Cine Camera アクタは、実世界のフィルム カメラの動作をレプリケートする追加の設定を備えた特別な Camera アクタ です。フィルムバック、レンズ、および フォーカス の設定を調整する機能により、業界標準に準拠しながら、リアルなシーンの作成に必要なツールを得ることができます。
作成
[Place Actors (アクタを配置)] パネルの [Cinematic (シネマティック)] タブに移動し、 [Cine Camera Actor] を見つけます。このパネルからビューポートにドラッグし、シーンに Cine Camera アクタを追加します。

シーケンサを使用している場合は、シーケンサのツールバーの [Camera (カメラ)] ボタンをクリックして Cine Camera アクタを作成することもできます。これにより、一時的に スポーン可能な Cine Camera アクタのトラックが現在のシーケンスに作成されます。

[Create Spawnable Cameras (スポーン可能なカメラの作成)] 環境設定を使用し、シーケンサの [Editor Preferences (環境設定)] で、カメラをスポーン可能なものとして作成するかどうかを指定できます。
使用方法
Cine Camera アクタには、ビューポートでの撮影体験をサポートするいくつかの主要な機能が用意されています。
パイロット
他のほとんどのアクタと同様に、Cine Camera アクタは パイロット (Pilot) が可能 で、ビューポートからのカメラの見え方や動作をプレビューすることができます。

Cine Camera アクタをパイロットするには、ビューポートから右クリックし、 ['CineCameraActor' をパイロットする] または Ctrl + Shift + P キーを押してパイロット モードを切り替えます。

ピクチャーインピクチャー表示
Cine Camera アクタが選択されているときは、ビューポートの右下隅に ピクチャーインピクチャー ウィンドウが表示されます。このウィンドウには、カメラのビューのプレビューや、カメラの名前、フィルムバック、およびその他のプロパティについての情報が表示されます。

複数の Cine Camera アクタを選択すると、それぞれのビューで複数のピクチャーインピクチャー ウィンドウがビューポートに表示されます。
このウィンドウは、カメラが選択されていない場合でも表示されるようにピン留めできます。ピン留めするには、ピクチャーインピクチャー ウィンドウの左下隅にある ピン ボタンをクリックします。

このウィンドウは、Unreal Engine の 環境設定 でカスタマイズや無効化することもできます。Unreal Engine の上部メニューで、 [Edit (編集)] > [Editor Preferences (エディタの環境設定)] を選択し、 [Level Editor (レベル エディタ)] カテゴリの [Viewport (ビューポート)] メニューをクリックし、次のプロパティを見つけます。

名前 | 説明 |
---|---|
Preview Selected Cameras | ピクチャーインピクチャー表示を有効にします。 |
Camera Preview Size | ピクチャーインピクチャー表示のサイズを制御します。 |
ルックアット追跡
Cine Camera アクタの [Look at Tracking (ルックアット追跡)] 設定を使用して他のアクタを追跡できます。この機能を有効にすると、カメラの向きがオーバーライドされ、特定のオブジェクトの方向に照準を合わせるように変更されます。

カメラによる追跡を有効にするには、 Current Camera Settings カテゴリのカメラ詳細の Look at Tracking 設定を見つけます。[Enable Look at Tracking (ルックアット追跡の有効化)] を選択し、 Actor to Track プロパティをカメラで追跡するアクタに設定します。

ルックアット追跡機能には、追加のカスタマイズのための次のようなプロパティも含まれています。
名前 | 説明 |
---|---|
Enable Look at Tracking | このカメラでルックアット追跡を有効にします。 |
Draw Debug Look at Tracking Position | デバッグ ロケーター キューブでカメラの追跡対象を表示します。Relative Offset と組み合わせて使用すると便利です。 ![]() |
Look at Tracking Interp Speed | カメラがオブジェクトの追跡を更新する速度。デフォルト値の 0 はカメラによる追跡を直ちに行い、0 以上の値では、値が大きくなるほどカメラによる追跡が開始されるまでの時間が長くなります。 ![]() |
Actor to Track | カメラが追跡するアクタを指定します。このプロパティは、シーケンサでキーフレーム化し、時間の経過に伴ってカメラが追跡するターゲットを変更することができます。アクタが指定されていない場合、カメラは代わりにワールド基点 (0, 0, 0) を追跡します。 |
Relative Offset | ローカル空間を基準として追跡対象のアクタに適用する位置のオフセットを指定します。これは、追跡対象のアクタに対し、特定のフレーミングを制御するのに便利です。 ![]() |
Allow Roll | これを有効にすると、X 軸上でカメラを回転させることができます。無効になっている場合、カメラによる追跡によって X 軸上のデータがオーバーライドされます。 |
ポスト プロセス処理
すべての Cine Camera アクタは、 [パイロット] を行うと有効になる ポスト プロセス レイヤーをそれぞれ備えています。ポスト プロセスを実行すると、 ブルーム 、 露光 、 ビネット 、 カラーグレーディング などの追加のカメラ エフェクトを表示および調整できます。

Unreal Engine で利用可能なポスト プロセスの詳細については、「ポスト プロセス」ページを参照してください。
プロパティ
Cine Camera アクタを選択すると、次の詳細が表示されます。

