モデリング エディタ モード (モデリング モード とも呼ばれる) には、Unreal Engine (UE) で 3D ジオメトリを直接作成、スカルプティング、編集するためのツールセットが用意されています。これらのツールがトポロジ編集、UV 作成、複数のマテリアル割り当て、コリジョン編集、テクスチャ ベイクのワークフローを提供します。
この概要では、以下について説明します。
- モードおよびそのツールへのアクセス方法
- ツールおよびそのワークフローの背景にある主要概念
- ツール操作の基本
モデリング モードを使用する前に、以下のトピックについて確認しておくことをお勧めします。
モデリング モードにアクセスする
モデリング モードにアクセスするには、[Selection Mode (選択モード)] のドロップダウンを選択して、[Modeling (モデリング)] をクリックします。または、SHIFT+5 キーを押すと、直ちにこのモードに切り替わります。各種モードの詳細については、「レベル エディタ モード」を参照してください。

モードのドロップダウンに [Modeling (モデリング)] が表示されない場合は、プラグインでこのエディタが有効になっていることを確認してください。
[Edit (編集)] > [Plugins (プラグイン)] > [Modeling Tools Editor Mode (モデリング ツール エディタ モード)
詳細については、「プラグインを操作する」を参照してください。

モードをクリックすると、ワークフローの合理化に役立つ、複数のパネルで構成されたモデリング モードのユーザー インターフェース (UI) が表示されます。

ナンバー | Panel | 説明 |
---|---|---|
1 | ツール カテゴリ | カテゴリでは、関連するツールがグループとしてまとめられます。詳細については、「ツール カテゴリ」を参照してください。 |
2 | ツール パレット | 選択したカテゴリのツールが並びます。利用可能なツールの詳細については、「モデリング ツール」を参照してください。 |
3 | ツール プロパティ | 選択したツールに関する設定。 |
4 | モデリングモードのクイック設定 | アセット、ギズモ、要素セクション、新しいメッシュ オブジェクトのパスの場所などの共通する設定にアクセスします。 |
ヘルプ ライン
モデリング モードを使用する際は、レベル エディタ の 下のツールバー に、ホットキー コマンドなどのツールチップを表示する追加のパネルが表示されます。
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主要な概念
モデリング モードの多くのツールは、他のモデリング ソフトウェアに搭載されているツールと似ていますが、モデリング モードのメッシュ編集構造には、作業を始める前に把握しておくべき重要な違いがいくつかあります。
用語
モデリング ツールは、スタティックメッシュ、ダイナミック メッシュやボリュームなど、Unreal Engine (UE) のさまざまなタイプのアクタで作業するときに使用できます。特定のアクタ タイプ専用のツールを使用する場合を除き、これらをまとめて「メッシュ」と呼びます。
トライアングルおよびポリゴングループ
Unreal Engine では、すべてのモデルを三角分割されたメッシュとしてレンダリングします。 つまり、メッシュのインポートまたは作成時には、そのサーフェスが別の環境内で定義済みかどうかにかかわらず、自動的にトライアングル (三角ポリゴン) に分割されます。 トライアングルに変換することで次のことが保証されます。
- UE では、レンダリングできないモデルをインポートまたは作成することはできない。
- すべてのグラフィック ドライバは例外なくトライアングルを認識するため、UE のレンダリングはすべてのプラットフォームに移植できる。
- UE は、ランタイム時に四角形 (クワッド) ポリゴンや n 面ポリゴン (4 より多くの面を持つポリゴン) をトライアングルに分解するために時間とリソースを費やす必要がありません。
モデリング モードでは、トライアングル編集 ツールを使ってメッシュのトライアングルを編集できます。これは、完全にトライアングルと頂点の直接的な選択と編集に基づいた、最も低レベルのトポロジ編集ツールの 1 つです。Unreal Engine はクワッドや n 面ポリゴンをネイティブで認識しないものの、これらの機能を模倣できる ポリゴングループ をサポートしています。ポリゴングループとはトライアングルの任意の集まりであり、モデリング モードのさまざまなツールを使って定義できます。その後、ポリゴングループ編集 ツールで従来のボックス モデリングのグループを操作したり、UV ツール で UV を作成したりすることができます。
[Create (作成)] カテゴリのプリミティブ形状を使ってメッシュを作成する際は、[Polygroup Mode (ポリゴングループ モード)] 設定を使って新しいメッシュのポリゴングループを設定できます。

