キャラクターのアニメーションを新しいキャラクター スケルトンにリターゲットする場合、手作業で手間のかかるものになる可能性があります。しかし、異なるスケルトン アセットを使用する 2 つのアニメーション シーケンス アセットを選択する際に [Retarget Animation Assets (アニメーションアセットのリターゲティング)] コンテキスト メニュー オプションを使用して、コンテンツ ブラウザ からアニメーションを直接リターゲットすることができます。

さらに、IK (インバース キネマティック) リグ アセット エディタの 自動リターゲティング チェーン ツールを使用すると、スケルタルメッシュ キャラクターのリターゲティング チェーンを自動で生成できます。リターゲティング チェーンを生成したり、手動で設定したりした後、IK リターゲッタ アセット エディタの 自動整列 ツールを使用すると、スケルトン全体または個々のボーンの IK リグ チェーンに基づいて、キャラクターのポーズの位置を自動的に合わせることができます。
アニメーションを自動リターゲットする
あるスケルタルメッシュのアニメーションをコンテンツ ブラウザから直接リターゲットして、別のスケルタルメッシュ アセット上で再生させることができます。
必須条件
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プロジェクトに異なるスケルトンを持つ 2 つのスケルタルメッシュ アセットが含まれている。
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少なくとも 1 つのスケルタルメッシュ アセットに、リターゲットするアニメーション シーケンスがある。
アニメーションをリターゲットする
コンテンツ ブラウザで、アニメーションを直接リターゲットできます。アニメーション シーケンスをリターゲットするには、アセットを 右クリック し、コンテキスト メニューの [Retarget Animation Assets] オプションを選択します。

次に、アニメーション シーケンスをリターゲットするスケルタルメッシュ アセットで Target Preview Mesh プロパティを設定します。
[Auto Retarget (自動リターゲティング)] ウィンドウでソース メッシュとターゲット メッシュを開いてから、[Asset Browser (アセット ブラウザ)] パネルでリターゲットするアニメーション アセットを選択します。複数のアセットを選択するには、Shift キーを押しながら クリック するか、Ctrl キーを押しながら クリック します。

アセットを選択したら、[Export Animations (アニメーションをエクスポート)] ボタンを使用してエクスポート オプションを開きます。

事前設定済みの IK リターゲッタ アセットを使用している場合、エクスポート オプションは表示されません。
[Export Animations (アニメーションをエクスポート)] ウィンドウで、リターゲットするアニメーションの保存先を選択して [Export (エクスポート)] ボタンを使用します。

また、Rename New Assets プロパティを使用すると、Add Prefix や Add Suffix などの命名プロパティを設定したり、単語やキャラクターを探して置き換えたりして、エクスポートの処理中にリターゲットするアニメーションの名前を変更することもできます。

これで、リターゲットしたアニメーションをターゲット スケルタルメッシュで使用できるようになります。
複数のリターゲットしたアニメーション アセットをエクスポートする場合は、[Batch Export Options (一括エクスポート オプション)] ウィンドウを使用します。次の表では、利用可能なオプションとそれらの機能について説明しています。

プロパティ | 説明 |
---|---|
Overwrite Existing Files | 同じ名前のファイルはすべて、数字のサフィックスが付いた新しいファイルを作成するのではなく上書きされます。これは、一括処理を繰り返し行うときに便利です。 |
Include Referenced Assets | 入力アセットによって参照されるアニメーション アセットを複製してリターゲットします。たとえば、アニメーション ブループリントやブレンドスペースのシーケンスです。 |
また、[Export Retarget Assets (リターゲティング アセットをエクスポート)] ボタンを使用すると、生成された IK リグおよび IK リターゲッタ アセットをエクスポートできます。

[Retarget Animations (アニメーションをリターゲット)] ウィンドウ
次に [Retarget Animations] ウィンドウの概要を示します。

