ポストプロセス エフェクトを使用することで、アーティストやデザイナーは、色付けやトーンマッピング、ライティングなどのプロパティおよび機能の組み合わせを通じて、シーンの全体的な外観や雰囲気を定義することができます。これらの機能にアクセスするために、特殊なタイプのボリュームである ポストプロセス ボリューム をレベルに加えることもできます。特定の領域またはシーン全体の外観を定義するために、複数のボリュームを配置できます。
ポストプロセス ボリュームを使用する
ポストプロセス ボリューム は、[Place Actors (アクタを配置)] パネルを使ってレベルに追加できます。
レベル内に配置したら、[Details (詳細)] パネルを使ってすべての使用可能なプロパティと機能にアクセスできます。機能のタイプとそれらが影響するもののカテゴリに分類されていることがわかります。
ポストプロセス ボリュームの設定 は配置されているボリュームに特有の設定で、ボリュームとシーンとのインタラクションや、オーバーラップする可能性のある別のポストプロセス ボリュームとのインタラクションを定義するものです。たとえば、Infinite Extent プロパティのオン/オフを切り替えることで、当該のポストプロセス ボリュームの影響をシーン全体に及ぼしたり、オフにして特定の領域のみに影響を及ぼすことができます。複数のボリュームがオーバーラップした場合には、ブレンドに対する互いのインタラクションを制御することができるため、根本的に異なる外観を持つボリューム同士の場合は便利です。
プロパティ | 説明 |
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Priority | ボリュームの優先度を設定します。ボリュームがオーバーラップしている場合は、より優先度の高いボリュームによって優先度の低いボリュームがオーバーライドされます。同じ優先度の複数のボリュームがオーバーラップしている場合、順序は未定義となります。 |
Blend Radius | ブレンドに使用するボリューム周辺の半径をワールド単位で設定します。たとえば、ボリューム内に入った際に、外観をボリューム外とは異なる見かけにすることができます。ブレンド半径により、ボリューム周辺に遷移のための領域を設定できます。 |
Blend Weight | ボリュームのプロパティによる影響度を示します。1 の値では効果が最大になり、0 の値では効果がなくなります。 |
Enabled | ボリュームがポストプロセスに影響を及ぼすかどうか示します。有効にすると、ボリュームの設定がブレンドに使用されます。 |
Infinite Extent (Unbound) | ボリュームの境界が考慮されるかどうかを示します。有効な場合は、ボリュームの境界にかかわらず、ボリュームの影響がシーン全体に及びます。有効でない場合、ボリュームの影響はその境界内にとどまります。 |
ポストプロセスの機能とプロパティ
ポストプロセス ボリュームのプロパティと設定にアクセスするには、まずレベル内に配置されたポストプロセス ボリュームを選択します。[Details] パネル内に、使用可能なプロパティがカテゴリ分けされて表示されます。
Unreal Engine では、レベル内にポストプロセス ボリュームが配置されていない場合でも、デフォルトのポストプロセス設定の一部を使用します。これらのデフォルトのポストプロセス設定には [Project Settings (プロジェクト設定)] の [Rendering (レンダリング)] > [Default Settings (デフォルト設定)] セクションからアクセスでき、ここで設定を変更することも可能です。
これらのオプションを変更することで、レベルの編集においてシーンの外観の定義を始める前に、自動露光またはブルームを安定させることができるため便利です。
Lens (レンズ)
[Lens] カテゴリには、カメラ レンズから得られる一般的な現実世界のエフェクトをシミュレートするためのプロパティと設定が含まれています。
Depth of Field (被写界深度、DOF)
現実世界のカメラと同様に、被写界深度 は焦点の前後の距離に応じてブラーをシーンに適用します。このエフェクトは、深度によってショット内の特定の被写体に見る側の注意を惹きつけ、レンダリングされたイメージを写真や映画にさらに近づけることができます。
被写界深度のオプションは 2 つあります。
- Cinematic Depth of Field (シネマティック被写界深度) は、デスクトップおよびコンソール プラットフォーム向けに使用します。実際のカメラに装備されている機能と同じプロパティが用意されており、映画のような見かけになります。ポストプロセス ボリュームにもいくつかの設定はありますが、被写界深度の制御には、主に シネマティック カメラ アクタ のカメラ プロパティを使用します。
