はじめに
Unreal Engine 5.3 では、Chaos Cloth Panel ノード エディタを使用してクロスを作成する新しい方法が導入されました。この新しいワークフローはイテレーション回数を改善し、エンジン内で Chaos クロスを作成するためのより柔軟で非破壊的な方法を提供することに重点を置いています。
このシステムでは、ランタイム時にアセットを生成してシミュレーションするために必要な情報をすべて保持する クロス アセット を使用します。このアセットは Chaos Cloth Panel ノード エディタを介してビルドし、データフロー グラフを使用してさまざまなソースからリアルなクロス物理を生成します。
クロス アセットをビルドする場合、外部パネルベースのデジタル コンテンツ クリエーション (DCC) パッケージからスタティックメッシュをインポートしたり、スキン ウエイトやマスクを転送させたりすることができます。また、XPBD クロス コンストレイントを追加してシミュレーションに LSV (レベル セット ボリューム) コリジョンを使用することもできます。
アセットを作成したら、Chaos Cloth コンポーネントを介してスケルタルメッシュやスタティックメッシュで使用することもできます。
このワークフローではクロス アセットをそれぞれのスケルタルメッシュから分離させ、アーティストはさまざまなキャラクターで使用できるクロス アセットを生成できるようになります。さらに、Unreal Engine の外部でクロス アセットを調整する必要がなくなることにより、イテレーション時間が改善します。
従来のパネル エディタと新しいパネル エディタ
物理シミュレーション
Chaos Cloth Panel ノード エディタと従来のクロス エディタは、物理シミュレーションに同じ Chaos ソルバを使用します。しかし、パネル ノード エディタには、オプションの (XPBD) コンストレイント タイプを使用する拡張機能があります。
今後も長期に渡り、Chaos Cloth Panel ノード エディタは機能を拡張し続け、リアルタイム ワークフローと (キャッシュを使用する) VFX 指向のワークフローをサポートすることを目指しています。データフロー グラフの設定により、シミュレーションの速度や精度が決定します。
クロス アセット レンダリング
Chaos Cloth Panel ノード エディタではクロス アセットの設置をより詳細に制御し、ドレープのできるポーズにクロス メトリクスをベイクしません。また、これは適切な設定を行うと、古いコンストレイントの場合にも見栄えのよいシミュレーションが提供されます。
クロス アセット ワークフローでは、スケルタルメッシュに依存しない別個のクロス アセットを使用します。これにより、アーティストには高い柔軟性が提供され、クロス レンダリング メッシュで必要な数だけマテリアルを使用できるようになります。
ただし、この方法は従来のシステムに比べると、若干レンダリングのコストがかかります。これはクロス アセットがコンポーネントごとにレンダリングされることにより、オブジェクト管理とドロー コールのオーバーヘッドが大きくなるためです。
ワークフローの概要
Chaos Cloth Panel ノード エディタを使用するクロスの作成は、全体的に次のようなワークフローを行います。
外部 DCC パッケージ
- キャラクターのスケルタルメッシュを外部 DCC パッケージにインポートします。
- クロス アセットを作成し、正しくフィットすることを確認します。レンダリング メッシュとシミュレーション メッシュを別々に作成します。
- 両方のスタティックメッシュを FBX 形式でエクスポートします。
Unreal Engine
- スタティックメッシュを Unreal Engine にインポートします。
- 新しいデータフロー グラフを使用して、それぞれのスタティックメッシュから新しいクロス アセットを作成します。
- ノード グラフをビルドして、非破壊的な方法でクロス アセットを生成します。
- スケルタルメッシュからクロス スタティックメッシュにスキン ウェイトを転送します。
- クロス設定を従来のシステムと同様に設定します。
- ウェイト マップをクロス メッシュに追加します。
- コリジョンの物理アセットを設定します。
- Chaos Cloth コンポーネントをキャラクターのブループリントに追加して、クロス アセットを追加します。
- クロスのシミュレーションをゲーム内でテストします。
このワークフローの詳細については、Panel Cloth Editor のチュートリアル に従ってください。