Unreal Engine (UE) では、ソースまたは事前にコンパイル済みの インストールされたビルド のいずれかから作成したビルドを使った Linux デバイスでの開発をサポートしています。このページでは、開発環境やビルド パイプラインなど、Linux での Unreal Engine の設定に関する手順を紹介します。このチュートリアルを完了すると、Linux マシンを使って Unreal Engine でアプリケーションを開発するための準備が整います。
1. 推奨されるソフトウェアとハードウェア
Unreal Engine はさまざまな Linux ディストリビューションと IDE に対応していますが、これらは以下の最小要件を満たしている必要があります。
Unreal Engine の実行 | |
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オペレーティング システム | CentOS 7.x 以降の合理的な新しい Linux ディストリビューション |
Linux Kernel バージョン | kernel 3.x 以上 |
追加の依存関係 | glibc 2.17 以上 |
Unreal Editor をスムーズに実行するために、以下のスタンダードに準拠したシステムを使用することを推奨します。
オペレーティング システム | Ubuntu 22.04 |
プロセッサ | クワッドコア Intel または AMD (2.5 GHz またはそれ以上) |
メモリ | 32 GB RAM |
ビデオ カード | NVIDIA GeForce 960 GTX 以上 (最新の NVIDIA バイナリ ドライバー) |
ビデオ RAM | 8 GB 以上 |
RHI バージョン | Vulkan: AMD (21.11.3+) および NVIDIA (515.48+) |
Linux で使用される Vulkan レンダリング ハードウェア インターフェース (RHI) は、他のバックエンドと比べて VRAM が少ない場合にうまく機能しません。このため、VRAM を多く備えた専用の GPU をお使いになることを強く推奨します。
開発環境の設定には、当社で最もよくテストしている以下のソフトウェアを推奨します。
Unreal Engine を使用した開発 | |
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オペレーティング システム | Ubuntu 22.04、CentOS 7 |
コンパイラ | clang 16.0.6 |
オプション | |
IDE | Visual Studio Code、Rider |
これらの設定方法の詳細については、お使いの Linux ディストリビューションまたは IDE のドキュメントを参照してください。OS とハードウェアの設定についてはこのドキュメントの範囲外ですが、お使いの IDE で Unreal Engine を使用できるように設定する方法については以下で説明します。
2. Unreal Engine をインストールする
Linux に Unreal Engine を設定するには、事前にコンパイル済みのビルドをインストールするか、ソースからエンジンをビルドします。
2a. インストール済みのビルドをダウンロードする
Unreal Engine を実行する上で最もシンプルなのは、インストール済みのビルドを使用する方法です。インストール済みのビルドをダウンロードしてインストールするには、次の手順を実行します。
Linux 向けの Unreal Engine はソースコードのビルドだけでなく、コンパイル済みでインストールされたビルドもサポートしています。ソースコードのビルドに関する詳細は、「ソースから Unreal Engine をビルドする」を参照してください。
コンパイル済みのビルドを使用するには、以下の手順に従います。
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「Linux 向け Unreal Engine」ページを開きます。アカウントがある場合は、サインインしてページにアクセスします。アカウントがない場合は、[Sign Up] をクリックしてアカウントを作成します。
E メールまたはサポートされているソーシャル メディアまたはゲームプラットフォーム アカウントを使用して、EpicGames アカウントにサインアップできます。
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必要な Unreal Engine のバージョンを含む
.zip
ファイルをダウンロードします。 -
希望するインストール ディレクトリに
.zip
のコンテンツを展開します。 -
ターミナルから
Engine/Binaries/Linux/UnrealEditor
を実行して Unreal Engine を起動します。
2b. Unreal Engine をソースからビルドする
Unreal Engine をソースからインストールするには、「Unreal Engine のソースコードをダウンロードする」を参照してください。エンジンをコンパイルしたら、ターミナルから Engine/Binaries/Linux/UnrealEditor
を実行して Unreal Editor を起動します。
3. 新しいプロジェクトを設定する
新しいプロジェクトの設定方法については、「Creating a New Project in Unreal Engine (Unreal Engine で新規プロジェクトを作成する)」の手順を参照してください。このチュートリアルでは特定のテンプレートやプロジェクト タイプを選ぶ必要はありませんが、C++ の環境を設定する場合は、プロジェクトで C++ が有効なっていることを確認してください。
[Screenshot enabling the C++ setting)
4. 開発環境 (C++) を設定する
C++ プロジェクトの開発を予定している場合は、Clang ツールチェーンと IDE を Unreal Engine で機能するように設定する必要があります。特定の IDE は必須ではありませんが、Visual Studio Code または Rider を使用することをお勧めします。Visual Studio Code では他のオペレーティング システムにも共通する開発環境が提供されるため、このセクションでは Visual Studio Code を使って手順を説明します。
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ターミナルを開いて次のコマンドを実行します。
Sudo apt install clang
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Unreal Engine のインストール ディレクトリに移動して「
Build/BatchFiles/Linux
」を開き、SetupToolchain.sh
を実行します。 -
VS Code と、公式の C / C++ 拡張パックおよび C# 拡張機能をダウンロードしてインストールします。これらは、Unreal Engine とそのビルド ツールの両方のソース コードを読み取るために必要です。
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Unreal Editor を起動するか [Editor Preferences (エディタの環境設定)] を開き、[Source Code Editor (ソース コード エディタ)] を [Visual Studio Code] に設定するか、「
BaseEngine.ini
」を編集して以下を追加します。[/Script/SourceCodeAccess.SourceCodeAccessSettings] PreferredAccessor=VisualStudioCode
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GenerateProjectFiles.sh -vscode
を実行して、エンジン ディストリビューション (ソース コード ビルドの場合) またはプロジェクトのいずれかの VS Code ワークスペースを生成します。特定のプロジェクトを指定するには、-project=(path to your project)
を追加します。
IntelliSense や他の役立つユーティリティで VS Code を設定する方法については、「Unreal Engine 用に VS コードをセットアップする」を参照してください。
5. プロジェクトをビルドする
環境の設定が完了したので、次はプロジェクトのテスト ビルドを実行して、ワークフローが完全に機能することを確認しましょう。
5a. Unreal Editor でプロジェクトをビルドする
Unreal Editor でプロジェクトを開き、[Platforms (プラットフォーム)] ドロップダウンをクリックして [Linux] > [Package Project (プロジェクトをパッケージ化)] を選択します。システムの設定が正しければ、Unreal Engine によってプロジェクトのビルドとクックが行われ、パッケージ化されます。
5b. コマンドラインでプロジェクトをビルドする
コマンドラインを使ってプロジェクトをビルドするには、RunUAT スクリプトの BuildCookRun コマンドを使用します。このコマンドについては、「ビルド作業を行う」のガイドで詳しく説明されています。次は、適切に機能する BuildCookRun コマンドの例です。
[UE Root Directory]/RunUAT BuildCookRun -Build -Cook -Stage -Package -Run -Project=[ProjectName]
別の方法として、Turnkey コマンドラインを使っても同じプロセスを開始できます。
[UE Root Directory]/RunUAT Turnkey -command=ExecuteBuild -platform=Linux -Project=[ProjectName]
通常、RunUAT は Unreal Engine ソース ディレクトリから使用する必要があります。このコマンドをより簡単に実行できるようにするには、$UE_ROOT
環境変数を定義します。これによって RunUAT を $UE_ROOT/RunUAT BuildCookRun
などのコマンドで使用できるようになり、RunUAT スクリプトに全体のパスを提供する必要はなくなります。