ポストプロセス ボリューム では、露出 (一般に明暗順応という) を設定するためのコントロールが提供されます。露出は、シーンの外観の明暗を自動的に調整します。このエフェクトは、薄暗い部屋から明るい屋外に出る場合や、その逆の場合など、人間の目がさまざまなライティング環境に順応するメカニズムを再現するものです。
露出の測光モード
Unreal Engine では、シーンの自動露出の設定時に選択できるさまざまな測光モードが提供されています。これらの測光モードには実際のカメラを正確に模倣するための設定があり、ポスト プロセスを介してシーン内の露出を制御することができます。

- [Auto-Exposure Histogram (自動露出ヒストグラム)] モードは、64 ビンヒストグラムから構成された詳細設定を使用して、自動露出をより細かく制御することができます。これは Unreal Engine のデフォルトの露出測光モードです。
- [Auto Exposure Basic (自動露出基本)] モードは、設定項目は少ないものの、露出をダウンサンプリングすることで単一の値を計算するより迅速な方法です。
- [Manual (手動)] モードでは、[Exposure (露出)] カテゴリにある設定だけでなく、[Post Process (ポスト プロセス)] 設定と [Cameras (カメラ)] 設定内の [Cameras (カメラ)] 設定を使用して露出を制御できます。
ヒストグラム アルゴリズムと基本アルゴリズム
[Auto Exposure Basic] 測光モードおよび [Auto Exposure Histogram] 測光モードはどちらもシーンの全体的な輝度を計算し、想定される値に基づいてシーンの明暗を調整しますが、シーンの輝度を計算する方法が異なります。
- [Auto Exposure Basic] アルゴリズムは、シーンの対数輝度平均を使用してターゲットの露出値を決定します。
- [Auto Exposure Histogram] モードは、まず対数輝度シーンのヒストグラムを計算します。次に、そのヒストグラムを分析して、輝度の平均値を算出します。
Basic モードおよび Histogram モードは、異なるアルゴリズムを使用してシーンの平均輝度を算出します。ただし、輝度の平均値が算出されると、どちらのアルゴリズムもその輝度を中間グレーとして扱います。この中間グレー ポイントは、写真撮影においては「18% グレー」または「18% 中間グレー」と呼ばれることもあり、グレー カードによって反射するライトの量を意味します。
手動アルゴリズム
[Manual] 測光モードでは、シーンの輝度に影響されない単一の固定露出値を選択できます。ポスト プロセスの設定で [Apply Physical Camera Exposure (物理カメラの露出を適用)] が無効になっている場合、露出値は線形の明るさになります。
Exposure = 1/(2^(EV100 + Exposure Compensation))
[Apply Physical Camera Exposure] を適用する場合、EV100 は次の式で計算されます。適用しない場合は、0 になります。
EV100 = log2(Aperture^2 / Shutter Speed * 100/ISO)
次の式の Exposure (露出) は、トーンマッパと露出補正が適用される前のシーンのサーフェスの輝度 (L、cd/m2 で計測される) とピクセル輝度 (B) との関係を定義しています。
B = Exposure * L
この式の結果は、ビューポートの表示フラグを使用してトーンマッパを無効にすることで ([Show (表示)] > [Post Processing (ポストプロセス)]) 検証でき、さらに Pixel Inspector を使用してシーンの輝度を調べることができます。また、エディタの EV100 オーバーライド設定 により、この式で使用される EV100 露出を直接設定されることに注意してください。
露出補正 (略して ExpComp) は、現行の測光モードから算出された露出に加えて、追加の 2^ExpComp スケールを定義します。ただし、エディタの EV100 オーバーライドの使用時は除きます。
ローカル露出
ローカル露出 とは、アーティストが制御可能なパラメータの範囲内で、ローカルな調整を露出に自動的に適用する技法です。これにより、既存のグローバル露出システムに加えて、ハイライトとシャドウの両方のディテールが維持されます。これは、動的ライティングを使ったハイ ダイナミック レンジのシーンを含むプロジェクトで特に役立ちます。このようなプロジェクトでは、単一のグローバル露出調整を適用するだけでは、ハイライトの白飛びや真っ暗なシャドウを回避するのに十分ではありません。
