glTF はデータドリブン形式であり、Unreal Engine のあらゆるものをサポートしているわけではありません。このページでは、glTF でどのようなコンテンツをエクスポートできるか、および glTF エクスポータが各タイプのコンテンツをどのように処理するかについて説明します。
概要:エクスポートできるアセット
glTF エクスポータはいくつかのタイプのアセットを Unreal Engine からエクスポートできます。他のコンテンツを参照しているアセットをエクスポートする場合、glTF エクスポータはそのコンテンツの一部もエクスポートできます。
以下のアセットは直接エクスポートできます。
以下のアセットは、サポートされているアセットで参照されている場合に、間接的にエクスポートできます。
マテリアル
glTF 形式では、フォトリアルなマテリアルを生成できる Metallic/Roughness 物理ベースのレンダリング (PBR) ワークフローが使用されています。glTF のワークフローは Unreal Engine のワークフローと似ていますが、任意のマテリアル式はサポートされていません。その代わりに、各マテリアル入力で単一のテクスチャまたは定数を使用できます。
glTF 形式では、一部の入力は同じテクスチャを共有します (たとえば、Metallic / Roughness と Base Color / Opacity (Mask))。Unreal Engine のマテリアルを glTF に変換するために、エクスポータは以下の手法を記載している順序で使用します。
- マテリアル式の照合:より高速でより正確ですが、サポートされているのはシンプルなマテリアル式パターンのみです。
- マテリアルのベイク処理:ほとんどのマテリアル式パターンがサポートされていますが、低速であり、コンフィギュレーションを必要とします。
マテリアルをエクスポートする場合、エクスポータはまず式の照合を試行します。式の照合が失敗すると、マテリアルのベイク処理にフォールバックします。Unreal Engine のほとんどのマテリアル入力では、式の照合でサポートされていないより高度な式が使用されているため、このようなフォールバックは頻繁に発生することがあります。
式の照合のみが使用されるように、マテリアルのベイク設定を構成することができます。詳細については、「マテリアルのベイク処理を無効にする」を参照してください。
マテリアル式の照合
マテリアル式の照合では、各マテリアル入力を調べて、限られた範囲の式ノード パターンのいずれかと一致するかどうかが判定されます。いずれかと一致していれば、glTF エクスポータはそのマテリアル式から値を抽出し、それを変換します。
マテリアル式の照合は、マテリアルのベイク処理よりも高速で正確ですが、対応できるのは非常にシンプルで厳密な式パターンのみです。マテリアル式が必要条件を満たしていれば、エクスポータは常にマテリアル式の照合を使用します
マテリアル式の照合でサポートされているパターンの例
- Constant ノードと Vector Parameter ノード
Constant ノードと Vector Parameter ノード使用するマテリアル ノードの例
Constant パターンと Vector Parameter パターンは、glTF での制限のために、Normal 入力と Ambient Occlusion 入力ではサポートされていません。
- Texture Sample ノードと Texture Parameter ノード (Texture Coordinate ノードありとなし)
Texture Sample ノードと Texture Parameter ノードを使用するマテリアル ノードの例
式の照合では、Texture Sample ノードに定数を乗算することはサポートされていません。
マテリアルのベイク処理
マテリアルのベイク処理では、特定のマテリアル入力の式全体が 2D テクスチャにレンダリングされます。ほとんどのマテリアル式を処理できますが、式の照合よりも低速であり、ユーザーがいくつかの設定を構成する必要があります。
- グローバル デフォルト値は、[glTF Export Options (glTFエクスポートオプション)] ダイアログの [Material (マテリアル)] セクションで設定します。詳細については、「グローバル デフォルト マテリアル ベイク設定を構成する」を参照してください。
- グローバル デフォルト設定は、入力ごとのデフォルト設定でオーバーライドできます。詳細については、「特定の入力用のグローバル マテリアル ベイク設定を構成する」を参照してください。
- 個々のアセット用や、そのアセットの特定のマテリアル入力用のデフォルトのマテリアル ベイク設定を作成することもできます。詳細については、「アセット特有のマテリアル ベイク オプションを設定する」を参照してください。
マテリアルのベイク処理は、いつ表示されるかまたはどのように表示されるか (たとえば、タイミングや表示角度) に依存しないマテリアルに対して、最も適切で最も正確に機能します。glTF エクスポータはマテリアルをベイクするときに、各入力式をその時点でピクセルごとに評価します。Time、Camera Position、Reflection Vector などの動的ノードは静的になります。マテリアルをエクスポートする際に、ビューに依存する式を使用しないことをお勧めします。
glTF エクスポータがマテリアルのベイク設定をどのように適用するか
glTF エクスポータは、見つかった設定の中で最も具体的な設定を使用します。指定されたマテリアル アセットの任意の入力に対して、glTF エクスポータは次の順序で設定を優先します。
- 特定のマテリアル アセットの特定の入力に対する設定
- 特定のマテリアル アセットに対するデフォルト設定