- Mobile Depth of Field (モバイル被写界深度) は、モバイル プラットフォーム向けに最適化された低コストのオプションを提供します。このオプションでは、ガウス ブラーを使って、近距離と遠距離の遷移領域を含む焦点範囲を設定します。
詳細については、「Depth of Field」を参照してください。
Bloom (ブルーム)
ブルーム とは現実世界のカメラで生じるライティング アーティファクトであり、ライトと反射サーフェス周辺の光を再現することで、レンダリングされたイメージをより現実味を帯びたものにすることができます。ブルームは、レンズ フレアや汚れマスクなどの他のエフェクトとともに使用できますが、全般的なブルーム プロパティではそうした設定は行えません。
詳細については、「ブルーム」を参照してください。
露出とローカル露出
エンジンでは、「明暗順応」とも呼ばれる露出を自動的に制御します。シーンの現在の輝度に基づいて、現在のビューにおけるシーンの明るさまたは暗さを調整します。このエフェクトは、薄暗い部屋から明るい屋外に出る、またはその逆の場合など、人間の目がさまざまなライティング環境に順応するメカニズムを再現するものです。
[Exposure (露出)] カテゴリには、使用する露出方法のタイプを選択するプロパティや、特定の時間内で変化するシーンの明るさ/暗さを指定するプロパティが含まれています。
露出の設定には、独自のカテゴリまたはプロパティを持つ [Local Exposure (ローカル露出)] と呼ばれる追加の制御設定も含まれています。これらのプロパティでは、輝度の詳細を維持しながらエッジ認識データ構造体を使用し、アーティストが制御可能なパラメータを通じて、露出にローカルの調整を適用します。これは、ドアと窓を通じて非常に明るい屋外が見える屋内のシーンなど、難しい高コントラストのシーンを作成する際に特に便利です。
詳細については、「自動露出」を参照してください。
Chromatic Aberration (色収差)
色収差 は、現実世界のカメラ レンズにおける色の変化をシミュレートするエフェクトです。光線がさまざまな点からレンズに入ることで、RGB カラーが分離される現象を指します。
プロパティ | 説明 |
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Intensity | 現実世界のカメラ レンズで生じるアーティファクトをシミュレートするための収差/カメラ フリンジ (カメラの不完全性) の度合いです。 |
Start Offset | エフェクトが適用されるフレームバッファの中心までの正規化された距離です。 |
Dirt Mask (汚れマスク)
汚れマスク は、画面内の特定の領域における ブルーム を明るくするためのテクスチャ主導型のエフェクトです。カメラ レンズの特定の外観とその不完全性を再現する場合や、レンズに付いた汚れや埃などを表現する際に便利です。
プロパティ | 説明 |
---|---|
Dirt Mask Texture | カメラ レンズの汚れを適用するテクスチャ。超高輝度オブジェクトのライトが散乱します。 |
Dirt Mask Intensity | 汚れマスクの強度です。 |
Dirt Mask Tint | 汚れマスク テクスチャに RGB カラー値を適用します。 |
Camera (カメラ)
カメラのシャッターとシネマティック被写界深度を制御する一連のプロパティを提供します。
カメラのすべてのプロパティと物理ベースのプロパティについては、シネマティック カメラ アクタ 上で設定する必要があります。
プロパティ | 説明 |
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Shutter Speed (1/s) | カメラのシャッター スピード (秒単位) です。 |
ISO | ライトに対するカメラ センサーの感度です。 |
Aperture (F-stop) (開口 F 値) | カメラ レンズの開口部を定義します。絞り値は 1/f-stop で、一般的なレンズでは f/1.2 (大開口) まで下がります。値を小さく設定すると開口部が大きくなり、前景と背景がよりぼやけます。値を大きく設定すると開口部が小さくなり、前景と背景のぼかしが少なくなります。 |
Maximum Aperture (min F-stop) | 絞り羽根の曲率を制御するために、カメラ レンズの最大開口を定義します。0 に設定すると、まっすぐな絞り羽根になります。 |
Number of diaphragm blades | レンズ内の絞り羽根の枚数を定義します (4 ~ 16 の間)。これによってボケの形状が定義されます。 |
Lens Flare (レンズ フレア)
レンズ フレア エフェクトは、カメラ レンズの不完全性が原因で、明るいオブジェクトを表示した際に生じるライトの散乱をシミュレートする画像ベースの技法です。
