このチュートリアルでは、Unreal Engine 4 (UE4) マネキン 用に開発された アニメーション アセット を MetaHuman にリターゲットする方法について説明します。この方法を使用すると、UE4 マネキンのスケルトンを使用するアニメーション アセットを任意の MetaHuman にリターゲットすることができます。
このチュートリアルで使用するアニメーション アセットは、 MCO MoCap Basics パックのアセットで、Unreal Engine マーケットプレイスから無料でダウンロードすることができます。
必要な知識と設定
このページでは、Unreal Engine の スケルタル メッシュ アニメーション システム と、アニメーションのリターゲットに関する知識があることを前提としています。
このページで説明している手順を実行するには、以下を実行する必要があります。
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「サードパーソン」テンプレート に基づいて新しい Unreal Engine プロジェクトを作成する。この手順の実行方法については、Unreal Engine 5 ドキュメントの以下のページを参照してください。
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MetaHuman をダウンロードして、プロジェクトにインポートする。この手順の実行方法については、以下のページを参照してください。
このチュートリアルでは、Ada MetaHuman プリセットを使用しますが、最新バージョンの MetaHuman Creator で作成された任意の MetaHuman を使用できます。
ワークフロー
このワークフローは、次の手順で構成されています。
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適切なプレビュー メッシュを使用するように MetaHuman IK リグを設定します。
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UE4 Mannequin to MetaHuman IK リターゲター アセット を作成し、設定します。
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リターゲットするアニメーション アセットを選択し、新規にリターゲットしたアセットとしてエクスポートします。
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リターゲットしたアニメーション アセットが、適切なスケルタル メッシュを使用するように設定します。
MetaHuman IK リグを設定する
この手順では、プレビュー メッシュを使用するように MetaHuman IK リグ アセットを設定します。メッシュを含まないリグは、ビューポートに表示されません。
以下の手順に従ってください。
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コンテンツ ブラウザ で、「IK_MetaHuman」という IK リグを検索します。このアセットは、デフォルトでは、「
MetaHumans/Common/Common
」フォルダに格納されています。 -
IK_MetaHuman IK リグをダブルクリックして開きます。
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右側の [Preview Scene Settings (プレビュー シーン設定)] パネルで、Preview Mesh プロパティを f_med_nrw_preview スケルタル メッシュに設定します。
画像をクリックするとフルサイズで表示されます。
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このアセットを 保存 して閉じます。
IK リターゲター アセットを作成して設定する
このステップでは、RTG_UE4Manny_UE5Manny IK リターゲターをベースとして使用して新しい IK リターゲター アセットを作成します。このアセットは、UE4 マネキンのスケルトンから MetaHuman のスケルトンへのアニメーションのリターゲットを処理します。
RTG_UE4Manny_UE5Manny は、「サードパーソン」テンプレートか「Top-Down」テンプレートのいずれかを使用してプロジェクトを作成した場合は、プロジェクトに自動的に追加されます。その他の場合は、これらのテンプレートのいずれかを使用して作成された他のプロジェクトから RTG_UE4Manny_UE5Manny を移行することができます。
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コンテンツ ブラウザ で、「RTG_UE4Manny_UE5Manny」という IK リターゲター アセットを検索します。このアセットは、デフォルトでは、「
Characters/Mannequin_UE4/Rigs
」フォルダに格納されています。 -
RTG_UE4Manny_UE5Manny アセットを右クリックし、コンテキスト メニューから [Duplicate (複製)] を選択します。複製したアセットに「RTG_UE4Manny_MetaHuman」という名前を付けます。
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RTG_UE4Manny_MetaHuman アセットをダブルクリックして開きます。ビューポートに、UE4 マネキンと UE5 マネキンがオーバーラップして表示され、右側にはリターゲット設定を行うためのパネルがいくつか表示されます。
画像をクリックするとフルサイズで表示されます。
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右側の [Details (詳細)] パネルで、[Target IK Rig Asset (ターゲット IK リグ アセット)] ドロップダウンから、IK_MetaHuman を選択します。この操作により、ビューポートの UE5 マネキンが、テクスチャ化されていない MetaHuman ボディ メッシュに置き換わります。
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右側の [Details (詳細)] パネルの [Target Preview Mesh (ターゲット プレビュー メッシュ)] ドロップダウンから、MetaHuman に対応する プレビュー メッシュ を検索して、選択します。
なお、すべての MetaHuman スケルタル メッシュには次の同一の命名規則:
gender-presentation_height_weight_mesh-purpose
が適用されます。このチュートリアルでは、以下の属性を持つ Ada プリセットを使用します。- 性別:
f
- 身長:
med
- 体重:
nrw
プレビュー メッシュのサフィックスは、
_preview
です。このチュートリアルで検索するメッシュの名前は「
f_medium_nrw_preview
」です。ドロップダウンでこのメッシュを検索して、選択します。 - 性別:
-
右側の [Chain Mapping (チェーン マッピング)] パネルで、次のプロパティが [None] に設定されていることを確認します。
- LeftPinkyMetacarpal
- LeftMiddleMetacarpal
- LeftRingMetacarpal
- LeftIndexMetacarpal
- LeftLowerArmTwist02
- LeftUpperArmTwist02
- RightPinkyMetacarpal
- RightRingMetacarpal
- RightMiddleMetacarpal
- RightIndexMetacarpal
- RightLowerArmTwist02
- RightUpperArmTwist02
画像をクリックするとフルサイズで表示されます。
この時点では、ビューポートに UE4 マネキンと MetaHuman スケルタル メッシュがオーバーラップして表示されています。両方のメッシュが同じ A ポーズを使用しています。
MetaHuman のポーズが適切でない場合は、_preview
スケルタル メッシュ (_body
スケルタル メッシュではない) を必ず選択します。
アニメーション アセットをリターゲットして、エクスポートする
アニメーション アセットをリターゲットしてエクスポートする
エディタで引き続き RTG_UE4Manny_MetaHuman アセットの作業をしている状態で、[Asset Browser (アセット ブラウザ)] タブをクリックします。これにより、ソースのスケルトンと互換性のあるすべてのアニメーションを含む、[Asset Browser (アセット ブラウザ)] パネルが開きます。
画像をクリックするとフルサイズで表示されます。
アセット ブラウザには、ソースのスケルタル メッシュで使用されているスケルトンと互換性のあるアニメーションのみが表示されます。Unreal Engine プロジェクトに同一のスケルタル メッシュ の複数のコピーがある場合は、各コピーで使用されているスケルトン同士に互換性があるように設定する必要があります。この設定方法については、Unreal Engine 5 ドキュメントの「スケルトン」の「互換性のあるスケルトン」セクションを参照してください。
ビューポートでメッシュを分離する
[Details (詳細)] パネルで、Target Mesh Offset オプションの X 軸を Source and Target プレビュー メッシュを分離する値に設定し、それらの間に十分な距離を置いてアニメーションの再生がはっきり見えるようにします。下の画像では、この値を 150
に設定します。
アニメーションをプレビュー表示する
アセット ブラウザ で、アニメーション アセット をダブルクリックして、ビューポートでプレビューします。このチュートリアルでは、 MCO MoCap Basics アニメーション パックの Walk_02_Cheerful_Loop_IP アニメーションを使用していますが、UE4 マネキンのスケルトンとの互換性があればどのアニメーション アセットでも使用することができます。
ビューポートでアニメーションが再生されているのを確認できます。