- 特定のタイプのマテリアル入力に対するグローバル デフォルト設定
- グローバル デフォルト設定
グローバル デフォルト マテリアル ベイク設定を構成する
グローバル デフォルト マテリアル ベイク設定は、[glTF Export Options] ダイアログの [Material] セクションで構成します。
グローバル デフォルト設定は、最終的なフォールバック設定です。指定されたマテリアル アセットの指定された入力に対するより具体的な設定が見つからない場合に、glTF エクスポータはグローバル デフォルト設定を使用します。
以下のオプションを設定できます。
オプション | 説明 |
---|---|
Bake Material Inputs (マテリアル入力をベイク) | マテリアルをテクスチャにベイクするかどうか、およびベイクする場合はその方法を指定します。
エクスポータは複雑なマテリアル入力に対してのみベイク処理を使用します。シンプルなテクスチャや定数式に対して、エクスポータはマテリアル式の照合を使用します。 |
Default Material Bake Size (デフォルトのマテリアルベイクサイズ) | [Bake Material Inputs] が有効になっている場合は、この設定で、マテリアル入力が含まれているベイク済みテクスチャのデフォルトのサイズを指定します。 このデフォルト設定は、マテリアル特有および入力特有のベイク設定でオーバーライドできます。詳細については、以下のセクションを参照してください。 |
Default Material Bake Filter (デフォルトのマテリアルベイクフィルタ) | [Bake Material Inputs] が有効になっている場合は、この設定で、ベイク済みテクスチャのサンプリングに使用されるデフォルトのフィルタリング モードを指定します。 このデフォルト設定は、マテリアル特有および入力特有のベイク設定でオーバーライドできます。詳細については、以下のセクションを参照してください。 |
Default Material Bake Tiling (デフォルトのマテリアルベイクタイリング) | [Bake Material Inputs] が有効になっている場合は、この設定で、ベイク済みテクスチャのサンプリングに使用されるデフォルトのアドレス指定モードを指定します。 このデフォルト設定は、マテリアル特有および入力特有のベイク設定でオーバーライドできます。詳細については、以下のセクションを参照してください。 |
マテリアルのベイク モードを選択する
通常は、マテリアルのベイク処理では Use Mesh Data モードを使用することをお勧めします。Use Mesh Data モードでは、メッシュごとの固有の glTF マテリアルがエクスポートされますが、サポートされているのはメッシュ特有のデータに依存しているマテリアルのみです。以下の式またはノードを使用しているマテリアルがサポートされています。
- Vertex Color
- VertexNormalWS
- PixelNormalWS
- Local Position
- World Position
- Actor Position
- Object Position
- Object Orientation
- Object Radius
- Object Bounds
- Object Local Bounds
- Pre-Skinned Local Bounds
- Transform および TransformPosition
- Precomputed AO Mask
- Lightmap UVs
- Custom Primitive Data
メッシュ特有のデータを必要としないマテリアルに対しては、エクスポータは Simple モードにフォールバックします。
Simple ベイク処理モードでは、特定のメッシュに固有ではないマテリアルが生成されます。このモードでは、マテリアルのベイクに使用されるメッシュ データはクアッドであるため、全テクスチャ領域を使用できます。このモードは、タイリングまたは繰り返されるテクスチャに適しています。
メッシュ特有のデータを使用してマテリアルをベイクする場合、glTF エクスポータは、そのメッシュに、メッシュ全体をカバーしオーバーラップしないライトマップ UV があると想定します。ただし、常にそうであるとは限りません。Use Mesh Data モードで、期待していたものとは異なる外観のマテリアルが生成される場合は、ベイク処理モードを Simple に変更することをお勧めします。
特定の入力用のグローバル マテリアル ベイク設定を構成する
入力ごとのグローバルなデフォルト マテリアル ベイク設定は、グローバルなデフォルト設定をオーバーライドし、アセットごとの設定でオーバーライドされます。
グローバル デフォルト マテリアル ベイク設定は、[glTF Export Options] ダイアログで設定します。
以下の手順に従います。
- Material セクションで [Default Input Bake Settings (デフォルトの入力ベイク設定)] の行を見つけて、[Add Element (+) (要素を追加(+))] をクリックします。新しいサブオプションが現れます。
- 新しいサブオプション行にあるドロップダウン リストで [Material Input (マテリアル入力)] を選択します。
- そのサブオプションを展開すると、選択されている入力用の [Size (サイズ)]、[Filter (フィルタ)]、[Tiling (タイリング)] というマテリアル ベイク設定が表示されます。
各設定のオンとオフを切り替えて、必要に応じて設定できます。
グローバル デフォルト設定の作成対象とするマテリアル入力それぞれに対して、上記の手順を繰り返します。
アセット特有のマテリアル ベイク オプションを設定する