プロパティ | 説明 |
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Intensity | 画像ベースのレンズ フレアの明るさを示すスケールです。 |
Tint | 画像ベースのレンズ フレアのティント カラーです。 |
BokehSize | ボケ テクスチャで使用するレンズ ブラーのサイズをビュー幅の比率で示します。 |
Threshold | レンズ フレアにエフェクトが適用される最小の明るさです。 |
BokehShape | 画像ベースのレンズ フレアにブラーがかかった際に、ボケの形状を定義します。ブレンドはできません。 |
Tints | RGB でレンズ フレアの色を定義します。アルファ (A) がその位置になります。 |
Image Effects: Vignette (画像エフェクト:ビネット)
ビネット (周辺減光) は、画像をそのエッジ部分に向かってフェードアウトする境界のないウィンドウを作成する画像ベースのエフェクトです。
[Vignette Intensity (ビネット効果強度)] では、レンダリングされた画像からウィンドウのエッジ部分までに境界のないウィンドウを作成するために、画面の各隅の暗さを制御します。値を大きく設定するとビネット効果の量が増加します。0 の値ではビネット効果は適用されません。
カラー グレーディングとトーンマッパ
[Color Grading (カラー グレーディング)] と [Film (フィルム)] の両カテゴリでは、プロジェクトの大まかな外観を定義します。[Color Grading] カテゴリには、レンダリングされたシーンの色補正を行うためのプロパティが含まれています。
カラー グレーディング
[Color Grading] カテゴリには、シーンの外観を芸術的な観点から調整するための、コントラスト、色合い、彩度などのさまざまな要素を制御するプロパティが含まれています。
次のセクションが含まれています。
- 色温度の設定
- グローバル、シャドウ、中間トーン、ハイライトに向けたカラー バランスのプロパティ
- 拡張された色域やルックアップ テーブル (LUT) などの追加プロパティ
詳細については、「カラー グレーディングとフィルム トーンマッパ」を参照してください。
Film (フィルム)
[Film] カテゴリには、テレビと映画向けに Academy Color Encoding System (ACES) に準拠したプロパティが含まれます。これらのプロパティにより、複数のフォーマットやディスプレイの間で一貫した色使いを維持しながら、将来の新媒体に向けてソース マテリアルを調整する必要性を省くことができます。
このカテゴリに含まれるプロパティでは、さまざまなタイプのフィルム ストックを模倣する値を設定できます。
プロパティ | 説明 |
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Slope | トーンマッパに使用する S カーブの傾斜を設定します。値を大きく設定すると傾斜が激しくなり、画像がより暗くなります。小さい値では傾斜が緩やかになり、画像がより明るくなります。 |
Toe | トーンマッパの暗色を設定します。 |
Shoulder | トーンマッパの明色を設定します。 |
Black Clip | 黒色が値のカットオフを開始するクロスオーバー部分を設定します。 |
White Clip | 白色が値のカットオフを開始するクロスオーバー部分を設定します。ほとんどの場合、この値に対する変更は小さなものです。 |
詳細については、「カラー グレーディングとフィルム トーンマッパ」を参照してください。
グローバル イルミネーション
グローバル イルミネーション のポストプロセス ボリューム設定では、使用する動的グローバル イルミネーションのタイプを選択し、詳細設定のプロパティでは、事前計算されたライティングなどのグローバル イルミネーション メソッドの一部の強度と色を調整できます。
動的グローバル イルミネーション メソッドは [Method (メソッド)] ドロップダウン メニューから選択できます。
[Advanced (詳細設定)] セクションの [Indirect Lighting Color (間接ライティング カラー)] と [Indirect Lighting Intensity (間接ライティングの強度)] では、カラー ピッカーを使って間接ライティングの色と強度を調整し、適用する間接ライティングの量を増減できます。
詳細については、「グローバル イルミネーション」を参照してください。
Lumen グローバル イルミネーション