名前 | 説明 |
---|---|
Filmback | |
Filmback | Filmback プロパティには、実世界のプリセットである カメラ ボディ のリストが含まれており、その中から選択できます。これらのプリセットは、選択したカメラのボディをエミュレートする Sensor Width および Sensor Height プロパティに影響します。カメラのベースの視野角およびアスペクト比も、これらの設定による影響を受けます。 ![]() |
Sensor Width/Height | Sensor Width および Sensor Height プロパティは、映像または Digital Sensor の寸法をミリメートル単位でエミュレートします。これらの値は、新しい Filmback プリセットが選択されるたびに自動的に変更されます。 |
Sensor Aspect Ratio | このプロパティは、選択したセンサーの寸法から計算された現在のアスペクト比を表示します。この値は、読み取り専用で参照することを目的としているため、手動で変更できません。 |
Lens Settings | |
Lens Settings | Lens Settings プロパティには、実世界のプリセットである カメラ レンズ のリストが含まれており、その中から選択できます。これらのプリセットは、選択したレンズをエミュレートする Focal Length 、 FStop 、および Diaphragm プロパティに影響します。 ![]() |
Min/Max Focal Length | カメラの最小および最大 焦点距離 の範囲。これらを設定すると、 ズーム レンズ のエミュレートに使用される、カメラの Current Focal Range プロパティの値範囲に影響します。これらのプロパティの両方を同じ値に設定すると、ズーム可能に設計されていない プライム レンズ がエミュレートされます。 |
Min/Max FStop | このカメラの 絞り の範囲の最小値と最大値。 |
Diaphragm Blade Count | これは、カメラのレンズの 羽根 (Diaphragm) の枚数を制御します。レンズの絞り羽根の枚数は、 ボケ エフェクトの形状に関連します。数が少ないほどボケが四角になり、数が多いほどボケが丸くなります。 ![]() |
Focus Settings | |
Focus Method | Focus Method は、被写界深度 (DOF) とフォーカスの設定を制御します。これには、次のオプションがあります。
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Manual Focus Distance | カメラの位置を基準としてセンチメートル単位でフォーカス距離を制御します。これは、入力内容を認識するフィールドであるため、「5m」と入力すると、値が「500cm」に変換されます。また、ビューポートからオブジェクトを直接選択できるスポイトがあり、そのオブジェクトに対してカメラのフォーカスをスナップできます。これを使用するには、ボタンをクリックしてからビューポートでオブジェクトをクリックします。このプロパティは、 Focus Method が Manual に設定されている場合にのみ表示されます。 |
Actor to Track | カメラの被写界深度 (DOF) のフォーカス ポイントとして使用されるアクタ。これは、 Focus Method が Tracking に設定されている場合にのみ有効になります。 |
Relative Offset | ローカル空間を基準として追跡対象のアクタに適用する位置のオフセット。これは、 Focus Method が Tracking に設定されている場合にのみ有効になります。また、追跡対象のアクタのフォーカス ポイントを微調整するのに便利です。 |
Draw Debug Tracking Focus | Focus Method が Tracking に設定されている場合に、デバッグ ロケーター キューブで被写界深度 (DOF) のフォーカス位置を示すことができます。これは、Relative Offset と組み合わせて使用すると便利です。 ![]() |
Draw Debug Focus Plane | フォーカス ポイントのプレビューでカメラの方向を向く透明なプレーンを有効にします。 ![]() |
Debug Focus Plane Color | デバッグ焦点面 のカラーを指定します。 |
Smooth Focus Changes | フォーカス距離が瞬時に変わるのではなく、時間の経過とともに自動的に補間されます。 |
Focus Smoothing Interp Speed | Smooth Focus Changes が有効になっている場合のフォーカス変化の補間速度。数値が小さいほど低速に、値が大きいほど高速になります。 |
Focus Offset | フォーカスの 追跡 が使用されている場合、追跡対象のアクタの位置を基準とするフォーカス ポイントのオフセットを設定します。手動 フォーカスが有効になっている場合、フォーカス ポイントでは、代わりに Manual Focus Distance が使用されます。正の値はカメラからの距離が大きくなり、負の値はカメラからの距離が小さくなります。 |
Current Focal Length | カメラの焦点距離のプロパティ。これは、 Lens Settings の Min/Max Focal Length プロパティによって定義される焦点距離の範囲に基づき制限されます。 |
Current Aperture | カメラの開口値または FStop のプロパティ。これは、 Lens Settings の Min/Max FStop プロパティによって定義される FStop の範囲に基づき制限されます。 |
Current Focus Distance | フォーカスが 手動 か 追跡 のいずれかに基づく最終的なフォーカス距離の出力を表示する読み取り専用のプロパティ。 |
Current Horizontal FOV | カメラの 焦点距離 と センサーの寸法 の組み合わせに基づいて最終的な水平の視野角を表示する読み取り専用のプロパティ。 |
Camera Options | |
Constrain Aspect Ratio | Sensor Dimension とそのベース アスペクト比をプレビューする黒いバーの描画を有効にします。 ![]() |
Use Pawn Control Rotation | カメラがポーンのコンポーネントとして使用されている場合、これを有効にすると、ポーンの向きがカメラのコンポーネントに影響します。 |
Post Process Blend Weight | カメラの ポスト プロセス レイヤーの影響を、完全なオンからオフの間でブレンドします。重みが 1 の場合は完全に有効になり、0 の場合は終了し、他のレイヤーになります。 |
Lock to Hmd | XR 開発 用に VR ヘッドセットが接続されている場合、接続されたヘッドマウント ディスプレイに対してカメラの位置と向きをロックします。 |
Use Field Of View for LOD | 有効にすると、カメラの距離のみに依存するのではなく、カメラの視野角がオブジェクトを表示する詳細度に影響します。これにより、遠く離れたカメラによってレンダリングされた低品質のオブジェクト (被写体へのズーム イン) によって発生する問題が修正されます。 |