このクイック スタート ガイドでは、Unreal Engine プロジェクトを Apple の iOS、iPadOS、tvOS プラットフォーム向けにビルドするために必要なすべての手順を説明します。このガイドをお読みになることで、次のことを習得できます。
- Mac に Xcode を設定する。
- Xcode でデバイスに接続する。
- デバイスをユーザーの Apple Developer アカウントに登録する。
- プロジェクトのプロビジョニング プロファイルと証明書を作成する。
- プロジェクトを iOS 向けに設定する。
- プロジェクトを iOS デバイスでビルドして実行する。
このガイドでは、C++ プロジェクトの署名付きビルドの作成について説明します。Windows のブループリントのみのプロジェクトについては、別の方法で iOS プロジェクトをビルドできます。詳細については、「iOS プロジェクトのパッケージ化」を参照してください。
また、このガイドでは iPhone と iOS を例として取り上げますが、tvOS に対しても同じ手順で設定できることに留意してください。tvOS デバイスへの接続については、「tvOS デバイスへ接続する」ページを参照してください。
1. 要件
Apple のプラットフォーム向けにプロジェクトをビルドするには、以下が必要になります。
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Unreal Engine がインストールされた、MacOS を実行するコンピュータ。
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お使いの Unreal Engine のバージョンに対応した Xcode のインストール。
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Apple Developer アカウント。
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お使いの Unreal Engine のバージョンに対応した iOS デバイス。
Unreal Engine の現バージョンと互換性のあるソフトウェア バージョンは次のとおりです。
- 現在の UE バージョン:5.3
- サポートされるターゲット SDK バージョン: iOS 15 以降
- 推奨されsる MacOS and Xcode バージョン
- 最新の MacOS 13 Ventura
- 最新の Xcode 14
- 最小の MacOS と Xcode バージョン
- MacOS 12.5 Monterey
- Xcode 14.1
次の iOS ハードウェア バージョンは、Unreal Engine の現バージョンに対応しています。
- iOS 15
- iPhone 6S 以降
- iPod Touch 第 7 世代
- iPadOS 15
- iPad 第 5 世代以降
- iPad Air 2* 以降
- iPad Mini 4* 以降
- iPad Pro (全モデル)
- tvOS 15
- Apple TV HD*
- Apple TV 4K (第 1 世代)
- Apple TV 4K ((第 2 世代))
*Apple A8/A8X ベースのデバイス (iPad Air 2、iPad Mini 4、Apple TV HD) では、このサポートを有効にするためのプロジェクト設定が必要になります。
Unreal Engine の旧バージョンと互換性のあるソフトウェアの情報については、「iOS 開発要件」ページを参照してください。
2. Xcode を設定する
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Mac にまだ Xcode をインストールしていない場合は、Xcode を App Store からダウンロードしてインストールしてください。サインインには Apple ID が必要になります。
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Xcode を開きます。ツールバーで、[Xcode] > [Settings (設定)] を開きます。
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[Locations (場所)] タブを開きます。次に、[Command Line Tools (コマンドライン ツール)] のパスが Xcode の現バージョンに設定されていることを確認します。このパスが設定されていないと、メタル シェーダー コンパイラは Xcode を見つけることができないため、Unreal Editor が起動しません。
3. プロジェクトを作成する
モバイル プロジェクトを設定するには、Unreal Editor を起動して、次の設定で新しいプロジェクトを作成します。
画像をクリックするとフルサイズで表示されます。
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Unreal Editor を起動します。Unreal プロジェクト ブラウザ が開いたら [Games (ゲーム)] をクリックします。
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プロジェクトを次のとおりに設定します。
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Project Template (プロジェクト テンプレート):Top Down (トップダウン)
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Target Platform (ターゲット プラットフォーム): Mobile (モバイル)
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Quality Preset (品質プリセット):Scalable (スケーラブル)
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Project Name (プロジェクト名): MobileTestGame
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作成するプロジェクトは、ブループリント と C++ のいずれでもかまいません。
- [Create (作成)] をクリックしてプロジェクトを作成し、Unreal Editor で開きます。
上記の設定とプロジェクト名は「モバイル プロジェクトを作成する」ガイドからの抜粋です。設定の詳細については、このページを参照してください。
4. Xcode でデバイスを接続して Apple Developer カウントで登録する
iOS デバイスをテストに使用するには、そのデバイスをコンピュータに接続して Xcode で認識されることを確認し、Apple Developer アカウントを使ってアプリ テスト用のデバイスとして登録する必要があります。デバイス登録は、後にプロビジョニング プロファイルの作成に使用します。次の手順に従ってデバイスを設定します。
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USB ケーブルを使って iOS デバイスをコンピュータに接続します。
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Xcode を開き、[Window (ウィンドウ)] > [Devices and Simulators (デバイスとシミュレーター)] をクリックします。