Lumen のグローバル イルミネーション は、すべてのライト、ライトをキャストするエミッシブ マテリアル、およびスカイ ライト オクルージョンで機能する完全に動的なグローバル イルミネーション システムです。きわめて大規模かつ詳細度の高い環境で、km の規模から mm 単位のディテールまでスケールして無限のバウンスと間接スペキュラ反射を利用したディフューズ相互反射をレンダリングできます。
唯一使用可能なプロパティである Final Gather Quality プロパティでは、表示される Lumen のノイズ アーティファクトの量をスケーリングします。スケール値が大きいとノイズが削減されますが、GPUコストが大幅に増えます。
スクリーン スペース グローバル イルミネーション
スクリーンスペース グローバル イルミネーション は低コストの動的グローバル イルミネーション メソッドですが、画面上に表示されている情報のみに限定されます。CPU Lightmass または GPU Lightmass で事前計算されたライティングのデータとともに、追加の機能として使用することが最適です。
このポストプロセス ボリューム設定内で調整するプロパティはありませんが、「r.SSGI.*
」に含まれるコンソール コマンドを使って品質を向上することができます。
レイ トレースによるグローバル イルミネーション
レイトレーシングによる反射は非推奨となっており、今後のリリースで削除される可能性があります。
プロジェクトで [Support Hardware Ray Tracing (ハードウェア レイトレーシングをサポートする)] と [DirectX 12] を有効に設定しておく必要があります。
プロパティ | 説明 |
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Type | レイトレーシング グローバル イルミネーションのタイプを設定します。
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Max Bounces | レイトレーシングする間接ディフューズ ライティングの最大数です。 |
Samples Per Pixel | 間接ライティングに使用する、ピクセルごとのサンプル数を設定します。サンプル数を高く設定すると品質と精度が向上しますが、追加の GPU コストが生じます。リアルタイムのパフォーマンスを向上するには、サンプル数を低く設定します。 |
反射
このポストプロセス ボリューム設定では、使用する動的反射のタイプを [Method] ドロップダウンから選択できます。
設定します。
詳細については、「反射環境」を参照してください。
Lumen の反射
Lumen の反射は、動的ライティング システムである Lumen グローバル イルミネーションおよび反射 の一部です。ほとんどすべての機能と動作し、すべてのライト、ライトをキャストするエミッシブ マテリアル、およびスカイ ライトをサポートします。
Lumen に含まれる唯一のプロパティである Quality では、反射ノイズの品質をスケーリングします。スケール値を大きく設定すると反射のノイズが削減されますが、GPU コストが大幅に高くなります。
Screen Space Reflections (スクリーンスペース反射)
スクリーンスペース反射 はビューに依存した低コストの反射システムですが、現在のスクリーン ビューに表示されている情報のみに限定されます。
プロパティ | 説明 |
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Intensity | シーンに対するスクリーンスペース リフレクションの影響度です。値を低く設定するとスクリーンスペース リフレクションがフェードアウトし、反射がない状態か、配置された 反射キャプチャ のいずれかにフォールバックします。 |
Quality | 反射の品質を制御します。0 の場合はソフトな遷移がない状態になり、50 (より良いパフォーマンスのためのデフォルト値) では遷移が一部生じて、100 ではより良い反射が再現された最高の品質を得ることができます。 |
Max Roughness | スクリーンスペース リフレクションがフェードアウトするラフネス値を制御します。0.8 の値がちょうどよく機能しますが、より小さい値を設定するとパフォーマンスが向上します。 |
Ray Tracing Reflections (レイトレーシングによる反射)
レイトレーシングによる反射は非推奨となっており、今後のリリースで削除される可能性があります。
プロジェクトで [Support Hardware Ray Tracing (ハードウェア レイトレーシングをサポートする)] と [DirectX 12] を有効に設定しておく必要があります。
レイトレーシングによる反射 では、複数回のライトのバウンスを使って物理ライト プロパティをサーフェス上でシミュレートします。
プロパティ | 説明 |