一日の時刻の変化を動的に反映するシステムを使用するプロジェクトでは、ドアや窓から非常に明るい屋外が見える屋内のシーンなど、最終的な映像で露出不足または露出過多の領域が生じることがあります。これは、ゲームプレイ上問題になる場合があります。たとえば、以下のシーンは、露出不足の領域と露出過多の領域が存在する例です。


ローカル露出を使用することで、シーンごとのライティング作成が不可能な場合に、最終的な映像をより一貫したものにすることができます。また、Lumen グローバル イルミネーション を使用しているときは常にローカル露出を設定する必要があります。
ローカル露出の設定 には、[Post Process Volume (ポストプロセス ボリューム)] 設定の *[Lens (レンズ)] > [Local Exposure (ローカル露出)] カテゴリからアクセスできます。

[Local Exposure] ビジュアライゼーション モードを使用すると、ローカル露出がシーンにどのくらい適用されるかを確認できます。[Show (表示)] > [Visualization (ビジュアライゼーション)] メニューで、レベル ビューポートでこのビジュアライゼーションを有効にできます。

主要な概念および機能
プロジェクトのレベルで自動露出を設定して、作業する場合は、以下の主要な概念、機能、およびベスト プラクティスを考慮する必要があります。
露出補正カーブ
Exposure Compensation Curve アセット スロットは、シーンの露出補正をより細かく制御できます。このカーブ アセットでは、X 軸と Y 軸を直接制御することができます。ハイ ダイナミック レンジ ビジュアライゼーション モード HDR (明暗順応) を使用している場合、これらの値は画面に表示される情報から得ることができます。
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ポスト プロセス設定 | カーブ アセット グラフ |
独自のカーブを追加するには、コンテンツ ブラウザで [Add New (新規追加)] ボタンを選択し、[Miscellaneous (その他)] カテゴリに移動して [Curve (カーブ)] アセット タイプを選択します。[Pick Curve Class (カーブ クラスを選択)] ウィンドウで、[Curve Float (カーブの浮動小数値)] タイプを選択します。
「HDR (明暗順応)」ビジュアライゼーション モードを有効にしたレベル ビューポートでは、X 軸は [Average Scene EV100 (シーン平均 EV100)] 値 (1) とヒストグラム チャートの 実際の (紫) 線 (1) で示されます。Y 軸は [Exposure Compensation (Curve) (露出補正 (カーブ)] の値 (2) で表されます。

このシーンの例では、[Average Scene EV100] は 0.548 で、次の図のカーブ アセットでは X 軸の入力値として使用されています。また、ここでは [Exposure Compensation (Curve)] の値として 0.864 が返されます。
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露出補正値は、独自の 設定 と カーブ の値に分割されているため、調整方法をより正確に制御することができます。また、これらの値が分けられていることで、露出補正における特定の動作の原因を突き止めやすくなります。
関連する値は次のとおりです。
- [Average EV100 (平均 EV100)] は計算されたターゲット EV100 の値であり、ヒストグラムのターゲット (青) 線で表されます。
- [Exposure Compensation (Settings) (露出補正 (設定))] は、ポスト プロセス設定で設定された露出補正値です。
- [Exposure Compensation (Curve)] は、ポスト プロセスで [Exposure Compensation Curve (露出補正カーブ)] スロットに割り当てられたカーブ アセットで結果として得られる Y 軸の値です。
- [Exposure Compensation (All) (露出補正 (すべて))] は、設定 と カーブ の露出補正値の合計であり、最終的な露出補正値です。
露出計測マスク
[Exposure Metering Mask (露出計測マスク)] は、画面全体の自動露出の影響を制御するためのオプションのテクスチャ スロットで、割り当てられたテクスチャ マスクによって、重要度に基づいて各ピクセルが重み付けされます。画面のエッジではなく、画面中央に向かうピクセルの重要度を高めることで自動露出の安定につながります (下記の例を参照)。
