nDisplay 3D コンフィグ エディタ を使用して、単一のコンフィギュレーション アセットである nDisplay コンフィグ アセット を通じて nDisplay システムの大部分の側面を定義します。このアセットは、クラスタ ネットワークを構成するコンピュータ、各コンピュータ上で Unreal Engine がレンダリングするウィンドウとビューポートの特性、ディスプレイ デバイスのトポロジとコンフィギュレーション、各ビューポートがレンダリングする必要のある仮想ワールドのパーツ、受け入れる入力デバイスのタイプなどを定義します。
このページでは、3D コンフィグ エディタ で使用可能なすべての設定について説明します。
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ツールバー: エディタの右上にあります。
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コンポーネント: ツールバーの左下にあります。
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プレビュー: エディタの中央で、コンポーネント パネルの右側にあります。
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詳細パネル: エディタの右側で、プレビュー パネルの横にあります。
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クラスタ パネル: エディタの左側で、コンポーネント パネルの下側にあります。
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出力マッピング: エディタの中央で、プレビュー パネルの下側にあります。
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コンパイルの結果: エディタの左上で、詳細パネルの下側にあります。
ツールバー

3D コンフィグ エディタのツールバーのボタンは、ブループリント エディタとほとんど同じです。以下の 2 つのボタンは nDisplay 3D コンフィグ エディタに固有です。
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Import (インポート): nDisplay コンフィギュレーション ファイル (
.ndisplay
、.cfg
) をローカル コンピュータからインポートします。 -
Export (エクスポート): nDisplay の設定をローカル コンピュータ上のコンフィギュレーション ファイル (
.ndisplay
) にエクスポートします。
他のオプションの詳細については、「ツールバー」を参照してください。
コンポーネント

[Components] パネルでは、nDisplay クラスタの物理ディスプレイ、トラッキング、およびカメラ内セットアップを定義します。nDisplay ネットワークを設計するには、まず継承されたルート コンポーネントにコンポーネントを追加します。ディスプレイ、トランスフォーム、デフォルトのカメラ アクタの事前定義されたリストから選択することも、使用可能な UE コンポーネントを追加することもできます。
実際のトラッキング システムで nDisplay を使用するには、Live Link コンポーネントを [Components] パネルに追加します。自分のセットアップ用に Live Link を構成する方法の詳細については、「Live Link」を参照してください
以降のセクションでは、セットアップに追加できる nDisplay 特有のコンポーネントについて説明します。
Screen
nDisplay の Screen コンポーネントは便宜上、サイズ、形状、解像度が任意である、フラットな 2D ディスプレイを定義することになっています。参照されている視点を使用して、View Origin コンポーネントは、視錐台 と呼ばれるボリュームを定義します。カメラまたは視点の視錐台から 3D シーンの一部がレンダリングされます。レンダリングされるピクセルは ビューポート構造に格納され、それがディスプレイ、視点、投影ポリシーをまとめてバインドします。これらの各投影シーンの空間内での寸法は、投影シーンのレンダリングに使用する物理スクリーンと同じかまたは類似した寸法である必要があります。このセットアップはほとんどの投影ポリシーに適合します。
スクリーンのピボット ポイントは、常に正確な中間点にあります。

Static Mesh
フラットではないディスプレイ (曲面 LED ウォールやディスプレイなど) を扱う場合は、Screen コンポーネントではなく Static Mesh コンポーネントを使用できます。そうすることで、スタティック メッシュを使用してスクリーンの形状を完全に定義できるようになります。このセットアップはほとんどの投影ポリシーに適合します。

Xform
デフォルトでは、すべてのオブジェクトの親はルート コンポーネントの原点、つまり X、Y、Z 軸のそれぞれゼロ ポイントがある 3D ワールド空間内の任意の点です。また、1 つまたは複数のコンポーネントの親として機能できる、Xform という名前付きの特殊なトランスフォームを 3D 空間で構成することもできます。これは、スクリーン、カメラ、その他のコンポーネントの空間レイアウトを単純化するのに役立ちます。Xform には、ビジュアライゼーション メッシュが含まれていて、[Details] パネルでコンポーネントをスケーリングする機能もあります。