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ビューポート:アニメーションのリターゲットに選択した 2 つのスケルタルメッシュ アセットが表示されます。左のメッシュがソース メッシュで、右のメッシュがターゲット メッシュです。
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リターゲティング出力ログ:リターゲット プロセスが失敗した場合の情報や洞察を提供するメッセージなど、リターゲット プロセスに関するメッセージが表示されます。
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アセット ブラウザ:リターゲットの対象として選択可能なソース メッシュのアニメーション アセットが表示されます。パネル内でアセットをダブルクリックすると、ビューポートでアニメーションをプレビューできます。各アニメーション アセットの左にあるチェックボックスを使用して、リターゲットの対象を設定します。
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[Retarget Animations] ボタン:このボタンを使用して、アセット ブラウザで選択したアニメーションのソース メッシュからターゲット メッシュへのリターゲットを開始します。
[Details] パネル
次に、アニメーション リターゲット プロセスを設定する際に使用できるオプションのリストを示します。
プロパティ | 説明 |
---|---|
Source Preview Mesh | アニメーションのリターゲット元として使用する ソース スケルタルメッシュを表示または変更できます。 |
Target Preview Mesh | アニメーションをリターゲットする ターゲット スケルタルメッシュを表示または変更できます。 |
Auto Generate Retargeter | 有効 な場合、[Retarget Animations] ウィンドウでは、ソース スケルタルメッシュとターゲット スケルタルメッシュの IK リグ アセットおよび IK リターゲッタ アセットを作成することにより、選択したアニメーションを自動的にリターゲットします。有効ではない 場合、カスタム IK リターゲッタ アセットを設定し、IK Retargeter Asset プロパティを使用してリターゲット プロセスのプロパティを設定できます。 デフォルトでこのプロパティは有効になっています。 |
IKRetargeter Asset | Auto Retarget プロパティが 有効ではない 場合、ソース スケルタルメッシュのアニメーションをターゲット スケルタルメッシュにリターゲットするために使用される IK リターゲッタ アセットを設定できます。 |
自動リターゲティング チェーン
IK リグ アセット エディタの自動リターゲティング チェーン ツールを使用して、スケルタルメッシュ キャラクターのリターゲティング チェーンを自動的に生成します。

必須条件
- プロジェクトに IK リグ アセットを持つスケルタルメッシュ キャラクターが含まれている。IK リグ アセットのセットアップに関する詳細は、「IK リグ エディタ」ドキュメントの 「IK リグを作成する」セクション を参照してください。
リターゲティング チェーンを生成する
スケルタルメッシュの IK リグ アセットを作成したら、コンテンツ ブラウザ でアセットを ダブルクリック して IK リグ アセット エディタを開きます。次に、ツールバーにある 自動リターゲティング チェーン ツールを使用して、自動リターゲティング チェーンの生成を開始します。

このプロセスでは、スケルタルメッシュのスケルトンの階層が分析され、ボーン名に基づいてボーン チェーンを事前設定されているテンプレートと照合しようとします。
自動リターゲティング チェーン ツールが上手く機能するかどうかは、スケルトン階層の命名規則が関係します。ただし、名前が正確に一致する必要はありません。たとえば、スケルトンに背骨を構成する「spineBone_{}
」という名前の一連のボーンがある場合、これらのボーンは「Biped (二足歩行)」テンプレートの Spine_{}
ボーンと照合されます。
背骨や首のチェーンのような構造では、テンプレートのボーン数と差がある場合がありますが、チェーンはキャラクターのボーンに合わせて拡大したり、縮小したりして適用されます。生成プロセスが完了すると、IK リグ アセット エディタの [IK Retargeting (IK リターゲット)] パネルに新しいチェーンが、エディタ ウィンドウの右下には通知ウィンドウが表示されるようになります。
IK リグ アセットのリターゲティング チェーンを生成するために、IK リグではキャラクターのスケルトンを事前設定されているテンプレートと照合します。完全に一致するものが見つからない場合は、通知ウィンドウに警告と結果を改善するための洞察が表示されます。IK リグ アセット エディタでキャラクターのスケルトンをテンプレートに照合できない場合、通知ウィンドウにはエラー メッセージが表示されます。
自動生成チェーン ツールで参照できるスケルトンの種類に関する詳細は、このドキュメントの 「テンプレート」セクション を参照してください。
FBIK を自動作成する
IK の自動作成 ツールを使用して、スケルタルメッシュ キャラクターの FBIK (フルボディ インバース キネマティクス) ソルバと、望ましい角度の FBIK ソルバ設定、目標およびボーンの設定を自動的に生成できます。
必須条件
- プロジェクトに IK リグ アセットを持つスケルタルメッシュ アセットが含まれている。IK リグ アセットのセットアップに関する詳細は、「IK リグ エディタ」ドキュメントの 「IK リグを作成する」セクション を参照してください。
IK の自動作成 ツールを使用するには、コンテンツ ブラウザ で IK リグ アセットを ダブルクリック して、IK リグ アセット エディタで開きます。次に、ツールバーにある IK の自動作成 ツールを使用します。

