ボリュメトリック クラウド コンポーネントは、ボリューム マテリアルによって駆動されます。このボリュメトリック クラウド マテリアルのパラメータは、雲のタイプや形状を定義するときや、ストーム クラウドに見えるようにするときにわかりやすいシンプルで明快な名前のカテゴリに入っています。
ボリュメトリック クラウド マテリアルの推奨ワークフロー
ボリュメトリック クラウド コンポーネントがある雲のレンダリングに使用されるマテリアルは、「Engine Content」フォルダの「Engine/EngineSky/VolumetricClouds
」にあります。そのマテリアルは m_SimpleVolumetricCloud_Inst
という名前であり、m_SimpleVolumetricClouds
から派生したものです。
「Engine Content」フォルダ内のコンテンツに直接変更を加えると、そのマテリアルを参照しているすべてのプロジェクトおよびコンポーネントに影響を及ぼします。そのため、そのマテリアルのマテリアル インスタンスを自分のプロジェクトの「Content」フォルダ内に作成することを強くお勧めします。そうすることで、デフォルトで使用される元のマテリアルを上書きすることなく、さまざまな雲のタイプや形状をサポートする多数のバリエーションを作成できます。

空白のゲーム テンプレートにあるボリュメトリック クラウド シェーダーのデフォルトの外観と位置
雲のマテリアル インスタンスの設定
ボリュメトリック クラウドのマテリアル インスタンスを開くか、オリジナルから独自のマテリアル インスタンスを作成すると、そのパラメータが、さまざまな雲の外観、形状、エフェクトを定義するカテゴリにグループ化されているのがわかります。

マテリアル インスタンスでのボリュメトリック クラウドのパラメータ グループ
雲のレイアウト
雲のレイアウト のパラメータは、テクスチャと雲のタイプに分かれています。テクスチャは、雲のマテリアルの形状、位置、マスク、およびさまざまなタイプの雲を制御するパラメータを定義します。

ボリュメトリック クラウド シェーダーのレイアウトのパラメータ
雲のタイプのパラメータでは、カラー チャンネルを使用して、さまざまなタイプの雲のフォーメーションと整列させます。雲のテクスチャの赤、緑、青、アルファ チャンネルで整列する 4 つのタイプの雲があります。以下の雲のタイプがあります。
![]() |
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層積雲 | 高層雲 | 巻層雲 | 乱層雲 (ストーム) |
[Cloud Type (雲のタイプ)] セクションには以下の設定項目があります。

プロパティ | 説明 |
---|---|
Cloud Type Textures (雲のタイプのテクスチャ) | |
Layout_CloudHeightProfile | このテクスチャでは、雲の形状を高度変化として記述されています。このテクスチャの各チャンネルでは、プロファイル形状および異なるタイプの雲の相対高度が記述されており、R (赤) は層積雲、G (緑) は高層雲、B (青) は巻層雲、A (アルファ) は乱層雲です。 |
Layout_CloudGlobalPattern | このテクスチャでは、各タイプの雲のワールド位置が定義されています。具体的には、各チャンネルで異なるタイプの雲が記述されており、R (赤) は層積雲、G (緑) は高層雲、B (青) は巻層雲、A (アルファ) は乱層雲を表しています。 |
Layout_GlobalCloudMask | このテクスチャは、マスクされた領域でグローバル パターン テクスチャ (Layout_CloudGlobalPattern) に対して雲を追加または除去するために使用されます。このテクスチャの各チャンネルは異なるタイプの雲に適用され、R (赤) は層積雲、G (緑) は高層雲、B (青) は巻層雲、A (アルファ) は乱層雲に適用されます。 |
Cloud Type Parameters (雲のタイプのパラメータ) | |
Layout_CloudType | このパラメータは、それぞれのタイプの雲の可視性を個別に制御し、R (赤) は層積雲、G (緑) は高層雲、B (青) は巻層雲、A (アルファ) は乱層雲を制御します。 |
Layout_CloudGlobalScale | これらのパラメータは、レイアウト領域テクスチャ (Layout_GlobalCloudMask と Layout_CloudGlobalPattern) が繰り返される距離を制御します。これはキロメートル (km) 単位で表します。 |
Layout_CloudPerTypeScale | これらのパラメータは、それぞれの雲のタイプのグローバル パターン (Layout_CloudGlobalPattern) テクスチャのスケールを制御し、R (赤) は層積雲、G (緑) は高層雲、B (青) は巻層雲、A (アルファ) は乱層雲を制御します。 |
Layout_GlobalTexturePlacement | このベクターは、レイアウト領域テクスチャ (Layout_GlobalCloudMask と Layout_GlobalCloudPattern) のオフセットおよび (ワールドの Z 軸周りの) 回転を制御します。 |
Layout_WindControls | このベクターは、ワールドの各軸 (X、Y、Z) に沿った風の強さを制御し、それぞれに正の値または負の値を使用できます。アルファ チャンネルを使用して、風の強さを均一に強めるか弱めることができます。 |
Layout_CloudTypeMask | これらのパラメータでは、グローバル雲マスク (Layout_GlobalCloudMask) テクスチャがそれぞれのタイプの雲に影響を及ぼす強さの程度を指定し、R (赤) は層積雲、G (緑) は高層雲、B (青) は巻層雲に対して指定します。MaskContribution (またはアルファ チャンネル) では、このエフェクトの全体的な強さを指定します。 |
Layout_GlobalCoverage | これらのパラメータによって、適用される雲量の全体的な量が決まります。正の値であれば雲量が増え、負の値であれば雲量が減ります。 |
雲の形状
雲の形状 のパラメータは、ノイズ ボリューム テクスチャを使用して一般的な雲の形状と色を定義するのに便利です。このセクションには、利用可能な 3 つの異なるノイズ サンプラがあり、それぞれに独自のコントロールがあります。

