ディレクショナル ライト (DirectionalLight) は、はるか遠くにある光源から放出されるライトをシミュレートします。つまり、このライトからキャストされるシャドウはすべて平行になるため、太陽光のシミュレーションに最適な選択肢です。配置されたディレクショナル ライトは、次の 3 つの [Mobility (可動性)] 設定のいずれかに設定できます。
- Static (静的) - (左の写真) ゲーム内でライトを変更できないことを意味します。最速のレンダリング方法であり、ベイクされたライティングが可能になります。
- Stationary (固定ライト) (左の図) Lightmass によってベイクされたスタティック ジオメトリからのシャドウイングおよびバウンス ライティングのみを使用するので、他のすべてのライトは動的になります。この設定により、ゲーム中にライトのカラーと強度を変更することが可能となりますが、移動および部分的なライトの焼付けはできません。
- Moveable (可動) - (左の図) ライトは完全に動的であり、動的シャドウイングが可能になります。レンダリングは最も遅くなりますが、ゲームプレイ中は一番柔軟性があります。
下図で、天井の空いた部分から日光がキャストされていることが分かります。


図の左側はライトのみ、右側は [Shadow Frustum (シャドウ錐台)] を有効にしてディレクショナル ライトが平行光線をキャストしているのがわかります。
Light Direction (左の図) の矢印は、ライトが放射する方向を示しています。必要に応じてライトを配置したり向きを決める場合に便利です。
ディレクショナル ライトのプロパティ
ディレクショナル ライトのプロパティは、ライト、ライト シャフト、Lightmass、ライト関数、カスケード シャドウ マップの 5 つのカテゴリに分類されます。
ライト
プロパティ | ディスクリプション | |
---|---|---|
強度 | ライトが放出する総エネルギー | |
ライトカラー | ライトが放つ色。 | |
Source Angle (ソース アングル) | 光源によって規定される角度 (度単位)。デフォルトは「0.5357」で、これは太陽の角度です。 | |
Source Soft Angle (ソース ソフト アングル) | ソフト光源によって規定される角度 (度単位)。 | |
Use Temperature (温度を使用) | 無効にすると、光源として白が使用されます。 | |
温度 | 黒体発光体の色温度 (ケルビン単位)。白は 6500K です。 | |
Affects World (ワールドに影響) | ライトを完全に無効にします。実行時に設定することはできません。実行中にライトの影響を無効にするには [Visibility (可視性)] プロパティを変更します。 | |
影を生成する | ライトにシャドウをキャストさせるかどうかを設定します。 | |
間接ライティング強度 | ライトからの間接ライティングの効果をスケーリングします。 | |
ボリュメトリック散乱強度 | このライトからのボリュメトリック散乱 (スキャタリング) の強度です。 | |
Shadow Cascade Bias Distribution | カスケード全体の深度バイアスを制御します。これを使用すると、シャドウ カスケードの遷移におけるシャドウ アクネの差異を軽減できます。 | |
フォワードシェーディングの優先度 | フォワード シェーディング、透過、シングル レイヤー ウォーター、およびボリュメトリック フォグに使用する、単一のディレクショナル ライトのフォワード ライティングの優先度。2 つのライトの優先度が同じ場合、選択はフォールバックとしての全体的な輝度に基づいて行われます。 | |
変調シャドウをキャスト | 動的オブジェクトから変調シャドウをキャストするかどうか (モバイルのみ) を設定します。 | |
調整後のシャドウ カラー | 変調シャドウをレンダリングするときにシーンの色に対して変調する色 (モバイルのみ)。 | |
シャドウの量 | シャドウ オクルージョンの量。値が「0」であればオクルージョンなし、つまりシャドウはありません。 | |
スペキュラのスケール | スペキュラ ハイライトの乗数。使用には注意が必要です。「1」以外の値は物理的に不自然になります。 | |
シャドウの解像度スケール | このライトにシャドウを適用するために使用するシャドウ マップの解像度をスケーリングします。 | |
シャドウのバイアス | このライトからのシャドウの精度を制御します。 | |
Shadow Slope Bias | このライトからのシーン全体のシャドウのセルフ シャドウイングの正確さを制御します。サーフェスの傾斜に応じてバイアスの量を増やすことで、シャドウ バイアスに対して機能します。 | |
Shadow Filter Sharpen | このライトに対するシャドウ フィルタリングをシャープにする度合い。 | |
コンタクト シャドウの長さ | シャープなコンタクト シャドウに対する画面空間のレイトレースの長さ。 | |
Contact Shadow Length in World Space Units (ワールド空間単位でのコンタクト シャドウの長さ) | コンタクト シャドウの長さにワールド空間単位を使用するかどうか。 | |
透過シャドウをキャスト | 半透明のオブジェクトを通して動的シャドウをキャストするかどうか。 | |