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Max Roughness | レイトレーシングの反射が表示される最大ラフネスを設定します。(値を低く設定すると処理が速くなります) 反射の寄与度がラフネスのしきい値に近づくとスムーズにフェードします。 |
Max Bounces | ヒットしたサーフェスからのレイトレーシングの最大反射バウンス回数を設定します。バウンス回数を高く設定すると反射内の反射を再現できますが、追加の GPU コストが生じます。 |
Samples Per Pixel | 反射に使用する、ピクセルごとのサンプル数を設定します。サンプル数を高く設定すると品質と精度が向上しますが、追加の GPU コストが生じます。リアルタイムのパフォーマンスを向上するには、サンプル数を低く設定します。 |
Shadows | 反射内に表示するレイトレースされたシャドウのタイプを設定します。タイプには、シャドウなし、ハード シャドウ、ソフト エリア シャドウがあります。エリア シャドウの品質は使用するピクセルごとのサンプル数に依存し、そのコストはハード シャドウのレンダリングよりも高くなります。 |
Include Translucent Objects | レイトレースされた反射でのレイトレーシング透過処理を有効にします。 |
レンダリング機能
以下は、ポストプロセス ボリュームによって設定/制御される全般的なレンダリング機能です。
Post Process Materials (ポストプロセス マテリアル)
ポストプロセス マテリアル は、ドメインが ポストプロセス に設定されているマテリアルによるビジュアル スクリーン エフェクトの作成を可能にします。これらはマテリアル内で可能なさまざまな操作や処理に使用でき、ゲームプレイやシーンの外観に影響を及ぼすこともできます。たとえば、ダメージ エフェクトの適用や、スタイライズド エフェクトまたは画面に向けたビデオ エフェクトの作成に使用できます。
詳細については、「ポストプロセス マテリアル」を参照してください。
Ambient Cubemap (アンビエント キューブマップ)
アンビエント キューブマップ では、与えられたキューブマップ テクスチャからシーンを照らします。遠距離では画像は球体にマッピングされます (ブラー適用済みのバージョンの画像を格納するミップマップとともに、キューブマップ テクスチャとして実装されます)。キューブマップのブラー適用済みバージョンは、さまざまな光沢 (シャープな反射やぼやけた反射) のスペキュラ ハイライトで使用できるように計算されます。また、ディフューズ ライティングにも使用できます。このエフェクトは、マテリアルを照らすものの位置には依存しません。ビューアの位置、マテリアルのラフネス (スペキュラ エフェクト向け)、そしてマテリアルのサーフェス法線がすべて考慮されます。
アンビエント キューブマップのローカル シャドウイングは限定されたものです (スクリーン空間アンビエント オクルージョンのみ)。空のライトを表現する場合は、代わりに スカイ ライト を使用してください。アンビエント キューブマップは、わずかに指向性のある環境条件 (完全に動的ライティングを使ったゲームに便利)、またはモデル ビューア アプリケーションで使用することのみを目的としています。ライトはさまざまな方向から差し込むため、このタイプのライトに単なるシャドウマップを使用することは適切ではありません。隣接するジオメトリからコンタクト シャドウを取得するには、スクリーン空間アンビエント オクルージョンを適用します。
プロパティ | 説明 |
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Tint | RGB カラー値を使って、割り当てたキューブマップ テクスチャの上面に色を適用します。 |
Intensity | 割り当てたアンビエント キューブマップ テクスチャの明るさをスケーリングします。0 の値では効果がオフになります。 |
Cubemap Texture | シーン内のオブジェクトに付加的なブレンディングを行うポストプロセス ボリュームにキューブマップを割り当てます。 |
Ambient Occlusion (アンビエント オクルージョン)
[Ambient Occlusion] の各プロパティでは、「スクリーンスペース アンビエント オクルージョン (SSAO)」と呼ばれるスクリーンスペースエフェクトを制御します。このエフェクトでは、セルフオクルージョンによるライトの減衰を再現します。このスクリーン空間エフェクトは、現在のビューに表示されている情報のみに限定されます。通常、アンビエント オクルージョンは、オブジェクトの隅や隙間などを暗くするグローバル イルミネーションに加えて、繊細なエフェクトを適用するために使用されます。これにより、シーンの外観をより自然に、そして現実味あふれるものにします。