個々のアセットに対してマテリアル ベイク オプションを設定できます。マテリアル アセットには、デフォルトのマテリアル ベイク オプションと入力特有のマテリアル ベイク オプションを設定できます。
- アセットのデフォルト設定は、入力ごとのグローバル デフォルト設定と、全体的なグローバル デフォルト設定の両方をオーバーライドします。
- アセットに対する入力特有の設定は、他のすべてのマテリアル ベイク設定をオーバーライドします。
アセット特有の設定は、そのアセットの子に継承されます。マテリアル アセットに独自のベイク設定がある場合、そのアセットの子 (直接または間接) であるすべてのマテリアル インスタンスはそれらの設定を継承します。そのインスタンスに独自の設定がある場合、それらはそのアセットの設定をオーバーライドします。
マテリアル アセットに対してマテリアル ベイク設定を構成するには、[glTF Material Export Options (glTFマテリアルエクスポートオプション)] を Asset User Data 配列に追加します。
ステップ 1:アセットに対して glTF マテリアル エクスポート オプションを追加する
- コンテンツ ブラウザ 内で、アセットを選択します。
- [Details (詳細)] パネルで、Asset User Data セクションを展開します。
- [Asset User Data] の行を見つけて、[Add Element (+)] をクリックします。新しい Index 行が現れます。
- 新しい Index 行にあるドロップダウン リストで [glTF Material Export Options] を選択します。
- 次のいずれかまたは両方を行います。
- そのアセット用のデフォルトのマテリアル ベイク オプションを設定する
- そのマテリアル アセットの特定の入力用のマテリアル ベイク オプションを設定する
ステップ 2a:そのアセット用のデフォルトのマテリアル ベイク オプションを設定する
- [Index (インデックス)] > [Override Bake Settings (ベイク設定をオーバーライド)] > [Default (デフォルト)] を展開すると、そのアセット用の [Size]、[Filter]、[Tiling] というマテリアル ベイク設定が表示されます。
各設定のオンとオフを切り替えて、必要に応じて設定できます。
ステップ 2b:特定の入力用のマテリアル ベイク オプションを設定する
- [Index] > [Override Bake Settings] セクションを展開します。
- [Inputs (入力)] の行を見つけて、[Add Element (+)] をクリックします。新しいサブオプションが現れます。
- 新しいサブオプション行にあるドロップダウン リストで [Material Input (マテリアル入力)] を選択します。
- そのサブオプションを展開すると、選択されている入力用の [Size]、[Filter]、[Tiling] というマテリアル ベイク設定が表示されます。
各設定のオンとオフを切り替えて、必要に応じて設定できます。
設定の作成対象とするマテリアル入力それぞれに対して、上記の手順を繰り返します。
マテリアルのベイク処理を無効にする
マテリアルのベイク処理を完全に無効にして、glTF エクスポータがマテリアル式の照合を使用するように強制できます。
[glTF Export Options] ダイアログの [Material] セクションに移動し、[Bake Material Inputs (マテリアル入力をベイク)] を [Disabled (無効)] に設定します。
マテリアル入力のベイクが無効になっている場合、エクスポータは正常にエクスポートできないすべてのマテリアル入力をスキップし、それに関する警告を出力ログに記録します。スキップされた入力では、glTF 仕様で規定されているデフォルト値が使用されます。
シェーディング モデルのサポート
glTF 形式では Unreal Engine の以下のシェーディング モデルがサポートされています。
サポートされていないシェーディング モデルは Default Lit として処理されます。
マテリアル式グラフでシェーディング モデルが指定されている場合、エクスポータは静的アナライザーを使用してそれを評価しようとします。静的アナライザーが評価できるのは特定のタイプの式だけです。次の画像に示している式はその例です。

静的アナライザーが評価できるシェーディング モデル式の例
静的アナライザーは、スタティックではない変数が使用されている複雑な式を解決できないことがあります。静的アナライザーが 1 つのスタティック シェーディング モデルに対する評価を解決できない場合、エクスポータは、その他のモデルの中で最もリッチで複雑なシェーディングをサポートしているモデルを選択します。
エクスポータが選択する優先順位:
- Clear Coat
- Default Lit
- Unlit
静的アナライザーがいずれかのモデルをすでに除外している場合、エクスポータは次に優先度が高いモデルを選択します。

静的アナライザーが評価できるシェーディング モデル式の例
Default Lit
Unreal Engine の Default Lit シェーディング モデルには、glTF のデフォルト シェーディング モデルとほぼ同じマテリアル入力があります。Default Lit のマテリアル入力の一覧については、「シェーディング モデル」を参照してください。
Unreal Engine のモデルと glTF のモデルの間にはいくつかの大きな違いがあります。glTF のデフォルト シェーディング モデルでは次のようになっています。
- 一部の入力では、テクスチャ スロットが共有されている (「共有テクスチャ スロット」を参照)
