AMD の FidelityFX Super Resolution (FSR) では、テンポラル アップスケーリングを通じて低解像度の入力から高解像度の画像を生成します。アプリケーションでは、ネイティブ解像度ではなく低解像度でレンダリングし、次に FSR を使って最初のレンダリング結果をネイティブ解像度にアップスケールします。これにより、本来であれば高負荷のレンダリング プロセスを、制限されたハードウェア上で実行することができます。
Unreal Engine (UE) では、モバイル向けに最適化されたバージョンの FSR 1.0 をサポートしています。このドキュメントでは Mobile FSR を有効にする方法について説明し、そのコンフィギュレーション パラメータのリファレンス ガイドを提供します。
FSR の使用に関する技術的詳細とガイダンスについては、[AMD による FSR 1.0 のドキュメント](https://github.com/GPUOpen-Effects/FidelityFX-FSR](https://github.com/GPUOpen-Effects/FidelityFX-FSR) を参照してください。
Mobile FSR の利点
この FSR の実装ではレンダリング品質がやや下がるものの、パフォーマンスが 2 倍 (最大精度を使用) から 4 倍 (半精度を使用) の間で向上します。このパフォーマンス向上は品質面でのトレードオフに比べて非常に大きなものであるため、当社では、アプリケーションの最終的なレンダリングが全画面サイズではない場合を除き、Mobile FSR の使用をお勧めしています。
Mobile FSR を有効にする
Mobile FSR を有効にするには、次のステップを実行します。
-
[Plugins (プラグイン)] ウィンドウを開き、[Rendering (レンダリング)] カテゴリに含まれる Mobile FSR プラグインを有効にします。
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コンソールまたは デバイス プロファイル で CVar
r.Mobile.FSR.enabled
を「1」に設定します。
Mobile FSR を有効にすると、それを設定するための変数が使用可能になります。r.Mobile.FSR.RCAS.enabled
変数と r.Mobile.FSR.Upsampling.enabled
変数は、いずれもデフォルトで「1 (true)」に設定されています。
Mobile FSR は Unreal Editor の [Mobile Preview (モバイル プレビュー)] で有効になります。
Mobile FSR を設定する
Mobile FSR を設定するには、デバイス プロファイルまたはコンソールで以下のパラメータを使用します。
パラメータ | 説明 |
---|---|
r.Mobile.FSR.enabled |
Mobile FSR のサポートを有効にします。 |
r.Mobile.FSR.RCAS.enabled |
画像品質に最もメリットをもたらす、FSR のシャープニング (CAS) を有効にします。 |
r.Mobile.FSR.RCAS.Sharpness |
CAS で生成されるシャープネスのレベルを制御します。「0」が最もシャープな設定で、数値を高く設定するにつれてシャープネスが低下します。 |
r.Mobile.FSR.RCAS.Denoise |
ディザがかかった画像や、FSR 処理前にカスタム仕様のフィルム粒子エフェクトが適用された入力など、粒子の粗い入力のサポートを有効にします。スタイル化されたゲームや、エフェクトが有効なゲームの部分で役立ちます。 |
r.Mobile.FSR.Upsampling.enabled |
FSR のアップサンプリングを有効にします。CAS でアップサンプリングを有効にすることは必須ではありませんが、品質に関するメリットがあります。 |
r.Mobile.FSR.DisableCompute |
FSR のコンピュート パスを無効にします。これにより、Mali デバイスでのパフォーマンスが向上します。 |
制限事項
Mobile FSR はほとんどのポストプロセスで意図どおりに機能しますが、ポストプロセスの一環として意図的なノイズやパターンを適用した場合に、予期せぬアーティファクトが生じることがあります。
参考文献
アプリケーションでの FSR の使用に関する技術的詳細のガイダンスについては、[AMD による FSR 1.0 のドキュメント](https://github.com/GPUOpen-Effects/FidelityFX-FSR](https://github.com/GPUOpen-Effects/FidelityFX-FSR) を参照してください。