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ポスト プロセス設定 | 露出計測マスク テクスチャの例 |
マスク内で画面中央に向かうピクセルに重みを付けることで、画面のエッジに沿って置かれている明るいオブジェクトで、予測した露出が突然変わる可能性を下げることができます。


コンソール コマンド r.EyeAdaptation.Focus は、Unreal Engine 4.25 以降では削除されました。このコマンドは、重み付けの値を画面全体に均一に適用していました。現在は、独自の測光マスクを作成することで対応できる同様の機能が提供されています。また、このコマンドでは [Auto Exposure Basic] 測光モードのみがサポートされていましたが、露出計測マスクでは [Histogram] と [Basic] の両方の測光モードがサポートされます。
露出変更速度と移動
露出補正が現在のシーンに順応する速さは対数刻みで適用され、同じ速度でカーブが上下に動くように感じます。露出補正は、カーブに沿ってターゲット値に向かって F 値/秒単位で移動します。
この知覚的な動きを処理するために、順応アルゴリズムはカーブを線形および指数関数的な動きでトラバースします。両方のトラバース方法を使用することで、指数関数的な動きのみを使用した場合の次の 2 つの副作用を改善することができます。
- 輝度における小さな変動に迅速に順応するジッター動作を削減します。
- 暗い領域から明るい領域へのゆっくりとした遷移が可能になります。
次の例では、カーブに沿ったトラバースが、Target (ターゲット) の露出値から非常に離れているときに線形で始まっています (2)。ターゲット値に近づくとトラバースが指数関数的な動きに遷移し (1)、これによって一次導関数の連続性が維持されます。

ターゲットの露出値に近づくと遷移距離が設定されており、ここでカーブが線形から指数関数的な動きに変わります。デフォルトでは、ターゲット値から「1.5」F 値離れたところで遷移が始まります。この遷移距離 (F 値/秒) を設定するには、r.EyeAdaptation.ExponentialTransitionDistance コマンドを使用します。
Speed Up パラメータおよび Speed Down パラメータを使用する
ポスト プロセスの Speed Up プロパティと Speed Down プロパティは、露出が Actual (紫) から Target (青) の値に調整される速度を制御します。これらの設定により、暗い環境から明るい環境に移る場合など、異なる輝度の範囲間を移動する際の明暗順応のタイム フレームを F 値/秒単位で設定できます。
この設定を行う際は、人間の目がライティングの変化に順応するために必要な時間を考慮する必要があります。これらのプロパティの設定時には次の推奨値を使用してください。
- 明暗順応動作を模倣する場合は、Speed Up パラメータには、より高い値を使用します。これにより、暗い領域から明るい領域に移動する際により迅速に遷移することができます。また、人間の目の虹彩が 収縮する 動作を模倣し、瞳孔に入るライトの量を減少させます。遷移時間を長くすると露出が高くなり、画質が過度に明るくなります。
- 明暗順応動作を模倣する場合は、Speed Down パラメータには、より低い値を使用します。これにより、明るい領域から暗い領域に移動する際によりゆっくりと遷移することができます。また、人間の目の虹彩を 広げる 動作を模倣し、瞳孔に入るライトの量を増加させます。遷移時間を長くすると露出が低くなり、画質が過度に暗くなります。
EV100 のデフォルトの輝度範囲を拡張する
Unreal Engine では、ポストプロセス ボリュームにある [Max Brightness (最大輝度)] 設定と [Min Brightness (最小輝度)] 設定にデフォルトでピクセル輝度 (cd/m2) を使用します。物理的に正確なライティング範囲 を設定する際は、EV100 (ISO 100 とも呼ばれる) 準拠の輝度を表すために、自動露出のデフォルトの輝度範囲を拡張することができます。つまり、シーン内のライトに対して正しいルクス値を使用し、画像の白飛びを発生させずに、これらの値を自動露出で使用できます。
このオプションを有効にするには、[Project Settings (プロジェクト設定)] の [Rendering (レンダリング)] > [Default Settings (デフォルト設定)] セクションで、[Extend default luminance range in Auto Exposure settings (自動露出設定のデフォルトの輝度範囲を拡張)] の隣にあるチェックボックスをオンにします。