- 一部の入力では、受け付けられるのはテクスチャのみである (「テクスチャのみの入力」を参照)
- glTF の Metallic/Roughness PBR のワークフローでは Specular (スペキュラ) はサポートされていない
共有テクスチャ スロット
glTF のデフォルト シェーディング モデルでは、一部の入力がペアになって、テクスチャ スロットを共有しています。
- Base Color は Opacity (Mask) と 1 つのスロットを共有しています。
- Metallic は Roughness と 1 つのスロットを共有しています。
ペアになっている入力では、同じテクスチャが使用されるため、テクスチャ解像度とテクスチャ座標は常に同じです。ただし、それぞれの入力は異なるカラー チャンネルで表されています。たとえば、Metallic/Roughness のペアの場合、Metallic 入力では青チャンネルが使用され、Roughness 入力では緑チャンネルが使用されます。
テクスチャのみの入力
glTF のデフォルト シェーディング モデルでは、以下の入力で受け付けられるのはテクスチャのみです。
- Normal
- Ambient Occlusion
他の入力とは異なり、1x1 ピクセルのテクスチャを使用して定数をシミュレートしている場合以外は、これらの入力ではデフォルトではない定数値を使用できません。エクスポータは、これらのいずれかの入力で定数値を見つけた場合、次のようにします。
- Ambient Occlusion の場合、エクスポータは 1x1 ピクセルのテクスチャを自動的に生成して、その定数値をシミュレートします。
- Normal の場合、エクスポータはその定数を破棄し、法線ベクターがそのサーフェスと揃えられているものと想定します。
Clear Coat
Unreal Engine の Clear Coat シェーディング モデルは Default Lit モデルを拡張します。
- Clear Coat (intensity)
- Clear Coat Roughness
- Clear Coat Bottom Normal
Clear Coat Bottom Normal 入力は通常のマテリアル入力ピンではなく、個別のカスタム出力ノードです。この入力を使用するには、Unreal Engine のプロジェクト設定で [Materials] > [Clear Coat Enable Second Normal (クリアコートの第2法線を有効化)] オプションをオンにする必要があります。
glTF エクスポータは、Clear Coat シェーディング モデルをサポートするために KHR_materials_clearcoat 拡張を使用します。[glTF Export Options] ダイアログで、Clear Coat シェーディング モデルのエクスポートのオンとオフを切り替えることができます。[Material] > [Export Clear Coat Materials (クリアコートマテリアルをエクスポート)] を使用します。
Unreal Engine と glTF では、Clear Coat シェーディング モデルをサポートする方法にいくつかの大きな違いがあります。
- 一部の入力では、テクスチャ スロットが共有されている (「共有テクスチャ スロット」を参照)
- 一部の入力では、受け付けられるのはテクスチャのみである (「テクスチャのみの入力」を参照)
共有テクスチャ スロット
glTF の Clear Coat シェーディング モデルでは、Clear Coat 入力と Clear Coat Roughness 入力はペアになっています。ペアになっている入力では、同じテクスチャが使用されるため、テクスチャ解像度とテクスチャ座標は常に同じです。ただし、それぞれの入力は異なるカラー チャンネルで表されています。Clear Coat 入力では赤チャンネルが使用され、Clear Coat Roughness 入力では緑チャンネルが使用されます。
テクスチャのみの入力
glTF の Clear Coat シェーディング モデルでは、Clear Coat Bottom Normal 入力で受け付けられるのはテクスチャのみです。他の入力とは異なり、1x1 ピクセルのテクスチャを使用して定数をシミュレートしている場合以外は、この入力ではデフォルトではない定数値を使用できません。
Unlit
Unreal Engine の Unlit シェーディング モデルは、次の 2 つのマテリアル入力があるスタンドアローン モデルです。
- Emissive Color
- Opacity/Opacity Mask (ブレンド モードによって異なる)
glTF の Unlit シェーディング モデルでは、これら 2 つの入力はペアになっています。ペアになっている入力では、同じテクスチャが使用されるため、テクスチャ解像度とテクスチャ座標は常に同じです。ただし、それぞれの入力は異なるカラー チャンネルで表されています。Emissive Color 入力では青チャンネルが使用され、Opacity/Opacity Mask 入力では緑チャンネルが使用されます。
glTF エクスポータは、Unlit シェーディング モデルをサポートするために KHR_materials_unlit 拡張を使用します。[glTF Export Options] ダイアログで、そのエクスポートのオンとオフを切り替えることができます。[Material] > [Export Unlit Materials (ライティングなしマテリアルをエクスポート)] を使用します。
ブレンド モードのサポート
glTF エクスポータでは、以下のマテリアル ブレンド モードがサポートされています。
スタティック メッシュ
