使用可能な Mobile Preview モードを選びます。
ターゲット レンダラを使って視覚的に構成されたゲームがエディタに表示されます。さらに、PIE ボタンを押すと、スタンドアローン モバイル アスペクト比に設定したスタンドアローン ウィンドウ設定とマウスを使ってタッチスクリーンをエミュレートする設定でゲームが起動します。これらの設定はモバイル デバイスのパッケージ化に影響しません。エディタでの作業時に正確なプレビューができるようになります。
モバイル プレビューアの設定方法については、「モバイル プレビューア」を参照してください。
5 - Android デバイスを起動する
Android ベースのデバイスで現在の レベル をテストするには、次の手順を実行する必要があります。
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テストするレベルが開いていることを確認します。この例では、前の手順で作成したブループリント ベースのプロジェクトの ThirdPersonMap レベルを使用します。
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ThirdPersonMap を開いた状態で メイン ツールバー に移動し、[Platforms] ボタンをクリックしてさらにオプションを表示します。
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[Platforms] メニューの [Quick Launch] セクションのリストで Android デバイスをクリックして選択します。
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レベルがデバイスで起動されている間、次の画像のように画面の右下隅に進捗状況が表示されます。
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デプロイが終了したら、Android デバイスで自動的にプロジェクトの実行が開始されます。プロジェクトが自動的に開始しない場合、デバイス上でアプリを探してタップすることで起動できます。
6 - Android ビルドをパッケージ化する
前の手順ではプロジェクトをパッケージ化してデバイス上ですぐに起動する方法を説明しました。配布およびテスト用にスタンドアローンな APK をパッケージ化するには、以下の手順に従います。
- メイン ツールバー に移動し、[Platforms] > [Android] ボタンをクリックしてさらにオプションを表示します。[Android (Multi:ASTC,DXT,ETC2)] オプションをオンにして [Package Project] をクリックします。
- [Package Project (プロジェクトをパッケージ化)] ダイアログが表示されたら、保存するディレクトリを選択します。ここで AndroidQuickStart/Build に保存します。
- [Select Folder (フォルダを選択)] をクリックすると Unreal Editor がプロジェクトのパッケージ化を開始します。終了を待ちます。
ビルドを出力するフォルダを開くと、フォルダの中には Android デバイスにゲームをインストールするために必要な APK ファイルと OBB ファイルが入っています。さらに、接続されたデバイスにビルドを自動的にインストール / アンインストールすることができる .bat ファイルがペアで入っています。
Android ビルドをパッケージ化するための設定の詳細は、「Android デバイスのパッケージ化)」を参照してください。
7 - 応用編
このクイックスタートで学習したことを踏まえて、Android デバイス向けに UE5 プロジェクトをパッケージ化して配布する準備ができました。完全に機能するモバイル ゲームを作成するために新しいゲームプレイおよびレベルを作成することで、UE5 で提供されているテンプレートを展開することができます。プロジェクトのニーズと特に狙っているデバイスによっては、ビルドの最適化にはさらに設定が必要になります。以下のリンク先では、プロジェクトをビルドするための次の手順の詳細を参照することができます。
- Android 開発リファレンス - Android デベロッパー向けの UE4 リファレンス情報全般。
- Android 開発要件 - 互換性のあるハードウェアおよびUE の特定のバージョンを使用するための SDK および OS 要件のリファレンス。
- Android のデバッグ - オンデバイスで Android プロジェクトをデバッグするための操作方法。
- モバイル レンダリング - モバイル固有のレンダリング機能に関する情報。
- モバイル サービス - オンライン サービスと通知の実装に関する情報。
- Android でシッピングする - ゲーム配布の準備に関するガイドライン。