この設定を有効にすると、ポストプロセス ボリュームの [Min Brightness] と [Max Brightness] のデフォルト値が変更され、さらに、[Histogram Log Min (ヒストグラム対数最小)] の名前と [Histogram Log Max (ヒストグラム対数最大)] の名前が EV100 を反映した名前に変わります。
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エンジンのデフォルト設定 | 拡張輝度範囲を有効にした場合 |
事前露光
シェーダーで適用される露出量は 事前露光 と呼ばれます。前のフレームのシーン露出が、シーン カラーへの書き込み前にシェーダー内で適用されます。これにより、カメラの露出でのシーン カラーの範囲をエンジンで再マッピングして、最終カラーの 1 つに似た範囲内でシーンをレンダリングできるようになります (露出後)。また、HDR のライティング値をサポートするために必要なレンダー ターゲットの範囲を制限することで非常に明るいライトを使用する際に、低精度のレンダー ターゲット形式に対する算術オーバーフローのリスクが軽減されます。さらに、事前露光を有効にすると、自動露出基本測光モードの質が向上する効果もあります。
事前露光は、[Project Settings] の [Rendering] > [Default Settings] セクションにある [Apply Pre-exposure before writing to the scene color (シーン カラーへの書き込み前に事前露出を適用)] をオンにすることができます。
モバイルでの使用
機能レベル ES3.1 以上をサポートするモバイル デバイスでの自動露出は、デスクトップおよびコンソール プラットフォームと機能パリティを共有します。モバイルでは、メモリの負荷はごくわずかであり、パフォーマンス上の負荷はシーンによってはわずかです。
プロジェクト設定で [Mobile HDR (モバイル HDR)] を有効にしている Unreal Engine プロジェクトでは、デフォルトで [Auto Exposure (自動露出)] が有効になっています。有効になっていない場合は、以下を設定します。
- [Project Settings] の [Engine - Rendering (エンジン - レンダリング)] セクションで [Mobile HDR] を有効にします。
- コンソール変数 r.Mobile.EyeAdaptation を「1」に設定します。これは、デフォルトで有効になっています。
- コンソール変数 r.EyeAdaptationQuality を 0 より大きい値に設定します。
「BaseScalability.ini
」コンフィギュレーション ファイルの [PostProcessQuality] セクションでこれらのコンソール変数を設定します。特定のデバイス用に定義されたプロファイルを使用する場合は、「BaseDeviceProfiles.ini
」でコンソール変数 sg.PostProcessQuality を設定します。なお、Android_Low を除くすべてのデバイスは、デフォルトで有効になっています。
ゲーム設定
デフォルトの自動露出ポストプロセスとポストプロセス ボリュームにより、自動露出の インゲーム 設定が制御されます。自動露出はデフォルトで有効になっており、レベル ビューポートおよびアセット エディタのビューポートで使用できます。
自動露出の設定には、[Lens (レンズ)] カテゴリの [Exposure (露出)] ドロップダウンからアクセスできます。
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ポストプロセス ボリュームの設定 | アセット エディタのシーン設定をプレビュー |
レベル ビューポートの [Details (詳細)] パネルとアセット エディタの [Preview Scene Settings (シーン設定をプレビュー)] パネルで使用可能なポスト プロセスの設定には、シーンの自動露出を調整するために必要な関連設定が含まれています。[Metering Mode] で選択したモードに基づいて、ポスト プロセス内の異なるプロパティのセットが表示されます。各モードには自動露出に使用する輝度の計算方法がそれぞれ設定されています。
次の測光モードから選択できます。
- Auto-Exposure Histogram:64-ビン ヒストグラムを構築し、詳細設定で自動露出をより細かく制御できます。
- Auto Exposure Basic:ダウンサンプリングによる単一値を計算する高速なメソッドです。
- Manual:[Exposure (露出)] プロパティを使用するのではなく、[Camera (カメラ)] のポストプロセス設定を使用して露出を制御します。