glTF ではスタティック メッシュがサポートされていますが、いくつかの注意事項があります。このセクションでは、スタティック メッシュを Unreal Engine から glTF にエクスポートする際の特別な考慮事項について説明します。
頂点カラー
glTF では、マテリアルに関係なく、頂点カラーは常にベース カラーに対する乗数として機能します。そのため、望ましくない結果が生じることがあります。ほとんどの場合、glTF のエクスポート オプションを次のように設定することをお勧めします。
- Mesh セクションで、[Export Vertex Colors (頂点カラーをエクスポート)] をオフにします。
- Material セクションで、[Bake Material Inputs] を [Use Mesh Data] に設定します。
UV
- glTF では半精度 (16 ビット) の UV はサポートされていません。スタティック メッシュ アセットでは最大精度 (32 ビット) の UV を使用することをお勧めします。アセットを編集し、[Details] パネルで [LOD[NUMBER]] > [Build Settings (ビルド設定)] > [Use Full Precision UVs (最大精度のUVを使用)] オプションをオンにします。
- glTF エクスポータは、スタティック メッシュのすべての UV チャンネルをエクスポートします。ただし、Unreal Engine の glTF ビューアも含めてほとんどの glTF アプリケーションでサポートされているのは、2 つの UV テクスチャ座標のみです。glTF にエクスポートすることを予定している場合は、マテリアルの最初の 2 つの UV チャンネルでのみテクスチャ座標が使用されるようにします。
コリジョン ジオメトリ
glTF ファイル形式では、コリジョン ジオメトリはサポートされていないため、glTF エクスポータはコリジョン ジオメトリを無視します。
詳細度 (LOD)
glTF では複数の詳細度はサポートされていないため、エクスポータは 1 つの LOD を使用してスタティック メッシュをエクスポートします。エクスポータは以下のルールに従って、どの LOD を使用するかを決定します。
設定項目 | 場所 | スコープ | 優先順位 |
---|---|---|---|
Default Level Of Detail (デフォルトの詳細度) | [glTF Export Options] ダイアログの [Mesh] セクション | グローバル | 最低 これはグローバル フォールバックであるため、他の設定でオーバーライドされていなければ、glTF エクスポータはここで指定されている LOD を使用します。 |
Minimum LOD (最小LOD) | スタティック メッシュ アセットのプロパティの [LOD Settings (LOD設定)] セクションにあります。 アクセスするには、スタティック メッシュ アセットを スタティック メッシュ エディタ で開き、[Details] パネルでこの設定を見つけます。 |
スタティック メッシュ アセットごと | スタティック メッシュ アセットに対してこの LOD が設定されていて、[Default Level of Detail] 設定よりも高い LOD レベルに設定されている場合、glTF エクスポータはこの LOD を使用してそのスタティック メッシュをエクスポートします。 |
Override Min LOD (最小LODをオーバーライド) | [LOD] セクションにある、Static Mesh アクタまたは Static Mesh コンポーネントのプロパティ。 アクセスするには、[Details] パネルで、そのアクタまたはコンポーネントに対するこの設定を見つけます。 |
メッシュ コンポーネントまたはメッシュ アクタごと | このオプションが Static Mesh アクタまたは Static Mesh コンポーネントに対してオンになっている場合、アセット レベルの [Minimum LOD] 設定は [Min LOD (最小LOD)] 設定でオーバーライドされます。 |
Forced LOD Model (強制LODモデル) | [LOD] セクションにある、Static Mesh アクタまたは Static Mesh コンポーネントのプロパティ。 アクセスするには、Static Mesh アクタを選択し、[Details] パネルで、そのアクタまたはコンポーネントに対するこの設定を見つけます。 |
メッシュ コンポーネントまたはメッシュ アクタごと | この LOD が Static Mesh アクタまたは Static Mesh コンポーネントに対して設定されている場合、他のすべての LOD 設定がオーバーライドされ、glTF エクスポータはこの LOD を使用してそのアクタをエクスポートします。 |
高品質のライティングと反射用のメッシュの量子化
「量子化」は、通常は浮動小数点精度で格納されているベクター属性を、8 ビットまたは 16 ビットの精度で格納できるようにトランスフォームするプロセスです。量子化することによって、ディスク容量とメモリ使用量が節約されます。
以下の頂点属性は Unreal Engine と glTF のどちらでも量子化されています。
- 頂点カラー (コンポーネントあたり 8 ビット)
- 頂点法線 (コンポーネントあたり 8 ビットまたは 16 ビット)
- 頂点接線 (コンポーネントあたり 8 ビットまたは 16 ビット)
高品質の反射およびライティングが必要である場合は、スタティック メッシュ アセットに対して [Use High Precision Tangent Basis (高精度タンジェント基底を使用)] オプションをオンにすることをお勧めします。このオプションがオンであれば、Unreal Engine は量子化された頂点法線と頂点接線を 8 ビット精度ではなく 16 ビット精度で格納します。