Xform ではなく UE の標準の Scene コンポーネントを 1 つまたは複数のコンポーネントの親として機能させることもできますが、その場合はビジュアライゼーション メッシュがなく、[Details] パネルでコンポーネントのサイズを制御することもできません。
View Origin
ビューポートにレンダリングされるものの原点を定義する、nDisplay セットアップ用のコンポーネント。ディスプレイを定義する Screen または Static Mesh コンポーネントと共に、View Origin は 3D コンテンツを適切にレンダリングするために使用される視錐台を定義します。複数の View Origin を 1 つのコンフィギュレーション ファイル内で使用し、それらを異なるビューポートおよびディスプレイにバインドすることができます。View Origin には、nDisplay での ステレオ レンダリング 用の設定も入っています。

ICVFX Camera
これは、レベル内またはプロジェクト内に配置されている外部カメラを参照するか、その外部カメラにリンクできる Cine Camera コンポーネントです。このコンポーネントは、インカメラ VFX プロジェクトに必要とされるインナー錐台を作成します。

クラスター パネル

nDisplay ネットワークで使用する Unreal Engine アプリケーションの各インスタンスに対して、クラスタ ノード を定義する必要があります。各クラスタ ノードはアプリケーション インスタンスを表し、そのアプリケーション インスタンスを実行するコンピュータのホスト名または IP アドレスを定義します。クラスタ ノードごとに異なる物理コンピュータを設定することや、同一ホスト上で実行される複数のクラスタ ノードを設定することもできます。
各クラスタ ノードには 1 つまたは複数のビューポートがあります。それらに関連付けられているディスプレイまたは Static Mesh コンポーネントと共に、それらのビューポートは 3D ワールドでのウィンドウを定義します。このウィンドウは、任意の View Origin の視点から見たディスプレイまたはシーンをレンダリングするために使用されます。Cluster に追加できる要素を次の表に示しています。
ノード | 説明 |
---|---|
Cluster | 1 つの nDisplay クラスタを形成する PC のグループをホストします。nDisplay コンフィグ アセットごとに作成できるクラスタは 1 つだけです。 |
Host | 一意の IP アドレスを持つ PC を表しています。PC を区別できるようにシグネチャの色をカスタマイズします。この色は、[Output Mapping] パネルでも使用されます。 |
Node (Application Instance) | UE の 1 つのインスタンスです。通常は PC ごとに 1 つのアプリケーション インスタンスがありますが、特定のユースケースでは複数のインスタンスを使用することもできます。アプリケーション インスタンス ウィンドウは、このノードの [Details] パネルで設定されています。 |
Viewports | 3D ワールドでのウィンドウを定義します。投影ポリシー、カメラ、およびターゲット ディスプレイのコンテナです。 |
クラスタのコンフィギュレーション
[Cluster] 設定にアクセスするには、次を実行します。
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[Cluster] パネルで Cluster を選択すると、[Details] パネルが開きます。
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[Details] パネルで、[Configuration] セクションを展開します。
[Cluster] 設定で、クラスタのポート、ネットワーク、同期ポリシーを設定できます。ポート、ネットワーク、同期の設定の変更の詳細については、「nDisplay 通信ポートを変更する」および「nDisplay での同期」を参照してください。
Output Mapping

[Output Mapping (出力マッピング)] パネルは、[Cluster] パネルで定義されているビューポートを 2D アプリケーション ウィンドウに効果的にマッピングします。[Output Mapping] パネルでは、次のことができます。
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ホスト コンピュータ、クラスタ ノード、ビューポートの間の関係を表示する。
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アプリケーション インスタンスのウィンドウ内で 2D ビューポートを視覚化、編集、マッピングする。
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ビューポートを平行移動および回転させる。
[Output Mapping] パネルの左上隅にある以下のツールを使用して、nDisplay クラスタのウィンドウおよびビューポートを変更できます。各ツールを左から右の順序で説明します。