修正を行う
[IK Retargeter Editor (IK リターゲター エディタ)] ウィンドウの下部にある タイムラインおよび再生コントロール を使用すると、アニメーションを再生、一時停止、スクラブすることができます。クリッピングや手足の位置が悪いなど、発生する可能性のある問題を特定するために、ビューポート内でカメラを移動させます。
上の例で、MetaHuman の腕が自然な位置より高い角度に配置されていることが分かります。これを解決するために、以下の手順を実行します。

- [Chain Mapping] パネルで LeftArm チェーンをクリックします。
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LeftArm の [Details] パネルの IK セクションで [Static Offset] オプションの Z 値を
-10
に設定します。sそれぞれのアニメーションには異なるオフセット要件があります。オフセット値を変更しアニメーションをリプレイして、最適に動く値を見つけます。
- RightArm チェーンに対してこれらの手順を繰り返します。
リターゲットしたアニメーションをエクスポートする
アニメーションの外観に満足したら、[Export Selected Animations (選択したアニメーションをエクスポート)] をクリックし、アニメーションをエクスポートします。

これで、MetaHuman スケルトンをターゲットとした新しいアニメーション アセットが作成されます。新しいアセットを保存する場所を選択し、[OK] をクリックします。
これで、IK リターゲター エディタ ウィンドウを閉じることができます。
リターゲットしたアニメーション アセットを設定する
コンテンツ ブラウザ で、リターゲットしたアニメーション アセットを特定し、ダブルクリックしてアニメーション エディタで開きます。
以下のスクリーンショットでハイライトされている [Retarget Source Asset] (1) と [Preview Mesh (Animation)] (2) プロパティが、MetaHuman の スケルタル メッシュに設定されていることを確認します。
画像をクリックするとフルサイズで表示されます。
これらのプロパティを設定したら、アニメーション アセットを 保存 して、このウィンドウを閉じます。
最終結果
これで、特定の身長とボディ タイプで機能する MetaHuman のスケルトンをターゲットにしたアニメーション アセットが完成しました。BP_(MetaHumanName)
ブループリントの MetaHuman の Bodyコンポーネントに割り当てることで、アニメーションをすばやくテストすることができます。最終結果は以下のとおりです。