[Use High Precision Tangent Basis] オプションは、各スタティック メッシュのプロパティにあります。
- スタティックメッシュを スタティック メッシュ エディタ で開きます。
- [Details] パネルの [LOD [LEVEL]] > [Build Settings] セクションでそのオプションを見つけます。[LEVEL] は、glTF エクスポータを使用してエクスポートする LOD レベルです。
glTF エクスポータは、頂点法線と頂点接線を量子化するために KHR_mesh_quantization 拡張を使用します。[glTF Export Options] ダイアログで、そのエクスポートのオンとオフを切り替えることができます。[Mesh] セクションで、[Use Mesh Quantization (メッシュの量子化を使用)] オプションをオンまたはオフにします。
スケルタル メッシュ
スタティック メッシュに適用される、エクスポートに関する考慮事項 (「スタティック メッシュ」を参照) は、スケルタル メッシュにも当てはまります。また、glTF エクスポータでは、スケルタル メッシュに対するいくつかの追加の制限事項もあります。
glTF では以下のアセットはサポートされていません。
- メッシュ クロス アセット
- モーフ ターゲット アニメーション
アニメーション シーケンス
Unreal のアニメーション シーケンスは、頂点スキンウェイトも一緒にエクスポートされていれば、glTF で完全にサポートされています。glTF エクスポータは Unreal Engine のアニメーション リターゲティングにも対応しています。
[Export Vertex Skin Weights (頂点スキンウェイトをエクスポート)] オプションは、[glTF Export Options] ダイアログの [Mesh] セクションにあります。詳細については、「glTF エクスポート オプションのリファレンス」を参照してください。
レベル シーケンス
glTF エクスポータがシーンのエクスポートにレベル シーケンス アセットを含めるためには、そのアセットがそのシーンにあるレベル シーケンス アクタに割り当てられている必要があります。
レベル シーケンスのサポートは、絶対空間にあるトランスフォーム トラックに限定されています。glTF エクスポータでは、複数のトラックをブレンドすることはサポートされていません。
glTF エクスポータは、選択されているシーケンス表示レート (レベル シーケンス アセットでの 1 秒あたりのフレーム数の設定) で各レベル シーケンスをエクスポートします。
レベル バリアント セット
Unreal Engine では、バリアント セットを使用して、シーン内のほぼすべてのプロパティを設定できます。glTF エクスポータがシーンのエクスポートにレベル バリアントを含めるためには、そのアセットがそのシーンにあるレベル バリアント セット アクタに割り当てられている必要があります。
レベル バリアント セットをエクスポートするために、glTF エクスポータは Khronos の KHR_materials_variants 拡張を使用します。この拡張は、いくつかの glTF ビューアで機能しますが、以下の制限があります。
- マテリアル バリアントのみをサポートする。
- 一度に 1 つのアクティブなバリアントのみをサポートする。
- すべてのバリアントが同じセットにまとめられます。
この動作は、異なる複数のセットからの複数のバリアントを同時にアクティブにできる Unreal Engine とは異なります。
GlTF にエクスポートする場合は、マテリアル バリアントを使用してスタティックメッシュ コンポーネントまたはスケルタルメッシュ コンポーネント上のマテリアル アセットを変更することができます。エクスポータは他のバリアント タイプをサポートしません。
アクタ
glTF エクスポータでは、レベルにある一部のタイプのアクタがサポートされており、各タイプの特定のプロパティをエクスポートできます。詳細については、以下のセクションを参照してください。
エクスポータでは、一部のタイプのコンポーネントもサポートされており、サポートされているタイプのアクタではないが、1 つまたは複数のサポートされているコンポーネントが割り当てられているアクタをエクスポートできます。サポートされているコンポーネントがアクタに割り当てられている場合、glTF エクスポータはそのコンポーネントの特定のプロパティをエクスポートします。詳細については、「コンポーネント」を参照してください。
Level Sequence アクタ
Level Sequence アクタは、シーンにあるレベル シーケンスを再生するエンジン アクタです。glTF エクスポータでは、Level Sequence アクタの以下のプロパティがサポートされています。
プロパティ | 説明 |
---|---|
Level Sequence | 作成時にシーケンスを自動再生します |
Level Variant Set アクタ
Level Variant Set アクタは、ランタイム時にレベル バリアント セット内のバリアントをクエリおよびアクティブ化します。このアクタは、Unreal Engine に付属して配布されている Variant Manager プラグインで提供されています。
Level Variant Set アクタのプロパティの中で、glTF エクスポータでサポートされているのは Level Variant Sets プロパティのみです。