ボタン | ショートカット | 説明 |
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ハンバーガー メニュー | 次のオプションを有効または無効にできます。
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情報バー | W キー | このオプションを有効にすると、ウィンドウの情報 (解像度、IP アドレス、など) が表示されます。 |
ウィンドウ外にあるビューポートを表示 | R キー | このオプションを有効にすると、アプリケーション ウィンドウの外側にあるすべてのビューポートが表示されます。 |
画面に合わせてズーム | Z キー | パネル ビューに合わせて自動的にズームします。 |
表示スケール | ウィンドウとビューポートのスケールを設定します。 | |
トランスフォーム操作 | ビューポートにトランスフォームを適用する以下のオプションがあります。
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配置の設定 | ノードの配置方法を設定します。次のオプションを有効または無効にできます。
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ノードのスナップ | ノードをスナップする方法を選択します。次のオプションを有効または無効にできます。
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ウィンドウのコンフィギュレーション
各ウィンドウ コンフィギュレーションでは、Unreal Engine アプリケーションのインスタンスのメイン ウィンドウに対する一連のプロパティが定義されています。これらを使用して、nDisplay がアプリケーションを起動したときのウィンドウの初期サイズと配置、ウィンドウをフルスクリーンで表示するかどうかなどの詳細を設定します。
また、nDisplay でシーンのレンダリングを表示するメイン アプリケーション ウィンドウ内の特定の領域を識別する、1 つまたは複数のビューポート コンフィギュレーションも指定します。
nDisplay 3D コンフィグ エディタ では、[Output Mapping] パネルでクラスタ ノードを選択してそのサイズを変更するか、クラスタ ノードの [Details] パネルの [Window] セクションで設定を変更することで、ウィンドウを構成できます。
出力リマッピング
出力リマッピングを使用すると、アプリケーション ウィンドウ内でビューポートが位置およびスケールに関してどのようにレンダリングされるかを指定できます。出力リマッピングでは、指定されたメッシュの UV チャンネルで定義されている回転など、カスタム トランスフォームを可能にすることで、この機能が拡張されています。
たとえば、出力画像のパーツがアプリケーション ウィンドウの異なる領域に表示されるように、パーツを平行移動、回転、スケーリングすることができます。
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この機能を有効にするには 3 つの方法があります。
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カスタム UV マッピングが設定されている平面ジオメトリが入っているスタティック メッシュを割り当てる。
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カスタム UV マッピングが設定されている平面ジオメトリが入っている外部
.obj
ファイルを割り当てる。 -
[Output Mapping] パネルでビューポートを選択し、[Transform Operation] を選択します。
スタティック メッシュまたは外部ファイルを使用した出力リマッピング
出力リマッピングを適用するには、カスタム UV マッピング設定がされている平面ジオメトリが入っている、スタティックメッシュまたは外部 .obj
ファイルのいずれかを指定する必要があります。nDisplay は、プレーンに設定されている UV チャンネルを使用して、出力画像をアプリケーション ウィンドウの各部分にどのようにマッピングするかを決定します。
入力メッシュを単位サイズにして、アプリケーション全体に適用することができます。これは、任意の UV 空間を持つメッシュに適用される最終ポストプロセス シェーダーへの入力 GPU テクスチャ サンプラとして、nDisplay が最終レンダリング バッファを使用するからです。
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外部ファイルを使用して nDisplay のレンダリングに回転を適用する場合、その回転がウィンドウに収まるように、アプリケーション ウィンドウの解像度を手動で変更する必要があります。これを行わない場合は、レンダリングが拡大されて表示されます。
プロジェクトで出力リマッピングを有効にするには、以下の手順に従います。
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[Cluster] パネルで Node を選択すると、その [Details] パネルが開きます。
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[Details] パネルで、Output Remapping セクションを展開します。
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[Output Remapping] を有効にします。
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使用する データソース を Static Mesh または External File から選択します。
- Static Meshes の場合:プロジェクトにある スタティック メッシュ を参照して選択します。
- External Files の場合:ディスク上の
.obj
ファイルのパスを入力します。
出力リマッピングでスタティック メッシュを使用するには、そのスタティック メッシュの Allow CPUAccess が有効になっている必要があります。以下の手順で有効にします。
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コンテンツ ブラウザ でスタティックメッシュをダブルクリックすると、スケルタルメッシュ エディタ で開かれます。
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[Details] パネルで [General Settings (一般設定)] > [Advanced (詳細設定)] を展開します。
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[Allow CPUAccess] を有効にします。
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スタティック メッシュ アセットを保存すると、変更内容が保持されます。
トランスフォーム操作を使用した出力リマッピング
[Output Mapping] パネル内でビューポートをトランスフォームして、アプリケーション ウィンドウ内でビューポートがどのようにレンダリングされるかを変更できます。