また、以下のツールを使用してポリゴングループを割り当てることができます。
- トライアングルを選択 (トライアングルの選択)
- ポリゴングループを生成
- ポリゴングループをペイント
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ポリゴングループの作成と使用については、「ポリゴングループを理解する」を参照してください。
ツール、元に戻す操作の履歴、および変更の承諾
モデリング モードのツールのほとんどは、メッシュへの変更を直ちには適用しません。代わりに変更を反映したメッシュのプレビューがツールによって表示され、[Tool Confirmation (ツール確定)] パネルに [Cancel (キャンセル)] ボタンと [Accept (同意)] ボタンが表示されます。

モデリング モードを終了するか [Cancel] を押すと、変更が破棄されてメッシュが編集前の状態に戻ります。[Accept] を押すとツールが終了し、ツールの使用中にメッシュに加えたすべての変更がそのメッシュに適用されます。変更は、有効なツール セッションから別のツールに切り替えた際にも適用されます。
ツールの使用中は、個々の変更を元に戻したりやり直したりできます。ただし、変更を承諾した後は、ツールが有効になる前後のメッシュのステートのみが UE の元に戻す操作の履歴システムでトラックされます。たとえば、頂点スカルプト ツール内では各ブラシ ストロークを変更前に戻すことができますが、[Accept] をクリックしてスカルプト ツールが終了した後は、すべてのブラシ ストロークをまとめた結果のみが前の状態に戻せるようになり、[元に戻す] を選択すると、メッシュがツールを使用する前のステートに戻ります。
メッシュとアセット、プロジェクト設定
メッシュの表現に使用するアクタのタイプに応じて、モデリング モードで実行する作成および編集のプロセスが異なります。[Create] カテゴリを使って新しいメッシュを作成する場合は、[Output Type (出力タイプ)] を使って目的のアクタを選択します。ターゲット メッシュとして次のアクタから選択できます。
- スタティックメッシュ: モデルを表現し、コンテンツ ブラウザ内に保存されます。メッシュのインスタンスはレベル内に配置されます。
- ダイナミック メッシュ: モデルを表現し、レベル内のみに保存されます。
- ボリューム: 動作をトリガーする領域を表現し、レベル内のみに保存されます。
これらのタイプにはさまざまなユース ケースとメリットがあります。Convert や Transfer などのツールを使用すると、現在のメッシュのアクタ タイプを変更できます。Project Settings では、メッシュの作成と選択、アセットの保存に関する項目を設定できます。
各出力タイプの処理とワークフローに合わせて設定する方法については、「メッシュを操作する」ドキュメントを参照してください。
モデリング モードを使用する
メッシュを作成する
新しいメッシュを作成するには、次の手順を実行します。
- [Create (作成)] カテゴリを開きます。
- 事前定義済みのいずれかのプリミティブ形状をクリックして、マウス カーソルを ビューポート に移動します。選択した形状のテンプレートがマウス カーソルからドラッグされ、レベル グリッドにスナップします。
- レベル内でメッシュを追加する場所をクリックします。
エディタが [Tool Properties (ツール プロパティ)] パネルで設定したパラメータを使用して、その形状を作成します。
また、[Create] カテゴリのツールを使用してカスタム メッシュを作成することもできます。たとえば ポリゴン押し出し ツールでは、メッシュのアウトラインを描画し、それを3D 形状に押し出すことができます。
ポリゴン押し出し や パス押し出し などの一部のツールでは、形状の描画にグリッドを使用します。グリッドの位置を制御するには、希望の位置を Ctrl + クリック します。
メッシュを編集する
モデリング モードの他のツールのほとんどは、ゲームのワールド内にある既存のメッシュを編集することを目的として作成されています。たとえば、[Triangle Edit (トライアングル編集)] または [PolyGroup Edit (ポリゴングループ編集)] を選択してメッシュをクリックすると、トポロジのモデリング操作を実行できます。
Extrude (押し出し)、Push Pull (プッシュ プル)、または Cut Faces (面の切り取り) など、Triangle Edit ツールと PolyGroup Edit ツールの個々の操作は [Tool Properties] パネルに表示されます。編集後は、[Accept] ボタンをクリックして変更を確定するか、[Cancel] ボタンをクリックして変更を破棄します。
ワールド内の任意のメッシュ (モデリング モードで作成されていないメッシュを含む) を選択して、これらのツールを使用して編集することができます。たとえば、高解像度のメッシュに対して Lattice (ラティス) ツールを使用すると、その形状をすばやく変更することができます。
高解像度のモデルを編集する場合は、複製 ツールを使用してアセットを複製し、元のメッシュを保持しておくことを強く推奨します。
ギズモ
モデリング モードには、ユニークで迅速なメッシュのトランスフォームのために専用のギズモが用意されています。 デフォルトでは、スケール、回転、平行 (移動) が 1 つのギズモにまとめられています。