シネマティック オブジェクトからのシャドウのみをキャスト | ライトが bCastCinematicShadows としてマークされたコンポーネントからのみシャドウをキャストするかどうか。キャラクターに向けたシネマティックな可動スポットライトを設定し、背景のシャドウの深さのコストを回避する際に役立ちます。 このオプションは動的シャドウ マップでのみ機能します。静的シャドウやレイ トレース距離フィールド シャドウでは機能しません。 |
|
ダイナミック間接ライティング | ライトを ライト プロパゲーション ボリューム に注入するかどうか。 | |
キャッシュ済みシャドウを可動プリミティブに適用 | 可動プリミティブのキャッシュされたシャドウを有効にします。 | |
ライティング チャンネル | このライトが影響するチャンネル。 | |
静的シャドウをキャスト | このライトが静的シャドウをキャストするかどうか。 | |
動的シャドウをキャスト | このライトが動的シャドウをキャストするかどうか。 | |
Affect Translucent Lighting (透過ライティングに影響) | ライトが透過処理に影響を及ぼすかどうかを設定します。 | |
トランスミッション | サブサーフェス錯乱プロファイルを持つサーフェスを通過するかどうか。 | |
Cast Volumetric Shadow (ボリュメトリック シャドウをキャスト) | ボリュメトリック フォグにシャドウを付けるかどうか。 | |
Cast Deep Shadow (ディープ シャドウをキャスト) | 高品質な髪の束にセルフシャドウをキャストするかどうか。 | |
Cast Ray Traced Shadows (レイトレースによるシャドウをキャスト) | このライトに対してレイ トレース シャドウを有効にするかどうかを設定します。オプションは以下のとおりです。
|
|
Affect Ray Tracing Reflections (レイトレーシングによる反射に影響) | レイトレース反射が有効な場合に、反射内のオブジェクトに影響を与えるかどうか。 | |
レイトレースによるグローバル イルミネーションに影響を及ぼす | レイトレースによるグローバル イルミネーションが有効な場合に、グローバル イルミネーションに影響を与えるかどうか。 | |
Deep Shadow Layer Distribution (ディープ シャドウのレイヤー分布) | ディープ シャドウのレイヤー分布を変更します。値「0」は線形分布 (均一なレイヤー分布)、値「1」は指数分布です。 |
ライト シャフト
プロパティ | ディスクリプション |
---|---|
Light Shaft Occlusion (ライト シャフト オクルージョン) | ライトからのスクリーン空間の不明瞭なオクルージョンで、フォグと大気中のインスキャッタリングをオクルードするかどうか。 |
Occlusion Mask Darkness (オクルージョン マスクの濃度) | オクルージョン マスクの濃さを制御します。値「1」は暗色化しない表現になります。 |
Occlusion Depth Range (オクルージョン深度の範囲) | この距離よりもカメラに近い対象物はすべて、ライト シャフトをオクルードします。 |
Light Shaft Bloom (ライト シャフト ブルーム) | このライトに対してライト シャフト ブルームをレンダリングするかどうか。 |
Bloom Scale (ブルーム スケール) | 加法ブルーム色をスケーリングします。 |
Bloom Threshold (ブルームのしきい値) | ライト シャフトにブルームを作成するには、シーン カラーの値はこの値よりも大きくなくてはいけません。 |
Bloom Max Brightness (ブルーム最大輝度) | 露出が適用されると、この値によってシーンの色の明るさが制限されます。 |
Bloom Tint (ブルームの色合い) | ライト シャフトから発せられるブルームの色を設定します。 |
Light Shaft Override Direction (ライト シャフト オーバーライドの方向) | 光の実際の方向以外の場所からライト シャフトを照射する際に使用します。 |
Lightmass
プロパティ | ディスクリプション |
---|---|
ライト ソース アングル | ディレクショナル ライトのエミッシブ サーフェスがレシーバーと相対的に拡大する角度。半暗部のサイズに影響します |
間接ライティング彩度 | 値が「0」の場合、Lightmass 内のこのライトの彩度は最低になります。値が「1」の場合は変化しません。 |
シャドウ指数 | シャドウ暗部のフォールオフを制御します。 |
固定ライトにエリア シャドウを使用 | 固定ライトの事前計算されたシャドウ マップにエリア シャドウを使用するかどうかの設定です。 |
ライト関数
プロパティ | ディスクリプション | |
---|---|---|
Light Function Material (ライト関数マテリアル) | このライトに適用されるライト関数マテリアル。 | |
Light Function Scale (ライト関数スケール) | ライト関数の投影をスケーリングします。 | |
Fade Distance (フェード距離) | ライト関数が [Disabled Brightness (無効化輝度)] の値まで完全にフェードする距離。 | |
Disabled Brightness (無効化輝度) | 指定されたライト関数が無効になっているときに、ライトに適用する輝度係数です。たとえば、 | 上記のプロパティ Light Function Fade Distance です。 |