プロパティ | 説明 |
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Intensity | アンビエント オクルージョンがベース パス後に非直接ライティングに及ぼす影響度を定義します。 |
Radius | サーフェスが影響を受けるオブジェクト周辺の距離を制御します。値を大きく設定するほど遠くのオブジェクトに影響を及ぼします。 |
Advanced Properties (詳細プロパティ) | |
Static Fraction | アンビエント オクルージョンが静的ライティングに及ぼす影響度を定義します。1 の値では静的ライティングに影響を及ぼし、0 の値では影響を及ぼしません (追加のレンダリング パスは使用されません)。 |
Radius in WorldSpace | 有効にすると、アンビエント オクルージョンの半径が 400 単位のビュー空間に固定されるのではなく、ワールド空間内の単位で表されます。 |
Fade Out Distance | 遠く離れた場合に、アンビエント オクルージョンが消える距離です。これにより、大きなオブジェクトで生じるアーティクラフトやアンビエント オクルージョンのエフェクトを回避できます。 |
Fade Out Radius | Fade Out Distance プロパティよりも前に、アンビエント オクルージョンがフェードアウトし始める半径です。 |
Power | 計算される暗いエフェクトの強度を制御します。 |
Bias | アンビエント オクルージョンのディテールの量を調整します。遠距離における精度アーティファクトを回避するにはバイアスが必要です。平らなサーフェスに対しては 3 の値が適切ですが、ディテールが減少します。 |
Quality | スクリーンスペースアンビエント オクルージョンの品質と知覚的な精度を調整します。 |
Mip Blend | 複数のミップ (または低解像度バージョン) のブレンドを制御します。0 の値では完全な解像度を使用し、1 の値では低解像度のみを使用します。通常はその間の値を指定してバランスを取ります。 |
Mip Scale | 複数のミップのアンビエント オクルージョン半径スケールを制御します。 |
Mip Threshold | 複数のミップの使用時にバイラテラル アップサンプリングを調整します。 |
Temporal Blend Weight | 一時的な累積を含む「グラウンド トゥルース アンビエント オクルージョン」を使用する際に、現在のフレームと以前の各フレームとをどの程度ブレンドするかを指定します。 |
Ray Tracing Ambient Occlusion (レイトレーシングによるアンビエント オクルージョン)
プロジェクトで [Support Hardware Ray Tracing (ハードウェア レイトレーシングをサポートする)] と [DirectX 12] を有効に設定しておく必要があります。
レイトレーシングによるアンビエント オクルージョン (RTAO) では、環境内の接地したオブジェクトの領域を正確にシャドウイングします。ベイクされたライティングと同様に、アンビエント シャドウイングはスクリーンスペースに依存しません。RTAO では、オブジェクトの下や隅、隙間などの間接的にライティングされた領域に自然なシャドウを生成して、シーンに奥行きを加えます。
プロパティ | 説明 |
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Enabled | ポストプロセス ボリュームに対してレイトレーシングによるアンビエント オクルージョンを有効にするかどうかを指定します。 |
Samples Per Pixel | レイトレーシングによるアンビエント オクルージョンでピクセルごとに使用するサンプル数を設定します。 |
Intensity | ポストプロセス ボリュームのシーン内のレイトレーシングによるアンビエント オクルージョンをスケーリングします。 |
Radius | ポストプロセス ボリュームのオクルージョン レイの検索半径を (ワールド空間内の単位で) 定義します。 |
詳細については、「Hardware Ray Tracing」を参照してください。
Motion Blur (モーション ブラー)
モージョン ブラー では、オブジェクトをその動きに基づいてぼかします。写真やフィルム (一連のフレームを含むもの) においては、モーション ブラーは、オブジェクトの画像がキャプチャされる前に、オブジェクトが動いてぼやけが生じることを指します。オブジェクトが動く速度に応じて、そのオブジェクトに対するモージョン ブラーの度合いが定義されます。