Auto Exposure Histogram (自動露出ヒストグラム) の設定

プロパティ | 説明 |
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Exposure Compensation | 露出の対数調整。トーンマッパが指定されている場合にのみ使用されます。値が「0」に設定されている場合は調整は行われず、「-1」は 2 倍の暗さ、「-2」は 4 倍の暗さ、「1」は 2 倍の明るさ、「2」は 4 倍の明るさに調整されます。 |
Apply Physical Camera Exposure | このオプションは [Manual] 測光モードにのみ適用されます。オンの場合、シーンの輝度に [Camera (カメラ)] 設定 (ISO、シャッター スピード、絞り) が適用されます。オフの場合、カメラではデフォルト値が使用されます ([ISO] = 100、絞り = 1.0、シャッター スピード = 1.0)。このフラグを有効にすると、ほとんどのシーンがかなり暗くなります。 |
Exposure Compensation Curve | このスロットでは、シーン内の露出補正を細かく制御するために使用するカーブ アセットを設定します。カーブ グラフの X 軸および Y 軸の値は、[Average Scene EV100] 値と [Exposure Compensation (Curve)] 値になります。 |
Exposure Metering Mask | 露出の計測に独自のテクスチャ マスクを使用します。マスクの明るいスポットが自動露出計測に与える影響は大きく、暗いスポットが与える影響は小さくなります。 |
Min Brightness | カメラが順応できる低輝度を制限する自動露出の最小輝度。値は 0 より大きく、かつ Max Brightness 以下である必要があります。適切な値は 0 に近い正の数値で、暗いライティング環境で調整する必要があります。この値が小さすぎるとビューポートの画像が過度に明るくなります。値が大きすぎると画像が過度に暗くなります。実際の値は、使用しているコンテンツの HDR 範囲によって決まります。Min Brightness と Max Brightness を同じ値に設定すると、自動露出は無効になります。 |
Max Brightness | カメラが順応できる高輝度を制限する自動露出の最大輝度。値は 0 より大きく、かつ Min Brightness 以上である必要があります。適切な値は正の数値で (「2」が最初の設定値として適切)、明るいライティング環境で調整する必要があります。この値が小さすぎるとビューポートの画像が過度に明るくなります。値が大きすぎると画像が過度に暗くなります。実際の値は、使用しているコンテンツの HDR 範囲によって決まります。Max Brightness と Min Brightness を同じ値に設定すると、自動露出は無効になります。 |
Min EV100 | プロジェクト設定で [Extend default luminance range in Auto Exposure settings] が有効な場合は、Min Brightness を置き換えます。ピクセル輝度 (cd/m2) で表される、自動露出順応の輝度の下限。値は通常 0 より小さく、かつ Max EV100 以下である必要があります。この値が大きくなるほど、シーン ビューは暗くなります。Min EV100 と Max EV100 を同じ値に設定すると、自動露出は無効になります。 |
Max EV100 | プロジェクト設定で [Extend default luminance range in Auto Exposure settings] が有効な場合は、Max Brightness を置き換えます。ピクセル輝度 (cd/m2) で表される、自動露出順応の輝度の上限。値は 0 より大きく、かつ Min EV100 以上である必要があります。この値が小さくなるほど、シーン ビューは明るくなります。Max EV100 と Min EV100 を同じ値に設定すると、自動露出は無効になります。 |
Speed Up | 暗い環境から明るい環境への順応の速度です。 |
Speed Down | 明るい環境から暗い環境への順応の速度です。 |
Advanced (詳細設定) | |
Low Percent | 自動露出では、シーン カラーの輝度値のヒストグラムから抽出した値に順応します。この値はこの輝度より X パーセント低く定義されます。値が大きいほど画面上の明るいスポットが優先されますが、結果が不安定になる可能性があります。値が小さいほど中程度~暗い値が優先されますが、明るいスポットがバーンアウトする可能性があります。値は 0 より大きく、100 より小さく設定する必要があります。70 ~ 80 の範囲で始めることを推奨します。 |