ボリュメトリック クラウド シェーダーの形状のパラメータ
[Cloud Shape (雲の形状)] セクションには以下の設定項目があります。

プロパティ | 説明 |
---|---|
Noise_Texture3D | このテクスチャは、雲の形状を分割して一般的な形態を作成するために使用されます。テクスチャの各カラー チャンネルでは、異なるノイズ パターンが記述され、それぞれの影響はノイズ コントロールによって決まります。このテクスチャのアルファ チャンネルは使用されません。 |
UseNoise3 | このトグルは、追加の詳細度で (または、別の分割方法で) 雲の形状を分割するために、Noise_Texture3D の 3 番目のサンプルを使用できるようにします。これにより、Noise3_Coordinates と Noise3_MultiChannel のパラメータが追加されます。 |
Noise_Bias | このセットの各パラメータは、それぞれの NoiseTexture サンプルから減算されます。正の値または負の値を指定できます。これによって、ノイズの全体的なコントラストを上げることなく、ノイズ テクスチャが雲のレイアウトをどのように拡張または浸食するかが決まります。 |
Noise_Strength | このセットの各パラメータは、バイアスが適用された NoiseTexture サンプルのそれぞれの成果に乗算されます。正の値または負の値を指定できます。これによってノイズのコントラストが増減するため、雲のレイアウトに対するノイズ エフェクトの見かけ上の強さが増します。 |
Noise1_Coordinates | このパラメータは、NoiseTexture の緑チャンネルのスケールと、エフェクトの風速がこのノイズ サンプルに対してどの程度強いかを制御します。Noise1 は、雲に対するプライマリ分割ノイズを制御します。 |
Noise2_Coordinates | このパラメータは、NoiseTexture の赤チャンネルのスケールと、エフェクトの風速がこのノイズ サンプルに対してどの程度強いかを制御します。Noise2 は Noise1 に対する歪みの量とスケールを制御します。 |
Noise3_Coordinates | UseNoise3 が有効になっている場合、このパラメータは、NoiseTexture の青チャンネルのスケールと、エフェクトの風速がこのノイズ サンプルに対してどの程度強いかを制御します。Noise3 は追加の詳細度として Noise1 に加算されます。Noise3 には、NoiseTexture のチャンネルの任意の組み合わせによって既存のノイズを変調するために使用される、追加のコントロール (Multichannel) が含まれています。 |
Noise2_MultiChannel | UseNoise3 が有効になっている場合、このパラメータは、それぞれのチャンネルの全体的な雲のノイズへの乗法寄与、および乗法エフェクトの合計マグニチュード (アルファ チャンネルを使用) を制御します。したがって、次の式によって決まる係数が雲のノイズに乗算されます。MultiChannel A (Noise R + MultiChannel R + Noise G MultiChannel G + Noise B * MultiChannel B)。 |
Cloud_AlbedoColor | これは、雲がストーム クラウドと見なされていない場合の色です。このパラメータの Ambient Occlusion (アルファ チャンネル) によって、マテリアルに対する光のオクルージョンの強さ (および、その結果としてどの程度の密度でシャドウが現れるか) が決まります。 |
Cloud_GlobalDensity | このパラメータは、雲のマテリアルの全体的な密度を制御します。この値が大きいほど不透明にレンダリングされ、この値が小さいほど、もやがかかってレンダリングされます。 |
ストーム
ストーム のパラメータは、ストームのように見えるフォーメーションと色の雲システムを作成するのに必要な設定項目です。このセクションにある設定項目を有効にすると、マテリアルの乱層雲レイヤーが使用されます。