カスケード シャドウ マップ
プロパティ | ディスクリプション |
---|---|
動的シャドウ距離の可動ライト | カメラから測定された、可動ライトに対して カスケード シャドウ マップ の動的シャドウがカバーする範囲。 |
動的シャドウ距離の固定ライト | カメラから測定された、固定ライトに対して カスケード シャドウ マップ の動的シャドウがカバーする範囲。 |
動的シャドウ カスケードの数 | シーン全体の視錐台を分割するカスケードの数。 |
分布指数 | カスケードをカメラの近くに分散させるか (指数が大きい)、カメラから遠くに分散させるか (指数が小さい) を制御します。 |
Transition Fraction (遷移率) | カスケード間のフェード領域のプロポーション。 |
Distance Fadeout Fraction (距離フェードアウト率) | 動的シャドウの影響範囲のフェード アウト領域のサイズを制御します。 |
可動オブジェクトに対してインセット シャドウを使用する | (固定ライトのみ) カスケード シャドウ マップが有効になっている場合でも、移動可能なコンポーネントにオブジェクトごとのインセット シャドウを使用するかどうか。 |
遠方シャドウ カスケードの数 | 値が「0」の場合、距離シャドウ カスケードは発生しません。 |
遠方シャドウ距離 | 遠方シャドウのカスケードが終了する距離。 |
大気と雲
ディレクショナル ライトは、Unreal Engine の Sky Atmosphere (スカイ環境) 機能と Volumetric Clouds (ボリュメトリック クラウド) 機能をサポートしています。
追加情報とデモについては、「ボリュメトリック クラウド」ページの「ディレクショナル ライトの相互作用とシャドウイング」のセクションを参照してください。
プロパティ | ディスクリプション | |
---|---|---|
大気と雲 | ||
Atmosphere Sun Light | ディレクショナル ライトが、視覚的な空を構成する大気、雲、視覚的な太陽面の生成に寄与できるかどうか。 | |
Cast Shadows on Clouds | ライトによって不透明型メッシュから雲にシャドウをキャストする必要があるかどうか。もう一方の太陽や月の光など、Atmosphere Sun Light が有効で Atmosphere Sun Light Index が「1」に設定されたセカンダリ ディレクショナル ライトでは、これが無効化されます。 | |
Cast Shadows on Atmosphere | Sky Atmosphere の使用時に、ライトによって不透明型メッシュから大気にシャドウをキャストする必要があるかどうか。 | |
Cast Cloud Shadows | ライトによって雲から大気や他のシーン要素にシャドウをキャストする必要があるかどうか。 | |
Cloud Scattering Luminance Scale | ライトが雲の関与媒質で散乱する際の寄与をスケーリングします。これにより、現在の多重散乱ソリューションが単なる近似である事実を相殺できます。 | |
詳細プロパティ | ||
大気での太陽光インデックス | 太陽と月、または 2 つの太陽を表す 2 つの大気ライトがいつでもサポートされます。このインデックスを使ってプライマリとセカンダリのライトソースを設定します。たとえば、太陽は「0」で、月は「1」になります。 | |
大気での太陽面のカラー スケール | 太陽面の輝度付きで乗算された色。 | |
Per Pixel Atmosphere Transmittance | ライトのグローバル透過率を使用する代わりに、不透明型メッシュのピクセルごとに大気透過率を適用するかどうか。 | |
Cloud Shadow Strength | シャドウの強度。大きな値を指定するほどライトをさらに遮蔽します。 | |
Cloud Shadow on Atmosphere Strength | 大気に対するシャドウの強度。0 に設定すると大気に対するシャドウを無効化します。 | |
Cloud Shadow on Surface Strength | 不透明型メッシュと透明型メッシュに対するシャドウの強度。0 に設定すると、不透明型と半透明型のサーフェスに対するシャドウを無効化します。 | |
Cloud Shadow Depth Bias | ボリュメトリック クラウドのシャドウ マップについてフロント シャドウ深度に適用するバイアスを制御します。 | |
Cloud Shadow Extent | カメラ周辺のクラウド シャドウ マップに使用するワールド空間の半径。キロメートル (km) 単位で表します。 | |
Cloud Shadow Map Resolution Scale | クラウド シャドウ マップの解像度をスケーリングします。この解像度は r.VolumetricCloud.ShadowMap.MaxResolution でクランプされます。 |
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Cloud Shadow Ray Sample Count Scale | シャドウ マップのトレースに使用するサンプル数をスケーリングします。このサンプル数の解像度は r.VolumetricCloud.ShadowMap.RaySampleMaxCount でクランプされます。 |