このガイドを一通り終えると、上の画面のようなシーンが出来上がります。
目標
このガイドは、物理アセットを用いてキャラクターをカプセルで表現し、また様々に照らされるゲーム背景においてキャラクターにカプセル シャドウを有効にするための基礎を 速く習得できるように作成されています。
目的
このチュートリアルによって、デベロッパーが次の手順を理解できるようになります。
- カプセル シャドウ用物理アセットの作成方法
- シャドウ物理アセットのスケルタル メッシュへの割り当て方法
- キャラクター用のレベルでカプセル シャドウを有効にする方法
1 - 必要な設定
まず最初に、このガイドの作業で使用する新規プロジェクトを作成する必要があります。 以降のステップでは、Unreal Engine 4 のプロジェクト ブラウザを使ってプロジェクトを作成していきます。このステップを終えると、 今後のプロジェクトにビルドできるテンプレートが完成します。
手順
- まず最初に、 Epic Games Launcher から Unreal Engine を開きます。プロジェクト ブラウザ が表示されます。
- [Games] > [Third Person] テンプレートで次の設定を使って新しいプロジェクトを作成します。
- [Blueprint] を有効。
- [No Starter Content] を有効。
- [Create Project (プロジェクトを作成)] をクリックします。
最終結果
プロジェクト作成後、Unreal Editor での取り込みが完了すると、以下のメイン エディタ インターフェースが表示されます。コンテンツ ブラウザの中には、 次からのステップで使用する Blueprint Third Person テンプレート用の各種フォルダが入っています。
クリックしてフルサイズ表示
次のステップでは、カプセル シャドウに使う Third Person Character 用の新規物理アセットの設定を開始します。
2 - キャラクターの作成 - シャドウ物理アセット
このステップでは、影の表現に使うサードパーソン キャラクターのスケルタルメッシュ用の物理アセットをカプセル シャドウを使って新規作成します。
手順
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コンテンツ ブラウザ のフォルダ階層を使って 「Mannequin」 > 「Character」 > 「Mesh」 フォルダを開きます。「SK_Mannequin」 という名前のアセットがあります。選択して右クリックし、 コンテキスト メニューを表示させます。そして、[Create] > [Physics Asset] > [Create] の順に選択していきます。
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[Create (作成)] をクリックすると新規物理アセットを作成するための [New Asset (新規アセット)] ウィンドウが開きます。[Minimum Bone Size (最小ボーンサイズ)] を 15 に設定して [Ok] をクリックします。
最高の結果を出すには、Sphyl ボディのみを使用します。Sphere ボディも使えますが、スケルタルメッシュのキャラクターの使用に関して Sphyl ほどの柔軟性はありません。
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次に、Physics Asset ツール が開いて、スケルタルメッシュ
SK_Mannequin
用の物理アセットが表示されます。 -
ここからのステップはオプションです。先へ進む前に、ここでひとまず、新規作成した物理アセットに名前を付けておきましょう。ここで一旦 ウィンドウを最小化して コンテンツ ブラウザ に戻ると、 「Mesh」フォルダの中に SK_Mannequin 用の物理アセットが新規作成されています。後で分かるような名前を付けておきます (「SPA_Mannequin」が良いと思います)。名前を付けたら、 ウィンドウを最大化します。
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[Physics Asset Editor] ウィンドウで、カプセルでできるだけ正確にこのキャラクターを表せるように物理ボディの各部を調節します。そのためには、既存のボディを削除して、残った部分もスケールあるいは回転させたりして、 精度をあげます。カプセルを調整および削除するにあたり、以下の事に注意してください。
- 手、腕、トルソや首用の複数のカプセルなど不要なカプセルを取り除いて、ボディ数を制限します。
- 足のカプセルは、キャラクターの接地感を出すために非常に重要です。後から調整して精度を高める場合があります。
- シャドウにギャップが生じないように、ジョイント間のカプセルは少しだけオーバーラップさせます。
- このクイックスタートでは腕のカプセルは必要ありませんので、削除することができます。
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調整が完了すると、以下のようになります。シャドウの問題は後で調整すれば簡単に解決できますので、 この時点で完璧でなくても構いません。
最終結果
キャラクターをカプセル表現するための物理アセットが完成しました。 新規物理アセットの作成し、できるだけ少ないボディでキャラクターを表現する方法が理解できたと思います。
![]() |
![]() |
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前:21 カプセル ボディ | 後:10 カプセル ボディ |
次のステップでは、この新しい物理アセットをスケルタルメッシュに割り当てます。
3 - キャラクターの作成 - 物理アセットを割り当てる
スケルタルメッシュ キャラクター用に物理アセットを新規作成しました。このステップでは、そのアセットを スケルトン エディタ に割り当ててみます。
手順
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コンテンツ ブラウザ の中にフォルダ階層を使って [Mannequin] > 「Mesh」 フォルダを開きます。SK_Mannequin アセットを選択しダブルクリックして開きます。