High Percent | 自動露出では、シーン カラーの輝度値のヒストグラムから抽出した値に順応します。この値はこの輝度より X パーセント低く定義されます。値が大きいほど画面上の明るいスポットが優先されますが、結果が不安定になる可能性があります。値が小さいほど中程度~暗い値が優先されますが、明るいスポットがバーンアウトする可能性があります。値は 0 より大きく、100 より小さい必要があります。適切な開始範囲は 80 ~ 95 です。 |
Histogram Log Min | [HDR (Eye Adaptation)] ビジュアライゼーション モード使用時に作成されたヒストグラムの輝度範囲の下限領域を定義します。 |
Histogram Log Max | [HDR (Eye Adaptation)] ビジュアライゼーション モード使用時に生成されたヒストグラムの輝度範囲の上限領域を定義します。 |
Histogram Min EV100 | プロジェクト設定で [Extend default luminance range in Auto Exposure settings] が有効な場合は、Min Brightness を置き換えます。[HDR (Eye Adaptation)] ビジュアライゼーション モード使用時に作成されたヒストグラムの輝度範囲の下限領域を定義します。 |
Histogram Min EV100 | プロジェクト設定で [Extend default luminance range in Auto Exposure settings] が有効な場合は、Min Brightness を置き換えます。[HDR (Eye Adaptation)] ビジュアライゼーション モード使用時に生成されたヒストグラムの輝度範囲の上限領域を定義します。 |
Auto Exposure Basic の設定

プロパティ | 説明 |
---|---|
Apply Physical Camera Exposure | このオプションは [Manual] 測光モードにのみ適用されます。オンの場合、シーンの輝度に [Camera (カメラ)] 設定 (ISO、シャッター スピード、絞り) が適用されます。オフの場合、カメラではデフォルト値が使用されます ([ISO] = 100、絞り = 1.0、シャッター スピード = 1.0)。このフラグを有効にすると、ほとんどのシーンがかなり暗くなります。 |
Exposure Compensation | 露出の対数的調整。トーンマッパが指定されている場合にのみ使用されます。値が「0」に設定されている場合は調整は行われず、「-1」は 2 倍の暗さ、「-2」は 4 倍の暗さ、「1」は 2 倍の明るさ、「2」は 4 倍の明るさに調整されます。 |
Exposure Compensation Curve | このスロットでは、シーン内の露出補正を細かく制御するためのカーブ アセットを設定します。カーブ グラフの X 軸および Y 軸の値は、[Average Scene EV100] 値と [Exposure Compensation (Curve)] 値になります。 |
Exposure Metering Mask | 露出の計測に独自のテクスチャ マスクを使用します。マスクの明るいスポットが自動露出計測に与える影響は大きく、暗いスポットが与える影響は小さくなります。 |
Min Brightness | カメラが順応できる低輝度を制限する自動露出の最小輝度。値は 0 より大きく、かつ Max Brightness 以下である必要があります。適切な値は 0 に近い正の数値で、暗いライティング環境で調整する必要があります。この値が小さすぎるとビューポートの画像が過度に明るくなります。値が大きすぎると画像が過度に暗くなります。実際の値は、使用しているコンテンツの HDR 範囲によって決まります。Min Brightness と Max Brightness を同じ値に設定すると、自動露出は無効になります。 |
Max Brightness | カメラが順応できる高輝度を制限する自動露出の最大輝度。値は 0 より大きく、かつ Min Brightness 以上である必要があります。適切な値は正の数値で (「2」が最初の設定値として適切)、明るいライティング環境で調整する必要があります。この値が小さすぎるとビューポートの画像が過度に明るくなります。値が大きすぎると画像が過度に暗くなります。実際の値は、使用しているコンテンツの HDR 範囲によって決まります。Max Brightness と Min Brightness を同じ値に設定すると、自動露出は無効になります。 |