glTF エクスポータは EPIC_level_variant_sets 拡張を使用してレベル バリアント セットをエクスポートします。[glTF Export Options] ダイアログで、レベル バリアント セットのエクスポートのオンとオフを切り替えることができます。
コンポーネント
エクスポートされるアクタに、サポートされているコンポーネントが割り当てられている場合、glTF エクスポータはそのコンポーネントの特定のプロパティをエクスポートします。サポートされている各コンポーネント タイプでどのプロパティがエクスポートされるかを、以降のセクションで示しています。
プリミティブ:
カメラ:
ライト:
Scene コンポーネント
glTF エクスポータでは、Scene コンポーネントの以下のプロパティがサポートされています。
トランスフォーメーションのプロパティ:Location、Rotation、Scale。
Unreal Engine でスケールがどのように適用されるかの違いによって、glTF では不均等なスケールが異なって表現されることがあります。
Static Mesh コンポーネント
glTF エクスポータでは、Static Mesh コンポーネントが Scene コンポーネントから継承する以下のプロパティがサポートされています。
トランスフォーメーションのプロパティ:Location、Rotation、Scale。
Unreal Engine でスケールがどのように適用されるかの違いによって、glTF では不均等なスケールが異なって表現されることがあります。
スタティック メッシュの以下のプロパティもサポートされています。
プロパティ | 説明 |
---|---|
Static Mesh | このコンポーネントで使用されているスタティック メッシュ |
Materials | このコンポーネントで使用されているマテリアル |
glTF エクスポータは、スタティック メッシュをエクスポートするときに以下の設定を使用します。
- コンポーネントの LOD 設定で、[Forced LOD Model (強制LODモデル)]、[Min LOD (最小LOD)]、[Override Min LOD (最小LODをオーバーライド)] オプションを使用して設定されている詳細度
- アセットの [Minimum LOD (最小LOD)] 設定
- [glTF Export Options] ダイアログで指定されている [Default Level Of Detail]
詳細については、「詳細度 (LOD)」を参照してください。
Skeletal Mesh コンポーネント
glTF エクスポータは、EPIC_animation_playback 拡張を使用して、スケルタル メッシュの再生設定 (Play Rate、Start Time、Looping、Auto Play) をエクスポートします。glTF エクスポータでは、Skeletal Mesh コンポーネントが Scene コンポーネントから継承する以下のプロパティがサポートされています。
トランスフォーメーションのプロパティ:Location、Rotation、Scale。
Unreal Engine でスケールがどのように適用されるかの違いによって、glTF では不均等なスケールが異なって表現されることがあります。
スケルタル メッシュの以下のプロパティもサポートされています。
プロパティ | 説明 |
---|---|
Skeletal Mesh | このコンポーネントで使用されているスケルタル メッシュ |
Materials | このコンポーネントで使用されているマテリアル |
Anim to Play | このスケルタル メッシュで再生されるシーケンス |
glTF エクスポータは、スケルタル メッシュをエクスポートするときに以下の設定を使用します。
コンポーネントの LOD 設定で、[Forced LOD Model (強制LODモデル)]、[Min LOD (最小LOD)]、[Override Min LOD (最小LODをオーバーライド)] オプションを使用して設定されている詳細度
- アセットの [Minimum LOD (最小LOD)] 設定
- [glTF Export Options] ダイアログで指定されている [Default Level Of Detail]
詳細については、「詳細度 (LOD)」を参照してください。
Camera コンポーネント
glTF エクスポータでは、Camera コンポーネントが Scene コンポーネントから継承する以下のプロパティがサポートされています。
トランスフォーメーションのプロパティ:Location、Rotation、Scale。
Unreal Engine でスケールがどのように適用されるかの違いによって、glTF では不均等なスケールが異なって表現されることがあります。
カメラの以下のプロパティもサポートされています。
プロパティ | 説明 |
---|---|
Projection Mode | カメラのタイプを指定します。[Perspective (パースペクティブ)] または [Orthographic (正投影)] を選択します |
Field Of View | パースペクティブ モードでの水平視野角 (度単位) (正投影モードでは無視されます) |
Ortho Width | 正投影ビューの幅 (ワールド単位) (正投影モードでは無視されます) |
Ortho Near Clip Plane | パースペクティブ ビューのニア プレーン距離 (ワールド単位) |
Ortho Far Clip Plane | 正投影ビューのファー プレーン距離 (ワールド単位) |
Aspect Ratio | 高さに対する幅の比率 |
Constrain Aspect Ratio | オンであれば、このカメラが要求したのとは異なるアスペクト比がターゲット ビューで使用されている場合に、黒いバーが追加されます |