FBIK の自動作成ツールでは、スケルタルメッシュのスケルトンを分析し、ボーン階層が事前設定されているテンプレートと一致するか照合することによって FBIK ソルバを生成します。これらのテンプレートには一般的なスケルトン階層用に調整された FBIK ソルバが含まれ、FBIK の自動作成ツールではそれらをスケルタルメッシュに適用できます。このプロセスには、ボーン名の分析も含まれます。
FBIK の自動作成ツールで参照できるスケルトンの種類に関する詳細は、このドキュメントの 「テンプレート」セクション を参照してください。
プロセスがどれほど機能するかはスケルタルメッシュで使用される命名規則が関係しますが、ボーン名に完全に一致する必要はありません。
テンプレート
次に、IK リグ アセット エディタで使用するとスケルタルメッシュ キャラクターのリターゲティング チェーンを自動生成できる事前設定済みのテンプレートのリストを示します。
メッシュのタイプ | サンプルのスケルトン |
---|---|
一般的な二足歩行のスケルトン | 二足歩行とは、二本足で立つ人間のようなキャラクターです。
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自動リターゲット ワークフローの使用時にサポートされるスケルトンの構造については、「Auto Retargeting for Bipeds (二足歩行生物の自動リターゲット)」の動画をご覧ください。
ポーズを自動で整列する
IK リターゲッタ アセット エディタの 自動整列 ツールを使用すると、ソース メッシュのポーズとターゲット メッシュのポーズが一致するように素早く位置を合わせることができます。

必須条件
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IK リグ アセットを含む 2 つのスケルタルメッシュ アセットがあること。IK リグ アセットのセットアップに関する詳細は、「IK リグ エディタ」ドキュメントの 「IK リグを作成する」セクション を参照してください。
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ソース および ターゲットの IK リグ が定義されている IK リターゲッタ アセットがあること。IK リターゲッタ アセットのセットアップに関する詳細は、「IK リグのリターゲティング」ドキュメントを参照してください。
キャラクターのポーズを自動で整列する
IK リターゲッタ アセットを作成してキャラクターのソースおよびターゲットの IK リグを定義したら、エディタのモードをメニュー バーで [Edit Retarget Pose (リターゲティングポーズを編集)] モードに設定します。

これにより、自動整列ツールのコンテキスト メニューに用意されているさまざまなプロパティを使用して、ソース IK リグのポーズをターゲット IK リグにコピーできるようになります。

自動整列ツールの使用時に、次のオプションを使用できます。
プロパティ | 説明 |
---|---|
Align All Bones | ターゲット スケルタルメッシュのすべてのボーンがソース スケルタルメッシュの位置や回転と一致するように、自動的に調整されます。 |
Align Selected | ターゲット スケルタルメッシュの選択したボーンのみが、ソース スケルタルメッシュの階層内にある対応するボーンの位置や回転に合わせて調整されます。このオプションは、リターゲットするボーンを分離したい場合に便利です。たとえば、スケルトン全体ではなくキャラクターの下半身のアニメーションのみをリターゲットすることにより、歩行や走行のアニメーションをリターゲットする場合などです。 |
Align Selected and Children | 選択したボーンと、ターゲット スケルタルメッシュでそのボーンのチェーンの下位にあるボーンが、ソース スケルタルメッシュの階層内にある対応するボーンの位置と回転に合わせて調整されます。このオプションではすべてのボーンを個別に選択する必要がなく、手足など、チェーン内のすべてのボーンの位置を自動的に調整します。 |
Align Selected Using Mesh | このプロパティにより、選択されたボーンに関連するスキン処理されたターゲット スケルタルメッシュの頂点の位置をすべて、対応するソース スケルタルメッシュに合わせて調整します。 このオプションを使用するには、1 つまたは一連のボーンを選択する必要があります。 |
Snap Character to Ground | このプロパティにより、キャラクターのメッシュの最も低いポイントを地面にスナップし、スケルタルメッシュの位置を再調整します。さまざまな比率のキャラクターを自動で整列させる場合、このオプションはリターゲットが完了したアニメーション アセットのキャラクターが地面から浮かないようにするために役立ちます。 |
このプロパティは、ソース スケルタルメッシュと比較して、ターゲット スケルタルメッシュのメッシュ ジオメトリがまったく異なっている場合など、ボーンのアライメントがメッシュ間で適切に行われない場合に役立ちます。
IK リターゲティング アセット エディタで設定されているモードによって、自動整列ツールを使用してソース メッシュのポーズをターゲット メッシュにコピーしたり、ターゲット メッシュからソース メッシュにコピーしたりすることができます。