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デバイスをアンロックして Xcode によるアクセスを許可します。iOS デバイスに [Trust This Device] プロンプトが表示されたら、[Yes] をクリックしてパスコードを入力します。Xcode によってそのデバイスにデバッグ シンボルがフェッチされます。
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お使いの Apple Developer アカウントにログインします (developer.apple.com)。Apple ID と Apple Developer アカウントをお持ちでない場合は作成してください。
Epic のソフトウェアは無料で提供されていますが、Apple Developer アカウントには年間 $99 の料金がかかります。アカウントの登録時にはこの点に注意してください。
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ログインしたら、[Certificates, Identifiers & Profiles (証明書、識別子およびプロファイル)] をクリックします。
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[Devices (デバイス)] をクリックして [Register a Device (デバイスの登録)] をクリックします。
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デバイスに関する次の情報を入力します。
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[Platform (プラットフォーム)] を iOS、tvOS、または watchOS に設定します。
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[Device Name (デバイス名)] を認識可能な固有の名前に設定します。
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[Window] > [Devices and Simulators] の [Xcode] にあるデバイス情報を確認します。[Identifier] の内容をコピーして [Register a Device] ページに戻り、それを [UUID] フィールドに貼り付けます。
完了したら [Continue (続行)] をクリックします。
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デバイス情報が正しいことを再度確認します。UUID が誤っている場合は、正しくないタイプのデバイスがリストに表示されることがあります。[Register (登録)] をクリックして、デバイスの Apple Developer アカウントへの登録を完了します。登録が完了したら [Done (完了)] をクリックします。
5. プロビジョニングと署名
次は、アプリのコード署名証明書 (Code Signing Certificate) とプロビジョニング プロファイル (Provisioning Profile) を取得する方法の概要です。これらは iOS プロジェクトのパッケージ化に必要になります。手順の詳細については、「プロビジョニング プロファイルと署名証明書」を参照してください。
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[Xcode] > [Preferences (ユーザー設定)] > [Accounts (アカウント)] で、Apple Developer ID を Xcode に紐付けます。
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アプリ用の 識別子 (App ID) を作成します。バンドル ID 名を「com.(組織名).(プロジェクト名)」の形式で入力します。この例では、バンドル ID は「com.YourCompany.MobileTestProject」となります。
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プロジェクトの Xcode プロジェクト ファイルを開き、App ID に指定したものと同じバンドル ID が使用されていることを確認します。Unreal Editor ([Project Settings (プロジェクト設定)] > [Platforms (プラットフォーム)] > [iOS]) でも同じことを行います。
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[Signing & Capabilities (署名および機能)] で [Automatically Manage Signing (署名を自動的に管理)] を有効にして、お使いの Apple Developer アカウントに関連する名前を [Team (チーム)] に設定します。Xcode により、自動的にコード署名証明書が生成されます。別の方法として、Apple Developer ページの [Certificates, Identifiers, and Profiles] セクションで、コード署名証明書を手動で作成することも可能です。
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Apple Developer ページを開き、[Certificates, Identifiers, and Profiles] を開きます。ID、登録済みのデバイス、署名証明書を使用して、新しい プロビジョニング プロファイル を作成します。これをダウンロードして、「Provisioning」フォルダなどのお好きな場所に保存します。
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Apple の Certificate Authority Page (証明書認証ページ) にアクセスし、最新の WWDR Intermediate Certificate (WWDR 中間証明書) をダウンロードします。Keychain Access アプリを起動して、証明書を [System keychain] にドラッグします。これはテスト用にプロジェクトをパッケージ化するにあたって必須ではありませんが、シッピングに必要になります。
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プロジェクトを Unreal Editor で開き、[Project Settings] > [Platforms] > [iOS] を開きます。エディタでプロビジョニング プロファイルと署名証明書が認識されるまで待ち、それぞれを選択します。
6. プロジェクトをパッケージ化する
上記の各セクションを完了したら [Platforms] ドロップダウンをクリックして、[iOS] > [Package Project (プロジェクトをパッケージ化)] をクリックします。すべてのコンポーネントが正しく設定されていれば、プロジェクトが適切にパッケージ化されます。また、[Quick Launch (クイック起動)] オプションを使って、選択したデバイスを直接起動することもできます。
最終結果
このガイドで説明した各手順に従うと、iOS プロジェクトを設定して、テスト デバイスで使用する準備が整います。