Min EV100 | プロジェクト設定で [Extend default luminance range in Auto Exposure settings] が有効な場合は、Min Brightness を置き換えます。ピクセル輝度 (cd/m2) で表される、自動露出順応の輝度の下限。値は通常 0 より小さく、かつ Max EV100 以下である必要があります。この値が大きくなるほど、シーン ビューは暗くなります。Min EV100 と Max EV100 を同じ値に設定すると、自動露出は無効になります。 |
Max EV100 | プロジェクト設定で [Extend default luminance range in Auto Exposure settings] が有効な場合は、Max Brightness を置き換えます。ピクセル輝度 (cd/m2) で表される、自動露出の順応の明るさの上限。値は通常 0 より大きく、かつ Min EV100 以上である必要があります。この値が小さくなるほど、シーン ビューは明るくなります。Max EV100 と Min EV100 を同じ値に設定すると、自動露出は無効になります。 |
Speed Up | 暗い環境から明るい環境への順応の速度です。 |
Speed Down | 明るい環境から暗い環境への順応の速度です。 |
Manual の設定

プロパティ | 説明 |
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Exposure (露出) | |
Exposure Compensation | 露出の対数的調整。トーンマッパが指定されている場合にのみ使用されます。値が「0」に設定されている場合は調整は行われず、「-1」は 2 倍の暗さ、「-2」は 4 倍の暗さ、「1」は 2 倍の明るさ、「2」は 4 倍の明るさに調整されます。 |
Apply Physical Camera Exposure | このオプションは [Manual] 測光モードにのみ適用されます。オンの場合、シーンの輝度に [Camera (カメラ)] 設定 (ISO、シャッター スピード、絞り) が適用されます。オフの場合、カメラではデフォルト値が使用されます ([ISO] = 100、絞り = 1.0、シャッター スピード = 1.0)。このフラグを有効にすると、ほとんどのシーンがかなり暗くなります。 |
Exposure Metering Mask | 露出の計測に独自のテクスチャ マスクを使用します。マスクの明るいスポットが自動露出計測に与える影響は大きく、暗いスポットが与える影響は小さくなります。 |
Camera (カメラ) | |
Shutter Speed (1/s) | カメラのシャッター スピードを秒単位で定義します。 |
ISO | この値は、カメラ センサーの感度を表します。 |
Aperture (F-stop) | カメラ レンズの開口部のサイズを定義します。値が大きいほど、被写界深度 (DOF) の効果が低くなります。 |
Local Exposure の設定

プロパティ | 説明 |
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Highlight Contrast Scale | ハイライトのコントラストを制御します。ローカル露出はフレームの輝度をベース レイヤーとディテール レイヤーに分解します。この値に基づいて、ベース レイヤーのコントラストが低下します。適切な値は、通常、0.6 ~ 1 です。 |
Shadow Contrast Scale | シャドウのコントラストを制御します。ローカル露出はフレームの輝度をベース レイヤーとディテール レイヤーに分解します。この値に基づいて、ベース レイヤーのコントラストが低下します。適切な値は、通常、0.6 ~ 1 です。 |
Detail Strength | シーンに適用されるディテールの強度をコントロールします。ローカル露出はフレームの輝度をベース レイヤーとディテール レイヤーに分解します。1 以外の値を設定すると、ローカル露出を使用できます。ほとんどの場合、この値は 1 に設定する必要があります。 |
Blurred Luminance Blend | バイラテラル フィルタやブラーを適用した輝度をベース レイヤーとしてブレンドします。ブラーを適用した輝度は画像の表示やスペキュラ ハイライトを維持し、リンギングを減少します。適切な値は、通常、0.4 ~ 0.6 です。 |
Blurred Luminance Kernel Size Percent | フレームの輝度をぼかすために使用する画面の比率 (カーネル サイズ)。 |
Middle Grey Bias | ローカル露出でミドル グレー (黒と白の中間と認識されるトーン) とみなされるものに関する対数的調整。「0」を設定すると調整はなし、「-1」では 2 倍暗く、「-2」では 4 倍暗く、「1」では 2 倍明るく、「2」では 4 倍明るくなります。 |
