
Unreal Engine (UE) は Vulkan グラフィックス API をサポートしています。Vulkan はオーバーヘッドが低いクロス プラットフォーム 3D グラフィクス ライブラリで、これによりデベロッパーは Android の基本モバイル プロジェクトにおける GPU と低レベルな CPU の使用バランスの調整が容易になります。以下の操作ガイドでは、UE5 Android プロジェクトで Vulkan を有効にして使用する方法について説明します。
PC 開発用 Vulkan ビデオ ドライバー
開発 PC で利用できる Vulkan のレンダリング オプションを可視化できることを確認するために、グラフィック カード用に最新のビデオカード ドライバーがダウンロードおよびインストールされていることを確認する必要があります。以下は、開発用 PC で Vulkan がどのように見えるかをプレビューするために最低限必要なドライバーのバージョンです。
Vulkan デバイスの互換性を確認する
市場には数多くの Android スマートフォンが出回っているため、ご使用のスマートフォンが Vulkan レンダリング API をサポートしているかどうかを判断するのは難しいです。ご使用のスマートフォンが Vulkan API をサポートしているかどうかを素早く判断するために、Google Play Store: Hardware Caps Viewer for Vulkan から以下のプログラムをインストールすることを推奨します。
Vulkan Hardware Capability Viewer はクライアント ツールです。新しい Vulkan Graphics API をサポートするデバイス向けハードウェアの実装の詳細を収集する必要のあるデベロッパーのためのツールです。
サポート対象の Vulkan デバイス
以下のデバイスは Vulkan 以外のプロファイルに加えて Vulkan 専用のプロファイルが使用できます。
- Adreno 6xx
- Mali G72
- Mali G76
- Mali G77
- PowerVR GM9xxx
デバイスが Android 9 以上かつプロジェクトの機能レベルとして Vulkan を有効にしている場合、これらの GPU ファミリーのデバイス プロファイルで Vulkan を有効したバージョンを使用します。
モバイル キャリアが Vulkan アップデートをリリースしているデバイス バリアントのみ、Vulkan API が利用可能となりますのでご注意ください。モバイル デバイスにサポートがプッシュされているかについては、モバイル キャリアにお問い合わせください。
Vulkan のビルド方法
Vulkan API 対応の UE4 プロジェクトをビルドするには、以下の手順を行います。
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始める前に、使用する Android スマートフォンが USB で開発用 PC に接続され、Android スマートフォンの開発モードが有効にされていることを確認してください。
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UE4 Editor を起動して、[Games] > 「Blank」テンプレートを使って、以下の設定で新規プロジェクトを作成します。
- Blueprint Project を有効にする
- Mobile / Tablet を有効にする
- Maximum Quality を有効にする
- No Starter Content を有効にする
次に [Create Pproject] ボタンをクリックして、新規プロジェクトを作成およびロードします。
- プロジェクトがロードされたら [Edit (編集)] \>[Project Settings (プロジェクト設定)] を選択して [Engine] の [Rendering (レンダリング)] セクションの [Mobile HDR] が有効にされていることを確認します。
クリックしてフルサイズで表示。
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[APKPackaging] セクションの [Build (ビルド)] で以下のオプションが有効になっていることを確認します。
- Support arm7 [aka armebi-v7a]
- Support OpenGL ES3.1
- Support Vulkan
- メニュー バーから [File] \> [Package Project (パッケージ プロジェクト)] \> [Android] を開いて [Android(ASTC)] オプションを選択します。
クリックしてフルサイズで表示。
- ビルドした Android の保存先を選択して [OK] ボタンを押して、パッケージ処理を開始します。
クリックしてフルサイズで表示。
- パッケージ処理が完了したら、パッケージ処理されたビルドが置かれているフォルダを開きます。このフォルダの中に 2 つの .BAT ファイルがあります。名前に Install が含まれている .BAT ファイルの方をクリックして、デバイスにインストールします。
クリックしてフルサイズで表示。
- デバイスへのインストールが完了したら、プロジェクト名が付いている UE4 アイコンを押してデバイス上でプロジェクトを起動します。
クリックしてフルサイズで表示。
エディタで Vulkan Preview Rendering を有効にする
上記の説明にあるようにプロジェクト内で Vulken を有効にすると、プレビュー レンダリング オプションが自動的に表示されます。メインツールバー の [Settings (設定)] オプションをクリックして [Preview Rendering Level (レンダリング レベルをプレビュー)] オプションを選択します。UE4 ビューポートで Vulkan プレビューを有効にするには Android Vulkan オプションを選択します。
クリックしてフルサイズで表示。
ビューポートの右下隅には Feature Level:Android Vulkan ES31 という表示があります。
次に、エディタは必要な Vulkan オプションを含むためにシェーダー キャッシュ全体をリコンパイルする必要があります。プロジェクト サイズと開発コンピュータのパワーによって、この処理の所要時間が数分から 1 時間以上かかる場合があります。
Vulkan Mobile Preview Render を有効にする
モバイル プレビュー レンダリングで Vulkan のレンダリングを使用する機能を有効にするには、プロジェクトで以下の操作を行います。
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メイン ツールバー の [Edit (編集)] オプションからメインメニューの [Editor Preferences (エディタの環境設定)] オプションを選びます。
- [General (一般)] セクションの [Experimental (実験的)] カテゴリの [PIE] セクションを展開し、[Allow Vulkan Mobile Preview (Vulkan モバイル プレビューを有効にする)] の横にあるチェックボックスを選択します。
クリックしてフルサイズで表示。
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ツールバーに戻って、[Play] ボタンの横にある小さな白い三角をクリックし、ドロップダウン メニューから [Vulkan Mobile Preview (PIE)] を選んで [Play Mode] を [Play this level in the selected viewport (選択したビューポートでこのレベルをプレイする)] から [Vulkan Mobile Preview (PIE)] オプションに変更します。
- ツールバーの [Play] ボタンをクリックして、Vulkan レンダリングを有効にしたまま、新規プレビュー ウィンドウで UE4 を起動します。設定がすべて正常にされていれば、以下の画像のようになるはずです。
クリックしてフルサイズで表示。
プレビュー ウィンドウの上部のプロジェクト名の横に (SF_VULKAN_ES31) を表示されない場合は、プロジェクトで Vulkan API が使われていないことを示します。この場合にはご使用のビデオカードが最新かどうかを確認してください。