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スケルトン エディタが開いたら、[Asset Details] パネルを下にスクロールして [Lighting] タブを見つけます。[Shadow Physics Asset] の横のドロップダウンをクリックして、前のステップで作成した物理アセットを選択します。
[Shadow Physics Asset] 選択ボックスには、プロジェクト内のすべての物理アセットが表示されますので、自分の物理アセットが分かるような名前を付けてください。
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スケルトン エディタを 保存 して 終了 します。
最終結果
前のステップで作成した物理アセットをキャラクターのシャドウ物理アセット スロットに割り当てました。これにより、キャラクターはこの物理アセットを使ってシャドウイングすることができます。
次のステップでは、キャラクターをレベルに追加し、レベルで Capsule Shadowing を使ってみます。
4 - レベル内のキャラクター用カプセル シャドウの有効化
前のステップでは、物理アセットをスケルトン エディタのキャラクターにシャドウ物理アセットとして割り当てました。 このステップでは、キャラクターのカプセル シャドウイングを有効にして、直接光と間接光に照らされている領域で使用してみます。
手順
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コンテンツ ブラウザ のフォルダ階層を使って 「ThirdPersonBP」 > 「Blueprints」 フォルダを開きます。ThirdPersonCharacter ブループリントを選択しダブルクリックして開きます。
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ブループリント エディタが開いたら [Components] ウィンドウを使って [Mesh (Inherited)] を選択します。次に [Asset Details] パネルで [Lighting] のタブが出てくるまでスクロールします。詳細を展開し、 以下の項目を有効にします。
- Capsule Direct Shadows
- Capsule Indirect Shadows
クリックしてフルサイズ表示
-
直接光と間接光に対してカプセルシャドウを有効にしたら、ThirdPersonCharacter ブループリントを 保存 して 終了 します。
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カプセル シャドウを一通りテストする前に、Capsule Indirect Shadows を使うための間接的に照らされる領域をレベル内に作る必要があります。レベル ビューポートで Floor アクタを選択し、 ALT キーを長押ししながら左クリックで Z 軸 (青) に平行にコピーをドラッグします。外側のウォールの上部に Floor アクタを移動させ、トランスレーション ツールの X 軸 (赤) を使って戻すことで、 フロア部分だけが覆われるようにします。シーンにライティングを再ビルドする時に、間接ライティングに使う領域ができます。
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次に「Light Source」という名前の 指向性ライト を ワールド アウトライナー から選択します。[Details (詳細)] パネルでライトの [Intensity (強度)] を 10 に設定します。こうすると、覆われている領域を十分なライトで照らすことができます。
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メイン ツールバーから [Build] アイコンをクリックして、シーンのライティングを再ビルドします。それにより、キャラクターに対して Capsule Indirect Shadows を確実に使用できるようになります。
最終結果
直接および間接ライティングでカプセル シャドウイングをサポートするようにキャラクターを設定しました。プレイ イン エディタ (PIE) でキャラクターをシーンで動かして、ソフトシャドウの見え方を確認することができます。
両方の Capsule Shadow 設定を個別に有効にすることができるようになりました。キャラクターがオープン領域で照らされているためソフトシャドウが必要のないキャラクターに対しては Capsule Indirect Shadow 設定をオフにして、 間接的に照らされている領域に対してのみオンにしておくことができます。
次の最終ステップでは、「応用編」へ挑戦、およびシャドウ物理アセット作成時の注意事項を説明します。
5 - 応用編
カプセル シャドウイング用のシャドウ物理アセット サンプルを作成したので、以下の作業に挑戦してみましょう。
- 異なるライティング角度、または日中、夕暮れ、夜のシナリオを使う。
- 指向性ライトの Light Source Angle を調節して、キャラクターが周囲のシャドウとブレンドするように、直接光に照らされている領域のカプセル シャドウをソフトにする。
- Capsule Indirect Shadows が有効の時、ライトソースに対比ライトで方向性を付けるために、入口と窓 (あるいは同等のもの) のある閉ざされた領域、または洞窟ような開口部を追加する。
- キャラクターの [Details (詳細)] パネルの Capsule Indirect Shadow Min Visibility 設定を使って、ソフトシャドウの強度を背景で和らげる。
- ウォール サーフェスに近づいたり、キャラクターが屈んだ時のシャドウ用に、カバーシステムなどを使って、キャラクターの腕にいくつかカプセル ボディを追加する。
コンテンツ クイック スタートガイドは、「Unreal Editor のマニュアル」をご覧ください。
- カプセルシャドウに関する詳細は、「カプセルシャドウ」ページをご覧ください。
- 物理アセット ツールのプロパティに関する情報は、「物理セットツール (Physics Asset Editor)」を参照してください。
- ライティングに関する情報は、「背景のライティング」を参照してください。