エディタ ビューポートのオーバーライド
各エディタ ビューポートには、デフォルトの自動露出設定やポストプロセス ボリュームで設定されている自動露出設定をオーバーライドするオプションがあります。
自動露出をオーバーライドするには、レベル ビューポートまたはアセット エディタのビューポートの [View Mode (表示モード)] ドロップダウンから [Game Settings (ゲーム設定)] または [Auto (自動)] の隣にあるチェックボックスをオフにして、[EV100] スライダを使用します。
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レベル ビューポートのオーバーライド | アセット エディタのオーバーライド |
ビジュアライゼーションとデバッグ
[HDR (Eye Adaptation)] ビジュアライゼーション モードでは、現在のシーン ビューで計測された露出値をヒストグラムで表示します。また、ポストプロセス ボリュームとカーブ アセットで設定されている値のクイック リファレンスも表示されます。

- ポストプロセス ボリュームとカーブ アセットで設定されている露出値とカーブ値のリスト。
- NIT (cd/m2 で計測) およびルクス値を含む焦点メーター。
- 設定されている最小および最大の範囲を含むヒストグラム チャート。
このビジュアライゼーション モードを有効にするには、レベル ビューポートで [Show (表示)] > [Visualize (視覚化)] > [HDR (Eye Adaptation) (HDR (明暗順応))] を選択します。
ヒストグラム チャート
ヒストグラム チャートは、現在のビューで計測された露出値の範囲で構成されています。チャート内ではターゲットの露出値、実際の露出値、そして最終的な露出値が色付きの線で示されており、これらの値は現在のカメラ ビューの計測された露出値に常に順応しています。

- 青 線は、現在のビューの ターゲット の EV100 露出を表します。
- この線は、ヒストグラム内でのシーンの露出平均を示します。
- 紫 線は、現在のビューの 実際 の EV100 露出です。
- この線は、このビューに存在する現在の露出値を表しています。実際の露出値は、ビューでの変更に伴い常にターゲット露出値に向かって動きます。
- 白 線は、ポスト プロセス設定での露出補正調整後の 最終的な EV100 露出値です。
- この線は、現在のビューの、露出補正後の実際の露出値を表しています。白線と紫線の間隔は、露出補正で設定された距離で保たれます。上の例では 2 の露出補正が適用されており、白線と紫線の間でこの距離が維持されています。
このシーンの例では、露出補正がポストプロセス ボリュームの [Exposure] 設定で変更された場合に、その値がレベル ビューポートの一連の露出設定に反映されます。チャートでは、実際の露出値 (紫) と最終的な露出値 (白) の線を分けることで、露出補正のこの差分オフセットが反映されています。
チャートの両端は、[Histogram Log Min] と [Histogram Log Max] (または [プロジェクト設定] で [Extend default luminance range in Auto Exposure settings] がオンの場合は、[Histogram Min EV100] と [Histogram Max EV100]) で設定されている自動露出順応の範囲を表しています。
Histogram Debug Visualization モード
このモードでは、自動露出のために実行される HDR 計算に、非常に明るいピクセル (太陽など) や非常に暗いピクセル (暗い影など) が含まれないことを保証できるように、さまざまなピクセル値のビジュアライゼーションが提供されます。

赤のピクセルは、[Histogram Log Min] (または [Histogram Min EV100]) で設定された自動露出順応の範囲を 下回る ものを表しています。青のピクセルは、[Histogram Log Max] (または [Histogram Max EV100]) で設定された自動露出順応の範囲を 上回る ものを表しています。これらのピクセルの範囲により、[Low Percent] および [High Percent] で設定した値によってこれらの不要なピクセルが計算から確実に除外されます。
このデバッグ ビジュアライゼーション モードを使用するには、HDR (明暗順応) ビジュアライゼーション モードがあらかじめオンになっている必要があります。
このビジュアライゼーション モードを有効にするには、r.EyeAdaptation.VisualizeDebugType 1 コマンドを使用します。