個別のモデリング ギズモを、レベル エディタの標準的な平行移動、回転、スケールと同じ形で使用するには、以下の手順を実行します。
- [Modeling Mode Quick Settings (モデリング モードのクイック設定)] で設定アイコンをクリックします。
- 結合ギズモ を無効にします。
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モデリング ギズモの構造に加えて、以下の設定も可能です。
- [World Grid Snapping (ワールド グリッド スナップ)] を使って、相対的なグリッド スナップと絶対的なグリッド スナップを切り替える。
- ワールド空間とローカル デルタの数値入力に [Transform (トランスフォーム)] パネル を使用する。
[Transform] パネルはビューポート内に直接表示され、モデリング ツールと UV ツールの一部でも使用できます。

ギズモのホットキー
一部のツールでは、表に記載されているギズモ ホットキーを使用できます。 ポリゴン押し出し、パス押し出し、および パターン ツールの再配置可能なグリッドなど、特定のモデリング ツールには追加のギズモ属性が含まれています。これらのホットキーを使用できる状況については、ヘルプ ライン を参照してください。
ホットキー | 説明 |
---|---|
Ctrl を押したまま | 選択したギズモのトランスフォームをシーンに揃えます。スケールは除きます。 |
Ctrl + クリック | ギズモ グリッドをヒット法線に再配置します。 |
Shift + Ctrl + クリック | 現在の向きを維持したまま、ギズモ グリッドをヒット サーフェスに再配置します。 |
マウスの中央ボタン + 平行移動 | ギズモを再配置します。 |
Q | 向きのロックを切り替えます。ローカル座標システムのみで有効です。 |
メッシュ要素の選択
モデリング モードでは、より一貫性があり、最適化されたワークフロー用にダイレクト メッシュ要素を選択するオプションが提供されます。[Mesh Element Selection (メッシュ要素の選択)] を使用すると、アーティストはメッシュと要素を選択した後、PolyGroup Edit や Triangle Edit などの中間ツールを使用せずに操作を呼び出すことが可能になります。
ツールを有効にするには、次の手順を実行します。
- [Modeling Mode Quick Settings (モデリング モードのクイック設定)] で設定アイコンをクリックします。
- [Mesh Element Selection] を選択します。
- モデリング モード を終了し、再度開始します。
また、設定が有効になると、選択したメッシュを編集するツールで [Select (選択)] カテゴリが利用できるようになります。
カスタム ツール プリセット
モデリング モードでさまざまなツールを使用しているうちに、特定のツールで繰り返し行う設定を含んだワークフローが確立されることがあります。それらの設定を何度も入力する代わりに、ツールを選択する際に Presets (プリセット) オプションを使用することができます。カスタム プリセットを使用すると、現在のツール設定を保存し、将来それらの設定をリロードしたり、プロジェクトやユーザー向けにどのプリセットのコレクションがアクティブで有効かを管理したりすることができます。


ツール カテゴリ
Category (カテゴリ) | 説明 |
---|---|
お気に入り | お気に入りツールを含むトップレベルのメニュー。任意のツールを右クリックして、[Faves] カテゴリに追加します。 |
Create (作成) | 事前定義されているプリミティブ、パス、スプラインから新しいメッシュを作成します。 |
Select | 要素の選択項目を編集します。[Mesh Element Select (メッシュ要素の選択)] を、[Modeling Mode Quick Settings (モデリング モードのクイック設定)] で有効にする必要があります*。 |
XForm | メッシュの配置または表現を調整します。 |
変形 | メッシュ全体または特定の領域をスカルプトさせるか歪みを加えます。 |
Model (モデル) | メッシュのきめ細かな編集を実行します。 |
Mesh (メッシュ) | メッシュのジオメトリを検査、最適化、編集するための処理ツール。 |
ボクセル | メッシュをボクセルに変換し、ボリュメトリック操作を行ってから再びメッシュに変換します。 |
ベイク | メッシュのテクスチャと頂点カラー データを生成します。 |
UVs | メッシュの UV 座標を編集し、テクスチャがサーフェスにどのようにマッピングされるかを変更します。 |
Attributes (属性) | メッシュのセカンダリ プロパティを調べて調整します。 |
Misc | LOD の管理やボリューム変換などの追加ユーティリティ ツール。 |
これらのカテゴリとその特有のツールについては、「モデリング ツール」を参照してください。