左側の 2 つのビューポートは、時計回りに 90 度回転され、領域に合わせてスケーリングされています。
プロジェクトにあるビューポートに回転または反転のトランスフォームを素早く適用するには、以下の手順に従います。
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[Cluster] パネルまたは [Output Mapping] パネルでビューポートを選択します。
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[Output Mapping] パネルで [Transform (トランスフォーム)] を選択し、適用する操作を選択します。
または、ビューポートを右クリックして開いたコンテキスト メニューで、目的の [Transform] を選択します。
ビューポートのコンフィギュレーション
各ウィンドウ コンフィギュレーションは 1 つまたは複数のビューポート コンフィギュレーションを参照していて、そのそれぞれで、nDisplay がシーンのレンダリングされたビューが表示される、ウィンドウの矩形領域が定義されています。通常、ビューポートはアプリケーション ウィンドウの左上隅を起点とし、親ウィンドウが埋まるようにその幅と高さが設定されます。
ただし、場合によっては、親アプリケーション ウィンドウ内でビューポートのオフセット、スケール、回転を調整する必要があります。たとえば、LED プロセッサで、より大きいキャンバス内でプログラムされたカスタム 2D マッピングが使用されることがあります。nDisplay の [Output Mapping] パネルを使用して、ディスプレイ デバイスまたはプロセッサで想定されている領域内にビューポートが収まるように、ビューポートを配置または回転させることができます。アプリケーション ウィンドウごとにカスタム背景画像をロードして、ビューポートを配置しやすくすることができます。
OS コンフィギュレーションを使用してディスプレイを回転または平行移動させる場合に、出力リマッピング ツールを使用して、その任意の回転および位置に一致させることができます。
前述の各ビューポート コンフィギュレーションでは、ビューポート内で画像がどのようにレンダリングされるかを定義する責任がある、投影ポリシーを参照しています。Unreal は、ベイクされたカメラ アニメーションやインタラクティブなカメラ アニメーションが可能になるように、クラスタ全体を現在のカメラの位置に自動的にアタッチします。ニーズに合わせて、カメラを無効にすることができます。
最もよくある 2D の状況では、ディスプレイ コンフィギュレーションおよび View Origin で定義されている視錐台を使用して仮想ワールドをレンダリングする、単純な 投影タイプを使用します。そのようにしてレンダリングされたピクセルは、アタッチしているビューポートによって効果的に格納および定義されます。
もっと複雑なセットアップ (インカメラ VFX、曲面や任意の形状のサーフェスのディスプレイ、など) では、メッシュ または MPCDI の投影ポリシーを使用することができます。
EasyBlend、VIOSO、DomeProjection など、業界特有の他の投影タイプでは、プロジェクターによって照らされているディスプレイ サーフェスを対象とし、他の方法を使用して、ビューポートに対してレンダリングされるコンテンツを定義および適応させています。そして、追加の補正を導入するか、カスタム レンダリング手法を適用してから、矩形のビューポートに画像をレンダリングすることがあります。たとえば、曲面のサーフェスや任意の形状のサーフェスに表示した場合に自然に見えるように、投影で、画像を押しつぶしたり、引き延ばしたり、歪ませたりすることもできます。そのような処理では、レンダリングされた連続画像に対して、必要な色補正やガンマカーブ補正を適用することもできます。
投影タイプとそのコンフィギュレーションの詳細については、「nDisplay の投影ポリシー」を参照してください。
テクスチャ共有
TextureShare を使用すると、ビューポート テクスチャを別のアプリケーションと共有することや、別のアプリケーションからテクスチャを受け取って、指定したビューポートに表示することができます。
ビューポートに対してテクスチャ共有を有効にするには以下の手順に従います。
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3D コンフィグ エディタ で ビューポート を選択して [Details] パネルを開きます。
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[Details] パネルで Share Viewport を有効にします。
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これで、外部アプリケーションのビューポートを使用してテクスチャの送受信ができるようになりました。
同期の設定および外部アプリケーションを設定する方法の詳細については、「テクスチャ共有」を参照してください。
3D ビューポート

3D ビューポートを使用すると、nDisplay クラスタのディスプレイ、カメラ、およびトラッキング設定を視覚化できます。このパネルは、以下の項目を視覚化および編集する手段を提供する 3D 編集ツールです。
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ディスプレイのトポロジおよび投影ポリシー
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トラッキングされているカメラの位置
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トラッキングされているユーザーの位置
このビューを使用すると、次のことを確認できます。
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ディスプレイが適切に設定されている
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プレビュー レンダリングがカメラの視点から正しく見えている
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ビューポートがスクリーンに適切にマッピングされている