Unreal Engine で採用されているモーション ブラー システムではフルスクリーン速度マップを使用しており、オブジェクトにはこのマップに対する影響度に応じてブラーが適用されます。次のプロパティでは、速度マップに対する、シーン内のオブジェクトの影響度を制御します。
プロパティ | 説明 |
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Amount | モーション ブラーの強度です。0 の値では効果がオフになります。 |
Max | モーション ブラーに起因する最大の歪みです (単位はスクリーン幅の比率)。0 の値では効果がオフになります。 |
Target FPS | モーション ブラーのターゲット FPS (フレーム/秒) を定義します。これにより、モーション ブラーが実際のフレーム レートに依存しなくなり、短いフレームでは、指定したターゲット FPS に相対するものになります。つまり、シャッター時間が短くなり、モーション ブラーが少なくなりますFPS が低いほど、モーション ブラーが多くなります。0 の値では、モーション ブラーは実際の測定フレーム レートに依存します。 |
Per Object Size | モーション ブラーのための、プリミティブを速度パスで描画するための最小投影スクリーン半径です。この半径はスクリーン幅の比率となります。半径が小さいほど、より多くのドローコールが発生します。デフォルトは「4%」です。 |
エディタでモーション ブラーを表示するには、レベル ビューポートから [Show (表示)] > [Visualize (視覚化)] > [Motion Blur (モーション ブラー)] に移動します
Ray Tracing Translucency (レイトレーシングによる透過処理)
レイトレーシングによる反射は非推奨となっており、今後のリリースで削除される可能性があります。
プロジェクトで [Support Hardware Ray Tracing (ハードウェア レイトレーシングをサポートする)] と [DirectX 12] を有効に設定しておく必要があります。
このポストプロセス ボリューム設定では、実行する透過処理の方法 (従来のラスタ透過処理またはレイトレーシングによる透過処理) を指定します。Ray Tracing Translucency では、現実世界の物理的性質をもとに、半透明のマテリアルを通り抜けるライトのパスを光線を使ってトレースします。
詳細については、「Hardware Ray Tracing」を参照してください。
Path Tracing (パス トレーシング)
パス トレーサー はプログレッシブなハードウェア アクセラレーションによるレンダリング モードであり、物理的に正確なグローバル イルミネーションや反射などを生成できます。ハードウェア レイトレーシング と同じレイトレーシング アーキテクチャを使用して、オフライン レンダリングと同等の結果を出力します。
レベル ビューポートでパス トレーシングを有効にすると ([View Modes (表示モード)] > [Path Tracing (パス トレーシング)])、そのカテゴリ内のプロパティを使って、パス トレーサーによるサンプルの累積方法とフレームのレンダリング方法を設定できます。
詳細については、「パス トレーサー」を参照してください。
Film Grain (フィルム粒子)
フィルム粒子 は、処理された写真フィルムの雰囲気をシミュレートする光学エフェクトです。ランダム化された微細なパーティクルとして、レンダリングされたフレームに映画のような外見を加えます。
プロパティ | 説明 |
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Film Grain Intensity | シーンに適用する粒子の量です。0 の値ではフィルム粒子は適用されず、1 では最大のフィルム粒子が適用されます。 |
Film Grain Intensity Shadows | シーン内のシャドウ領域に適用するフィルム粒子の量です。 |
Film Grain Intensity Midtones | シーン内の中間トーン領域に適用するフィルム粒子の量です。 |
Film Grain Intensity Highlights | シーン内の、ハイライトを含む領域に適用するフィルム粒子の量です。 |
Film Grain Shadows Max | シーン内のシャドウ領域に適用するフィルム粒子の最大範囲を設定します。 |
Film Grain Highlights Max | シーン内のハイライトされた領域に適用するフィルム粒子の最大範囲を設定します。 |
Film Grain Texel Size | 画面上のフィルム粒子のテクセル サイズです。 |
Film Grain Texture | 適用されているフィルム粒子に使用するテクスチャを定義します。フィルム粒子に含まれるノイズに対して特定の外観を作成する際にも使用できます。 |