ボリュメトリック クラウド シェーダーのストームのパラメータ
[Storm (ストーム)] セクションには以下の設定項目があります。

プロパティ | 説明 |
---|---|
Storm_Clouds | この値は、通常の雲からストーム クラウドへのブレンドの強さを制御し、アルベド、オクルージョン、歪み、および任意指定の稲妻のエフェクトのコントロールもあります。 |
Storm_LightningTexScale | この値は、稲妻のテクスチャの相対スケールを制御します。このテクスチャは、マテリアル内での稲妻の閃光の位置を決定するために使用されます。 |
Storm_LightningAnim | これらのパラメータは、マテリアル内の稲妻のアニメーションを制御します。光の点滅によって、セカンダリ アニメーションが閃光に追加されます。動的稲妻アニメーションは、稲妻の閃光の頻度を決定するために使用され、この値が大きいほど、閃光の発生頻度が高くなります。手動の稲妻は、動的ライティングが 0 に設定されている場合に使用されるものです。これを使用すると、時間に関係なく閃光の状態を決めることができます (静止画像をレンダリングする場合や、シーケンス内の時間を手動で更新する場合に主に役立ちます)。 |
Storm_LightningClouds | 以下のパラメータは、雲への稲妻のエフェクトを制御します。
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Storm_LightningColor | これらのパラメータは、稲妻の閃光の色 (RGB 値) と輝度 (アルファ値) を制御します。 |
Storm_LightningMask | 以下のパラメータは、稲妻のテクスチャがマテリアル内でどのようにマスクされるかを制御します。
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Storm_AlbedoColor | 雲がストーム クラウドと見なされている場合の色を設定します。アルファ チャンネルによって、シャドウ密度に対する乗法係数が決まります (値が小さいほど、暗いシャドウになる)。 |
多重散乱
多重散乱 のパラメータは、クラウド マテリアル内で光がどのように散乱するかを制御するコントロールのセットです。

ボリュメトリック クラウドの多重散乱のパラメータ
[Multiscatter (多重散乱)] セクションには以下の設定項目があります。

プロパティ | 説明 |
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Phase_Controls | 雲の散乱では、2 つのフェーズ関数の組み合わせを使用して、マテリアル内で光がどのようにバウンスするかが決まります。
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Multiscatter_Controls | これらのパラメータは、雲のマテリアルでの多重散乱の近似を制御します。以下のそれぞれの値の有効な範囲は 0 ~ 1 です。
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追記
Unreal Engine 5.4 以前から 5.5 以降へのアップグレード ノート
Unreal Engine 5.5 では、デフォルトでボリュメトリック クラウド コンポーネントに割り当てられていて、Sun Position Calculator などのプラグインで使用されているボリュメトリック クラウド マテリアルは、新しいマテリアルで更新されています。このマテリアルは元のマテリアルを完全に置き換えているため、すべてのテンプレート プロジェクトおよびそのマテリアルを使用していたプロジェクトは、Unreal Engine 5.5 以降のバージョンのエンジンで開かれたときに自動的に更新されます。
そのため、更新後に、一部のプロジェクトで見た目が変わることや、このリソースが見つからないことが想定されます。プロジェクトで元のマテリアルに依存している場合の最も簡単な解決方法は、元のマテリアルを現在のバージョンのエンジンに移行することです。
マテリアルを移行およびリダイレクトする
元のマテリアルを Unreal Engine 5.4 から 5.5 以降のバージョンのエンジンに移すには、「アセットを移行する」の手順に従います。
Sun Position Calculator プラグインのようなコンテンツについては、マテリアルを「Engine Content」フォルダ内の同じ場所 (「Engine > Content > EngineSky > VolumetricClouds」) にリダイレクトするだけで済みます。
エンジン コンテンツの元のボリュメトリック クラウド テクスチャ
ボリュメトリック クラウド マテリアルが保存されている「Engine Content」フォルダには、そのマテリアルを作成するために必要とされるすべてのアセットも入っています。このフォルダには、更新後のボリュメトリック クラウド マテリアルで機能する新しいテクスチャおよびアセットがあります。Unreal Engine 5.4 からマテリアルを移行した場合でも元のマテリアルを再利用できるように、元のテキストおよびボリューム テクスチャもあります。