Directional Light コンポーネント
glTF エクスポータは KHR_lights_punctual 拡張を使用してディレクショナル ライトをエクスポートします。glTF エクスポータでは、Directional Light コンポーネントが Scene コンポーネントから継承する以下のプロパティがサポートされています。
トランスフォーメーションのプロパティ:Location、Rotation、Scale。
Unreal Engine でスケールがどのように適用されるかの違いによって、glTF では不均等なスケールが異なって表現されることがあります。
ディレクショナル ライトの以下のプロパティもサポートされています。
プロパティ | 説明 |
---|---|
Intensity | このライトが放出する総エネルギー量 |
Light Color | このライトのフィルタ色 |
Temperature | 黒体発光体の色温度 (ケルビン単位) |
Use Temperature | オフであれば、白色 (D65) が発光体として使用されます |
[glTF Export Options] ダイアログの Scene セクションで、ディレクショナル ライトのエクスポートのオンとオフを切り替えることができます。詳細については、「glTF エクスポート オプションのリファレンス」を参照してください。
Point Light コンポーネント
glTF エクスポータは KHR_lights_punctual 拡張を使用してポイント ライトをエクスポートします。glTF エクスポータでは、Point Light コンポーネントが Scene コンポーネントから継承する以下のプロパティがサポートされています。
トランスフォーメーションのプロパティ:Location、Rotation、Scale。
Unreal Engine でスケールがどのように適用されるかの違いによって、glTF では不均等なスケールが異なって表現されることがあります。
ポイント ライトの以下のプロパティもサポートされています。
プロパティ | 説明 |
---|---|
Intensity | このライトが放出する総エネルギー量 |
Light Color | このライトのフィルタ色 |
Temperature | 黒体発光体の色温度 (ケルビン単位) |
Use Temperature | オフであれば、白色 (D65) が発光体として使用されます |
Attenuation Radius | このライトの目に見える影響をバウンスします |
[glTF Export Options] ダイアログの Scene セクションで、ポイント ライトのエクスポートのオンとオフを切り替えることができます。詳細については、「glTF エクスポート オプションのリファレンス」を参照してください。
Spot Light コンポーネント
glTF エクスポータは KHR_lights_punctual 拡張を使用してスポット ライトをエクスポートします。glTF エクスポータでは、Spot Light コンポーネントが Scene コンポーネントから継承する以下のプロパティがサポートされています。
トランスフォーメーションのプロパティ:Location、Rotation、Scale。
Unreal Engine でスケールがどのように適用されるかの違いによって、glTF では不均等なスケールが異なって表現されることがあります。
スポット ライトの以下のプロパティもサポートされています。
プロパティ | 説明 |
---|---|
Intensity | このライトが放出する総エネルギー量 |
Light Color | このライトのフィルタ色 |
Temperature | 黒体発光体の色温度 (ケルビン単位) |
Use Temperature | オフであれば、白色 (D65) が発光体として使用されます |
Attenuation Radius | このライトの目に見える影響をバウンスします |
Inner Cone Angle | フォールオフが始まる、スポット ライトの中心からの角度 (度単位) |
Outer Cone Angle | フォールオフが終わる、スポット ライトの中心からの角度 (度単位) |
[glTF Export Options] ダイアログの Scene セクションで、スポット ライトのエクスポートのオンとオフを切り替えることができます。詳細については、「glTF エクスポート オプションのリファレンス」を参照してください。
テクスチャ
glTF エクスポータは EPIC_lightmap_textures 拡張を使用してテクスチャをエクスポートします。以下のテクスチャ タイプがサポートされています。
- Texture 2D
- Texture Cube
- Light Map Texture 2D
[glTF Export Options] ダイアログで、エクスポータがテクスチャをどのようにエクスポートするかを設定できます。Texture セクションにあるオプションを使用します。詳細については、「glTF エクスポート オプションのリファレンス」を参照してください。
色調整などのテクスチャ設定をサポートするために、エクスポータはソース データではなく、Unreal Engine で内部的に格納されているレンダリング データ (プラットフォーム データ) を使用します。
この手法の利点は、エクスポートするテクスチャが、Unreal Editor またはゲーム内でレンダリングされる場合と同じように見えることです。
欠点は、Unreal Engine の圧縮設定によってテクスチャにアーティファクトが生じると、エクスポートされたテクスチャにそれが現れることです。そのようなアーティファクトを最小限に抑えるには、可能な限り User Interface 2D と HDR 圧縮設定を使用します。