コンポジット パスはコンポジット要素に属するオブジェクトです。パスは、要素をレンダリングするときに実行される個々のステップであり、順番に実行されます。
コンポジット パスには以下の 3 つのタイプがあります。
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Inputs (入力)
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Transforms (トランスフォーム)
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Outputs (出力)

ほとんどのパスは画像をレンダリングします。入力とトランスフォームでは、その画像を後続のパスで利用でき、レンダリング マテリアルで参照できます。
ブループリントで利用可能
パスはブループリントで利用可能であるため、ユーザーは独自のパスを簡単に作成して、それをコンポジット システムで使用できます。ブループリントを作成し、 [CompositingElementInput]、 [CompositingElementTransform]、 [CompositingElementOutput] のいずれかから継承するだけです。
共有設定
それぞれのパスには独自のプロパティのセットがありますが、以下のプロパティはすべてのパスで共有されています。
プロパティ | 説明 |
---|---|
Enabled | 要素と同様に、個々のパスを無効にできます。オフになっている場合、要素はそのパスが存在しないかのように動作します。 |
Pass Name | パスには名前があり、後続の他のパスで参照できます。パス名をレンダリング マテリアルで参照する場合、そのパス名は一意である必要があります。 |
Intermediate | レンダリング パスごとに 1 つのレンダー ターゲットが割り当てられます。デフォルトでは、次のパスによる結果のみが必要であると想定されています。その後に、レンダー リソースを節約するために、そのレンダー ターゲットは別のパスで再利用できるように解放されます。その後もパスの結果にアクセスする必要がある場合は、このボックスをオフにします。 |
Inputs (入力)
Media Texture Compositing Input
このパスは、ビデオをコンポジット システムにルーティングします。メディア テクスチャを参照する必要があります。[Media Source (メディア ソース)] はパスのマテリアルを使用して処理されます。

[Media Source (メディア ソース)] がない場合、そのメディア パスは空白になります。ただし、ゲーム コンフィグ ファイル: [/Script/Composure.ComposureGameSettings] StaticVideoPlateDebugImage="/Game/Path/To/My/TextureAsset"
で、デフォルトの静止画像をセットアップできます。
Texture Input
このパスでは、静的テクスチャをコンポジット システムに供給するための簡単な方法が提供されます。

Transforms
トランスフォームでは、入力画像を受け取って、処理済みの画像を出力します。サブ要素を参照してそれらを組み合わせるマテリアル パスであり、従来ここで合成が行われています。
Compositing Element Material Pass
このパスを使用すると、ユーザーはカスタム マテリアルを作成でき、そこで他の要素やパスを参照できます。これが、コンポジット システムの基本です。

Post Process Pass Set (ポストプロセス パス セット)
このパスは、直前のパスにポストプロセス エフェクトを適用します (最初のパスである場合は使用不可)。

利用できるのは一部のエフェクト (ブルームとトーンマッピング) のみです。ユーザーは ComposurePostProcessPassPolicy のサブクラスを作成することによって、エフェクトを追加できます。
Compositing Tonemap Pass
このパスは、直前のパスに、仕上げのポストプロセス トーンマッピングを適用します。

このパスは、画像を線形色空間から変換して戻すのに役立ちます。プレビュー トランスフォームとして使用するか、または出力パスで使用すると便利です (中間マテリアル操作では線形色が想定されている)。
Multi Pass Chroma Keyer (マルチ パス クロマキーヤー)
このパスは、画像をキー処理するために メディア プレート要素 で使用されます。 Key Colors プロパティでは、透明にする色を指定します (複数指定可)。

必要であれば、 [Required Material Parameters (必須マテリアル パラメータ)] フィールドに一覧表示されているパラメータを使用して、独自のクロマキー用のマテリアルを切り替えることができます。
このパスは、キーの色ごとに 1 回実行されるため、複数回実行されます。
Multi Pass Despill (マルチ パス スピル除去)
このパスは、画像からクロマカラーのバウンス (グリーン スクリーンから「放出」される) を除去します。

[Chroma Keyer Pass (クロマキーヤー パス)] とほぼ同じで、除去するキーの色を [Key Colors (キーの色)] で指定します。また、 [Chroma Keyer Pass (クロマキーヤー パス)] と同様に、このパスは、キーの色ごとに 1 回実行されるため、複数回実行されます。独自のスピル除去用のマテリアルを切り替えることができます ([Required Material Parameters (必須マテリアル パラメータ)] フィールドに一覧表示されているパラメータが必要)。
クロマキー処理とスピル除去の詳細については、UE4 の こちらのブログ投稿を参照してください。
OpenColorIO Pass
入力画像の画素色に対して色変換 (色空間変換) を行うためのパスです。

Outputs (出力)
出力パスは、要素の完全処理済み画像のブロードキャスト先を定義します。一部の出力では、画像をルーティングする前に、独自のトランスフォームが行われます。
Compositing Media Capture Output
このパスは、要素の結果をメディア キャプチャ ターゲットにルーティングします。 [Capture Output (キャプチャ出力)] フィールドでは、画像のルーティング先の詳細 (キャプチャ カード、ポート ID、ピクセル形式など) が記述されているコンフィギュレーション ファイルであるメディア出力アセットが想定されています。

このパスには、 [Color Conversion (色変換)] トランスフォームが関連付けられていて、画像を出力する前に実行されます。
EXRFile Compositing Output
このパスは、要素によってレンダリングされるフレームごとに 1 つの .EXR 画像ファイルをハードディスクに保存します。

このパスは、 [Output Directory (出力ディレクトリ)] が指定されるとすぐに (フレームごとに 1 つの) 画像を書き出し始めます。詳細に制御する場合は、最初にこのパスを無効にします。
Player Viewport Compositing Output
このパスを使用すると、ゲームでのプレイヤーのビューポートが引き継がれて、その表示が要素の結果で置き換えられます。

このパスには、 [Color Conversion (色変換)] トランスフォームが関連付けられていて、画像を表示する前に実行されます。実際に確認するにはエディタで再生します。
Render Target Compositing Output
このパスは、要素の結果をレンダー ターゲットに書き込みます。

[Render Target (レンダー ターゲット)] フィールドを使用して対象アセットを指定します。